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The Art of Marketing マーケティングの技法 パーセプションフロー(R)・モデル全解説

著者:音部大輔
発行元:宣伝会議

 

 

The Art of Marketing マーケティングの技法のまとめ

パーセプションフロー・モデルのすべてがわかる本。なによりも、園なり竜を知ることができる。それがいちばんいい。「このフレームワークはなぜ生まれたのか?」を知っていると、使い方を忘れることはないし、間違えることもなくなるからね。

 

The Art of Marketing マーケティングの技法を読んだ理由

パーセプションフロー・モデルについて知りたかったから

 

The Art of Marketing マーケティングの技法で仕事にいかせるポイント

パーセプションフロー・モデルの成り立ちですよ。

 

The Art of Marketing マーケティングの技法の目次

1章 開発の背景
2章 パーセプションフロー・モデルの概要
3章 「全体最適」の実現による効用
4章 各部門の力を引き出す使い方
5章 パーセプションフロー・モデルの作り方
6章 成功につながる検証の仕方

 

The Art of Marketing マーケティングの技法の感想

元P&Gでファブリーズや、アリエールのマーケティングを担当していた音部さんの最新著書。音部さんと言えばパーセプションフロー・モデル。パーセプションフロー・モデルといえば音部さん。そんなわけで、パーセプションフロー・モデルの細かい話がビシッと書かれております!とはいえ、個人的には音部さんがパーセプションフロー・モデルを生み出した背景を知ることができたのが良かったです。音部さんも、大変だったんだなぁ、と。

 

パーセプションとは認識のこと。パーセプションフロー・モデルは、消費者の認識変化を中心としたマーケティング活動全体の設計図。忘れちゃいけないポイントとしてはパーセプションフロー・モデルは消費者(ユーザー視点)ということ。「どのようにほしくなり、満足するか」を考え、可視化したもの。パーセプションの変化と、それらをもたらす知覚刺激、それぞれの知覚刺激を提供するメディアや手段を明示したものがパーセプションフロー・モデルとなる。パーセプションフロー・モデルのフローは単純なAIDMAや、AISASではなく「現状」→「認知」→「興味」→「購入」→「試用」→「満足」→「再購入」→「発信」となっている点がポイント。ブランドの持続的な成長には、愛着を持って購入し続けてくれることが必要になってくるので、「購入」でフローが終わるのではなく「再購入」でフローが終わるようになっているのだという。そこまで考えているのはさすがですな。

 

で、「ほしくなる」という点で重要になるのが、ベネフィットという単語。そのブランド(製品・サービス)を手にすることで、どのようなベネフィット(利益・恩恵)を得られるかどうかが、重要になるのですよね。このベネフィットをどのように消費者・ユーザーに認識してもらうのかが、重要になってくるわけですよ。で、ここで気をつけなければならないのが、ベネフィットとは機能ではないということ。ベネフィットの主語は消費者であり、機能の主語はブランド(商品)となるので要注意。

 

カスタマージャーニーマップや、マーケティングプランを作る際に「課題があって、その課題を解決するために・・・」と課題解決型のアプローチで考えることが多いのですが(特にわたし)それじゃダメなんだという。それは、問題解決型のアプローチの場合、問題の発生頻度によって商品の購入が左右されてしまうから。ベネフィット型の場合、それを避けることができるから。言われてみればそうだよね。

 

で、そのベネフィットを伝えるために、いろいろ頑張るのがこのマーケティングのキモ。

 

 

広告や、ブランドの使用体験などを知覚するたびに、消費者のパーセプションは反応し、変化していく。そのブランドに「大して興味を持っていない」と思っていても、広告を見てベネフィットに魅力を感じられれば「あ、使ってみたいかも」という認識が生まれ、行動を起こします。

 

 

これが、様々な施策を行っていくときの柱となります。だからなのか、マーケティングミックスで語られる4Pは、マーケティングの戦略を考えるものではなく、消費者にベネフィットを提供する手段だという。なので、プロモーションの施策は、ターゲット消費者やベネフィットが明確になってから考える必要があるとも教えてくれます。

 

そして、施策の評価に関してもビシッと!一本筋が通っている。

 

すべての活動を知覚刺激と考えて、それぞれに固有の役割を与え、「パーセプションの変化への貢献度合い」で評価していきました。

 

クリック数や、開封数がKPIじゃないんだよ、と。それが「パーセプションの変化への貢献度合い」を意味しているのであればいいのだけれど、単純に相違値をKPIにしちゃダメだよ、と教えてくれるのです。

 

このパーセプションフロー・モデルをいろいろ研究して、活用していこうと思うのですが、1つだけ「ん?」と思ったポイントもあるのよね。それはカスタマージャーニーマップとパーセプションフロー・モデルの関係について。

 

カスタマージャーニーマップとパーセプションフロー・モデルは似ているし、類似点はたくさんあるのですが、音部さんは下記2点において違いがあると述べています。「カスタマージャーニーマップは現在の見取り図」であり、「パーセプションフロー・モデルは未来の建築図面」であると。「カスタマージャーニーマップは既存市場での効率化」を考えるものであり「パーセプションフロー・モデルは市場創造と差別化」を行うものである、と。カスタマージャーニーマップを未来の建築図面として使うこともできるだろうし、市場創造と差別化も使うことができると思うんだよな。そこについては、もっとカスタマージャーニーマップとパーセプションフロー・モデルについて学ぼう。

 

で、本書では実際にパーセプションフロー・モデルの構築の方法と、その活用の仕方が紹介されております。フレームワークだけ合っても使いこなせないと意味がないので、こういう細かい紹介はありがたいですね。何しろ重要な考え方を教えてくれるのが素敵です。で、その考えをまとめるときに、著者の音部さんはThougt starter questionという方法をおすすめしてくれます。Thougt(考え)をstart(はじめ)させるquestion(質問)をすることで、通用とは異なる考え方をするように脳を刺激するほうほうなのですって。パーセプションフロー・モデルをうまく使えるようにがんばって利用してみよう。

 

 

タイトル:The Art of Marketing マーケティングの技法 パーセプションフロー(R)・モデル全解説
著者:音部大輔
発行元:宣伝会議