著者:ラジャ・ラジャマナー
発行元:日経BP
クオンタイムマーケティングまとめ
マーケティングというのは古典的な内容である一方、最新の情報もある世界なのだ。そのようなマーケティングの世界において「こちらに進むべし!」と教えてくれるのが本書なのだ。そして、本書の著者が唱えているのがクオンタイムマーケティングなのだ。「クオンタム」とは、科学分野の用語。意味は「従来のアプローチで説明できない影響」。そこから派生して「測定不可能なほど著しい速さや量の変化があるマーケティング」なのだ。そのようなマーケティングを実行するための手法が書かれているのが本書。マスターカードで「プライスレス」キャンペーンを企画し、実行した著者の話はすごく役に立ちます」。
クオンタイムマーケティングを読んだ理由
仕事でマーケティングに関わっているので
クオンタイムマーケティングで仕事に活かせるポイント
マーケティングで重要なのは信頼だよね。信頼を勝ち取らないと、うまく話は進まない。
クオンタイムマーケティングの目次
第1章マーケティングがたどった道のり〜古代からアルゴリズムまで〜
第2章第5パラダイムがやってくる〜これからのテクノロジー活用〜
第3章「マーケティングはいったい何をするのだ」〜マーケティングの使命を見直せ〜
第4章データのジレンマ〜その素晴らしさ、そして難しさ〜
第5章AI〜クオンタム・マーケティング最大の破壊力〜
第6章テクノロジーのビッグバン〜新マーケティング手法誕生のきっかけ〜
第7章ブロックチェーンをひもとく〜「改ざん不可」は取引を救う〜
第8章マーケティングの科学〜クオンタム・マーケターが頼るべき学問〜
第9章五感のすべてにアプローチ〜多感覚マーケティングで忘れられないブランドづくり〜
第 10 章ロイヤルティの変質〜「浮気」をしてしまうのは人間のさが?〜
第 11 章広告は、死んだ!
第 12 章私たちは「消費者」ではない。「人間」だ。
第 13 章事業とマシンへのマーケティング〜ビジネスパーソンとアルゴリズムの攻略法〜
第 14 章パートナーシップの力〜攻めも守りも「チーム」で乗り切る〜
第 15 章必須要件としてのパーパス〜「善い社会」のための取り組み〜
第 16 章倫理意識とブランドの業〜「ごまかし」はそれだけで「嫌悪」につながる〜
第 17 章マーケティングがこれから必ず直面する危機〜損失を最小限にするには〜
第 18 章誰もが未来のクオンタムCMO〜マーケターがもつべき21のポイント〜
クオンタイムマーケティングの感想
たぶんん、マーケティングの知識を何も持たず、この本を呼んだとしても、何も理解できないと思われる。なぜか? それは、世界各地で今まで行われてきたマーケティングの考え方を超えるマーケティングの話をしているから。
なんのこっちゃ。
まぁ、それくらい奥が深いと言うことですよ。
今までのマーケティングはこのように進化してきたわけです。
①プロダクト・マーケティング
→モノを中心としたマーケティング
②エモーショナル・マーケティング
→消費者の感情に訴えるマーケティング
→パーセプションチェンジなんて言われている世界がここですね
③デジタルマーケティング
→インターネットも利用して行われるマーケティング
→時間をおかなければ計測することができなかったマーケティングの結果をリアルタイムで把握できるようになった時代ですね
④モビリティ&ソーシャルマーケティング
→スマホとSNSが普及し、いつでもどこでも、どんなときでもマーケティングができるようになってしまった。
④モビリティ&ソーシャルマーケティングの段階であっても、常時接続と常時散漫や、プライムタイムの消滅など、今までのマーケティングではあり得なかったこと、今までのマーケティングではお約束だったことが通じなくなったり、無くなってしまったりしたのだ。
もう、大変。
こういう状況になって、マーケターが置かれている状況は大きく変わってきた、と著者は言います。
