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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

グロースマーケティング

著者:株式会社DearOne
 

グロースマーケティングのまとめ

マーケティングはどんどんどんどん進化している。コトラー先生のマーケティング理論だって、1.0から5.0にまで進んでいます。私たちが行って衣類マーケティングって、どの世代なのでしょうか?少なくとも最新のマーケティングではないことが、この本を読むことではっきりします。我々が行っているマーケティング施策って、二世代くらい前のものだったりするのですよね。でもね、この最新の話が、みんなに受け入れられるかどうかって言うと、また別の話。そこは難しいんだよなぁ。だから、最新なんだよ。
 

グロースマーケティングを読んだ理由

マーケティングに関する知識を深めたかったので
 

グロースマーケティングで仕事にいかせるポイント

「AARRRモデル」ですね。AARRRモデルはダブルファネルの中心、顧客獲得を起点にしてボトムファネルをいかに広げるかという流れを「Acquisition (新規顧客獲得)- Activation (活性化)- Retention(継続利用) - Referral(紹介) - Revenue(収益化) 」を定義したもの。
そして、「OODAループ(ウーダループ)」。Observe(観察)Orient(情勢判断)Decide(意思決定)Act(行動)を定義したもの。
 

グロースマーケティングの目次

第1章 グロースマーケティングとは何か?
第2章 マーケティングの潮流をつかむ
第3章 グロースマーケティングの3つの軸
第4章 データ活用の肝 タクソノミー設計
第5章 最先端のマーケティングの今
第6章 実践企業に学ぶグロースマーケティング
第7章 実践!グロースマーケティングの進め方
 

グロースマーケティング感想 

てっきり、グロースハックの本かと思いましたよ。でも、全く違いました。グロースマーケティングは企業・事業・製品・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動。グロースハックは製品・サービスの成長を効率よく行うためのテクニック。新規市場が少なくなってきた今だからこそ、様々なテクノロジーによって様々なサービスが登場する今だからこそ、最適なマーケティング理論がグロースマーケティングってことなのですね。
 
これは、コトラー先生の最新マーケティング理論、マーケティング5.0 にも当てはまる話だと言います。マーケティング5.0とはこういう世界なんだと、マーケティング4.0の共著者であるヘルワン・カルタジャヤ氏、イワン・セティアワン氏は語っていますとな。
 
①WebやSNS、POS、各種センサーなどからオンライン経由でもたらされるビッグデータに立脚した「データに基づくマーケティング(DATA - DRIVEN MARKETING)」
②統計モデルや機械学習による予測を使って効果を最大化していく「予測マーケティング(PREDICTIVE MARKETING)
③センサーで顧客の性別や年齢、その場の気温といった情報を読み取り、対象や状況に応じて最適の提案を行なう「コンテキスチュアル(文脈を読む)マーケティング(CONTEXTUAL MARKETING)」
④ARゴーグルなどで人間の能力を増強してサービスを向上していく「拡張マーケティング(AUGEMENTED MARKERING)」
⑤リアルタイムで分析を行い、その結果をすみやかにカスタマー対応に反映させる「機動的マーケティングAGILE MARKETING)」

 

データやテクノロジーについていろいろ語っていますが、それらはすべて「顧客について細かく知るためなんだね」と言うことが見えてきます。
 
ちなみに、グロースマーケティングの3つの軸は「行動理解(Behavioral Analytics)」「高速に施策を繰り返す(Rapid Iteration)」「的確な目標・指標設計(Business Impact)」。リテンションライフサイクルやカスタマーライフサイクルを「顧客の行動」でしっかりと把握することが重要と述べられています。

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マーケティングの基本は顧客理解なのですが、その顧客理解を徹底し、顧客のために行動することが重要であると言うことになってきますね。グロースハックの普及により、購入(顧客獲得)の後の行程、すなわち活性化、リピート購入、ファン化、他者への紹介といった既存顧客への働きこそがむしろ重要になってますしね。
 
本書はこのようにグロースマーケティングや、グロースハックに関するフレームワークや、トレンドを次から次へと教えてくれます。これらを覚えておく、これらを知るという目的だけで、本書を読んでも価値があります。いろいろと素敵なことがたくさん紹介されているのですけれど、その中でも、個人的に刺さったものをここに残しておきます。
 
まずは、グロースハックともに認知されるようになった「AARRRモデル」。ぶっちゃけ、私知らなかったです。まぁ、グロースハックもよく知らなかったので。このAARRRモデルとはダブルファネルの中心、顧客獲得を起点にしてボトムファネルをいかに広げるかという流れを「Acquisition (新規顧客獲得)- Activation (活性化)- Retention(継続利用) - Referral(紹介) - Revenue(収益化) 」を定義したものとなります。このボトムファネルにおいてLTVを向上させるために大切なポイントは①顧客データの蓄積および会員との接点②行動軸のデータ分析による顧客理解③顧客理解に基づく個別コミュニケーション。
 

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そして、グロースマーケティングの時代に適した思考・意思決定のプロセスが「OODAループ(ウーダループ)」であることも教えてくれます。PDCAでなくOODAループね。これは次の4要素から成り立っています。
 
Observe(観察)
Orient(情勢判断)
Decide(意思決定)
Act(行動)
 
 

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さらに本書が教えてくれるのが、「Best of Breed」というマーテックソリューションの選択方法。最適な組み合わせという意味で、それぞれの機能を持つ異なるクラウドソリューションについて、数多くのベンダーから自社のベストなサービスを選んで組み合わせ、エコシステムを構築するという手法なのですね。Best of Breedのポイントは①スモールスタート②目標・指標設計が重要③本格活用前のオンボーディングを重視④過去のノウハウをもとにしたプロセスのフレームワークの活用⑤個別定例ミーティングなどによる進捗確認と改善⑥勉強会(リアル)やウェビナー(オンライン)による生きた実践ノウハウ習得機会
 
で、最後にノーススターメトリック。もう、時代はKGI/KPIツリーじゃないと。ユーザー視点での評価を図れる指標として取り入れられたのが、ノーススターメトリック。ノーススターメトリックは、経営層やマーケティング部門のみならず、営業部門など様々なプロダクト・サービスに関わるメンバーが目指すべき単一の指標。ノーススターメトリックの設計手順①プロダクトを分類②ノーススターメトリックの仮決め③KPIの設定④マジックナンバーの発見となるということ。プロダクトの分類とは「アテンション型=より多くの時間を費やすもの」「トランザクション型=商品の購入などコンバージョンが定義できるもの」「プロダクティビティ=より多くのタスク数を効率的/効果的に実現するもの」と分類できる。ノーンスターメトリックの仮決めとは、例えばアテンション型だと重要な要素は「滞在時間」となるので「コンテンツ再生時間」や「月10時間以上滞在したユーザー数」などになる。
 

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これらフレームワークを教えてもらった後にしっかり事例が紹介されている素敵な本ですね。ただ、伝統的なマーケティングを学ばずに、いきなりこの本に飛びつくのは危険かもしれませんね。だって、それらを知っている前提でいろいろと話が書かれていますからね。
タイトル:グロースマーケティング
著者:株式会社DearOne