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コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理

著者:フィリップ・コトラー、ゲイリー・アームストロング、恩藏尚人
発行元;丸善出版

 

 

コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理のまとめ

コトラー先生の名著「マーケティング・マネジメント」が「難しい」と思っている方にはおすすめの1冊。マーケティング・マネジメントの内容を、わかりやすくするために、様々な事例が境内されている本書。それも、アメリカの事例よりも、日本の事例が豊富に、紹介されているのがすばらしい。あの会社のあのことが、マーケティング視点だとこういうことだったのね!と、簡単に(そうでもないけれどね)理解できます。マーケティングの基本原理を学びたい人にはお勧めの1冊ですね。マジで。

 

コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理を読んだ理由

マーケティングについて学び直したかったから

 

コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理で仕事にいかせるポイント

もうすべてだよw

 

コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理の目次

第1部 マーケティングの本質と市場競争
第1章 マーケティングの本質
第2章 企業とマーケティング戦略
第3章 競争優位の創造
第2部 顧客価値の発見と理解
第4章 マーケティングの基本枠組み
第5章 マーケティング情報とカスタマー・インサイト
第6章 消費者の購買行動
第3部 顧客価値の創造と提供
第7章 製品、サービス、ブランド
第8章 新製品開発と製品ライフサイクル戦略
第9章 マーケティング・チャネルによる顧客価値の提供
第4部 顧客価値の説得と伝達
第10章 価格設定
第11章 コミュニケーションによる顧客価値の説得
第12章 広告とパブリック・リレーションズ
第13章 人的発売と販売促進
第5部 マーケティングの革新
第14章 ダイレクト・マーケティングとオンライン・マーケティング
第15章 マーケティングと社会的責任

 

コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理の感想

本書はコトラー先生、アームストロング先生のマーケティング理論を、日本の事例を使ってわかりやすく説明してくれる良書です。教科書チックな内容も、身近な事例を使って説明してくれることで、理解が深まります。

では、どんな方向性にて本書が書かれているのか?そこは「はじめに」でしっかりと述べられています。この軸のぶれない感じが素敵です。

マーケターは、顧客価値の創造と顧客リレーションシップのマネジメントに長けていなければならない。

 

今日のマーケターに求められるのは、ブランドをしっかりポジショニングし、適切にマネジメントすることである。顧客とブランドのあいだに緊密なリレーションシップと経験を作り上げることが必要である。

 

マーケティング投資に対するリターンの測定と管理は、戦略的マーケティングの意思決定に関わる重大要素となっている。

 

本書のスタンスとして、マーケティングは顧客ニーズの理解から始まる。そして、顧客主導型マーケティング戦略の立て方、それを実行に移す方法(マーケティング・プログラム)、顧客との良好な関係の作り方(顧客リレーションシップの作り方)、そしてその見返りとして顧客から価値を受け取る方法を教えてくれる。ど真ん中にいるのはお客様、顧客であるという立ち位置なのだ。顧客中心のマーケティングについて教えてくれるのだ。当たり前と言えば当たり前だけれど、昨今のマーケティングは顧客の意思を無視しているような気がしないでもないので、これは重要なのだ。売り手が顧客ではなく、製品自体に目が行ってしまい、顧客をないがしろにすることをマーケティング・マイオピア(近視眼)という。

 

いろいろとマーケティングを学んでいる人間にとっては「知ってるよ!」ってことが多い内容かも知れないですが、しっかりと復習することが何よりも重要なのですよね。

 

私個人的には「マーケティングの本質」と「製品、サービス、ブランド」のところがガツガツ心に刺さりましたね。

 

マーケティングの本質

顧客ニーズの理解なのですが、そのまえに「ニーズ」「ウォンツ」の説明をちゃんとしてくれるのが、本書の優しいところ。

ニーズとは欠乏を感じている状態のことであり、マーケット分析をするヒトが作り出すものではなく、人間に本質的に備わっているものである。一方、ウォンツは、このニーズが文化的背景や、個人の特徴を通して具現化されたものなのである。そして、ニーズを具体化したウォンツが顧客の購入できる値段であれば、そこに需要が生まれるのだという。優れたマーケティンを実践している会社は、顧客のニーズとウォンツ、需要を知り、それを理解するための労を惜しんでいないというのだ。

