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「地球の歩き方」の歩き方

著者:山口さやか、山口誠
発行元:新潮社

 

地球の歩き方」の歩き方のまとめ

海外旅行のお供といえば「地球の歩き方」。私も、大学時代、初めての海外を体験したシンガポールでも、卒業旅行で半月近く遊びほおけていたバンコクでも、利用した「地球の歩き方」。本書では、このトラベルガイドが誕生に至った経緯と、進化していった経緯がわかります。もともとは、オマケ扱いだったんだね。地球の歩き方。自由旅行、個人旅行なんてなかった時代から話が始まります。日本における海外旅行の歴史を教えてくれる貴重な1冊でもありますね。

 

地球の歩き方」の歩き方を読んだ理由

新型コロナによって海外旅行が制限されて1年。海外に行きたくてウズウズしていたので。

 

地球の歩き方」の歩き方で仕事に活かせるポイント

差別化ポイントをどうやって作るのか?が重要ってことですね。消費者から「選んでもらう理由」がしっかりしていないとだめなわけです。

 

地球の歩き方」の歩き方の目次

序章 ボクらの旅を、みんなへ
第1章 「自由旅行」の原石
第2章 「自由」を仕掛ける
第3章 「地球の歩き方」の創刊
第4章 みんなで作るガイドブック
第5章 シリーズ化への道
第6章 プラザ合意の波に乗って
第7章 トップシェアの孤独
第8章 世代交代のとき
終章 新しい歩き方へ

 

地球の歩き方」の歩き方の感想

2020年2月。新型コロナウイルスの登場により、自由な海外旅行というのが制限されてしまった。せっかく、華族で海外に行こうと思っていたのに。LCCも充実し、東南アジアに格安で行くことができるようになったのに。海外旅行に制限がかけられたことにより、旅行会社や、航空会社は、青息吐息だ。きっと、「地球の歩き方」を発売しているダイヤモンド社も、発行しているダイヤモンド・ビッグ社も、大変なことになっているのでしょう。

まさか、21世紀になって、自由旅行が制限されるようになるとは。

自由旅行。このキーワードこそ、「地球の歩き方」を誕生に導いた言葉なのだ。「地球の歩き方」が市販される10年前、新卒入社前の大学生に向けて誕生したのが、海外研修ツアーであり、その発展形が自由旅行だったのだ。これらを思いついたのは、就職情報誌「ダイヤモンド就職ガイド」を出していたダイヤモンド・ビッグ社の安松清氏、西川敏晴氏、藤田昭雄氏、後藤勇氏だったのだ。ダイヤモンド・ビッグ社が主催する「ダイヤモンド・スチューデント友の会」が仕掛ける自由旅行のバイブルとして登場したのが、市販化前の「地球の歩き方」だったのだ。いわば、地球の歩き方ビヨンド。

パック旅行が一般的だった時代に登場した、自由旅行という概念。ヒッピー文化や、沢木耕太郎の「深夜特急」が大人気だった時代背景もあり、そりゃ若者から人気が出てト全でしょうという結果に。でもね、大学生の就職活動を支援し、旅行会社から旅行情報を開放した会社が、この状況を黙ってみているわけがなかったのですよ。そう、リクルートがこの市場に参入してきて、大激戦に。この激戦を勝ち抜くための武器が「地球の歩き方」だったのですね。

ダイヤモンド・ビッグ社と、ダイヤモンド・スチューデント友の会と、旅行好きな人間が作れる差別化は何か? そのような観点から生まれたのが「地球の歩き方」であると言っても、問題はないでしょう。安い航空券を仕入れてきて売る。安いホテルを見つけてきては、売る。これだけでは、他社と差別化はできませんからね。やすさで差別化しようとすると、やすさで競争優位性を出そうとすると、最後は0円になっちゃいますからね。

この本は「地球の歩き方」誕生の秘話と、成長の物語を中の人が語る内容となっています。その物語を楽しむのもよいのですが、1970年代から2000年にかけての日本の旅行業界の流れや、差別化ポイント(競争優位性)の作り方を学ぶにも最適なテキストとなっておりますよ。

 

 

タイトル:「地球の歩き方」の歩き方
著者:山口さやか、山口誠
発行元:新潮社