マーケティングに対するこうした信頼の低下は、3つの流れから生じている。第1の流れは、マーケティングの有り様が大きく変わったことだ。テクノロジーが劇的に変化し、データアナリティクス[生データを収集して分析するプロセス]が著しく進歩を遂げ、モバイル機器やSNSによって消費者の行動が変容した。それらがビジネスモデル全体にインパクトを与え、伝統的なマーケティング戦略を根底から揺さぶったのである。第2の流れは、マーケターが自分たちのマーケティング活動やそのための投資と、その成果である業績とをしっかりつなげられていないこと。その結果、彼らの努力や、彼らが生み出した価値に対する懐疑的な視線が強まっている。第3の流れは、あまりにも多くのマーケティング責任者が、マーケティングにできることやそれがどのように業績を伸ばせるのかについて、狭い見方に陥っていることだ。
④モビリティ&ソーシャルマーケティングの段階でさえ大変なのに、ここからさらにマーケティングが進化していると。その新たなマーケティングが「クオンタイムマーケティング」となるわけです。
何でそんなことが起きてしまったのかと言えば、こういう背景があるからなんですよ。
マーケティングはいま、これまでで最も劇的な転換点を迎えつつある。それがマーケティングの第5パラダイム、私が「クオンタム・マーケティング」と呼ぶものだ。人工知能(AI)、拡張現実(AR)、5G接続、IoT[インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット]、スマートスピーカー、ウェアラブル端末、ブロックチェーンといった新しいテクノロジーが消費者の生活を一変させ、マーケティングの影響力をまったく新しい次元に引き上げるだろう。
しかし、このような新たなマーケティング概念がある世界においてもユーザ(顧客)との関係性構築は重要になるのです。そして、その対象に向けてロイヤルティの階層を定義して、しっかりとコミュニケーションをしていくのですよ。こうやって書くと、今まで行われてきたロイヤルティマーケティングと同じように思えるのですが、「階層」の定義が、従来行われてきたロイヤルティマーケティングとは異なるのですよ。
ユーザーの階層は「目的」「情熱」「関係」「商売」に分かれます。
なんのこっちゃな階層ですが、それぞれはこういう意味になります。
「目的」・・・コミットメントの最上層。彼らは理念を大切にし、全面的に支持する。そして、その目的や理念を追求し続ける。
「情熱」・・・情熱が行動の原動力になっている人。目的意識が駆動するロイヤルティと同様、これも一方的な関係。
「関係」・・・人間関係。両当事者ははっきりと、もしくはそれとなく相手にコミットする。コミットメントだけでなく、多くの場合は互いに期待し合う。そして、この関係は流動的である。
「商売」・・・価値が対価によって交換される層
そして、クオンタイムマーケティングの世界においてマケターは従来の長期感書けて行うロイヤルティマーケティングを、より効果の高い「アフィニティプログラム」に進化させて実行する必要があるのです。なお、アフィニティとは「化学結合を起こしてその状態を保つ、物質または粒子同士の親和力」という意味。
で、そんなアフィニティプログワムを実行し、ブランドケミストリーを作り出すための6カ条があるのですよ。
①ロイヤルティの全階層に取り組もう
②コンテクスチュアル・プリファレンス・マネジメント(CPM)プラットフォームを開発しよう
③購買データや位置データなど、消費者のリアルタイム情報にアクセスしよう
④コンテクストコミュニケーションを大切にしよう
⑤既存のロイヤルティプログラムを活用しよう
⑥消費者に喜んで貰おう
色々新しくて、色々難しそうな感じですが、一周回ってマーケティングの基本的なことを大事にしていることは間違いなさそうです。
それはつまりどういうことかというと、こういうことです。
このごろのマーケティングについて考えるとき、一つの言葉が思い浮かぶ。それは「信頼( trust)」だ。 企業は日々、あらゆる方法で、サービスを提供する相手からの信頼を獲得しなければならない。信頼は、自社の商品や従業員を通じてはもちろん、顧客やビジネスパートナー、社会に対するサポート、そして一つひとつの顧客接点での行動を通じて、得られるものだ。 信頼関係を築き、強化すること。私は毎日、つねにそのことを考えている。
タイトル:クオンタイムマーケティング 「プライスレス」で世界的ブランドを育てたCMOが教える最新マーケティング論
著者:ラジャ・ラジャマナー
発行元:日経BP