マーケティング経営管理の観点からとらえたものをマーケティング・マネジメントと言い、「ターゲットとなる市場を選定し、その市場との間に収益性の高い関係を構築する技術および科学」と定義することができる。そして、マーケティング・マネジメントの設計は生産志向・製品志向・販売志向・マーケティング志向・ソサエタルマーケティング志向の5つの志向から語られる。

顧客主導型マーケティングはど真ん中なマーケティングのように思える。が、そんな簡単な話ではない。顧客主導型マーケティングが成り立つのは、はっきりしたニーズが存在する場合や、顧客が自分の欲するものを理解している場合である。顧客自身が欲するものを自覚していない状況の場合は、顧客誘導型マーケティングが必要になる。スマホや、カーナビ、デジカメなど、それまでなかった商品の場合は、顧客誘導型のマーケティングでないと、戦略が成り立たなくなってしまう。

狭義の顧客リレーションシップ・マネジメントはCRMの範囲に収まる。広義の顧客リレーションシップ・マネジメントとは、優れた顧客価値と顧客満足の提供により、収益性の高い顧客リレーションシップを構築・維持していく総合的なプロセスとなり、顧客の獲得から維持管理までが含まれる。顧客リレーションシップ・マネジメントの最終目標は、大きなカスタマー・エクイティを生み出すことである。カスタマー・エクイティとは、企業が抱える既存および潜在的な全顧客の生涯価値を総計したものである。

戦略計画では、事業ポートフォリオ分析を行い、自社の製品や事業を評価することが重要となる。そのためにはまず、自社を構成する戦略事業単位(strategic business unit:SBU)を定義する必要がある。

マーケティングでは4Pが語られることが多いが、4Pは販売側の視点である。顧客側の視点は4C(Customer solution, Customer cost, Convenience, Communicarion)である。

競合他社の強みと弱みを評価する有益なツールに顧客価値分析がある。

顧客主導型マーケティング戦略を設計するための4つのステップは①市場細分化②ターゲティング③差別化④ポジショニング。

優れた顧客価値の提供につながる差別化とポジショニングがうまくできれば、それだけ強い競争優位を獲得することができる。確たるポジションというのは空約束では構築できない。スローガンやキャッチフレーズを叫んでいるだけでは不十分である。なによりも、そのスローガンを実践しなければならない。そのようなスローガンやキャッチフレーズをポジショニング・ステートメントという。「(標的とするセグメントとニーズ)にとって、我々の(ブランド名)は(差別化ポイント)という(製品カテゴリー)である」と定義するのがポジショニング・ステートメントである。

消費者の購買行動は文化的要因、社会的要因、個人的要因、心理的要因の影響を受ける。こうした要因のコントロールはほぼ不可能であるが、それでも考慮しなくてはならない。

 

製品、サービス、ブランド

サービス業においては、顧客と現場の従業員とがインタラクション(相互作用)を通じてサービスを作り出す。インタラクションが効果的になされるかどうかは、従業員のスキルと、その従業員を支援するプロセスに左右される。成功するサービス企業は顧客と従業員の双方に目を向けて、サービス・プロフィットチェーンと呼ばれる5つの輪(優れた従業員と作業環境/満足し、生産性の高い従業員/サービス価値のアップ/顧客満足とロイヤルティのアップ/利益と成長)の連鎖を重視している。

ブランド・エクイティとは、ブランド・ネームの認知がもたらす、製品やマーケティングに対する顧客反応の効果効果のことであり、ブランドの資産的価値である。そのため、選好やロイヤルティアップの獲得能力を測る尺度となる。

ブランド名として望ましいのは、以下のような性質を持っているものである。
①製品のベネフィットや品質に関する何らかの視差があること
②発音、認識、記憶が容易であること
③独特であること
④ブランド拡張が可能であること
⑤多言語への翻訳が容易であること
⑥商標登録と法的保護が可能であること

しっかりと学び続けないとダメなんですよ、やっぱり。

 

 

タイトル:コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理
著者:フィリップ・コトラー、ゲイリー・アームストロング、恩藏尚人
発行元;丸善出版