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ロッテを創った男 重光武雄論

著者:松崎隆司
発行元:ダイヤモンド社

 

ロッテを創った男重光武雄のまとめ

ロッテは在日韓国人であった重光武雄が設立したお菓子メーカーだということを知っている日本人は多い。しかし、そんなこと、よっぽどのネット右翼しかきにしない。コアラのマーチを食べ、雪見だいふくを食べ、ガーナチョコレートを食べ、ガムを噛んでいる。しかし、このようなお菓子メーカーであるロッテはロッテという会社の一面しか表していない。その実は韓国第五位の巨大財閥。故郷韓国に恩返しをしなければ、財閥として成長しなければ、韓国政治に飲み込まれなければ、一族みんなは今より平和だったんじゃないか?と思ってしまう。もしくは、親族を経営陣に取り込まなければね。ロッテという巨大企業の成り立ちを知り、かつ韓国財閥について知りたくなる本ですね。

 

ロッテを創った男重光武雄を読んだ理由

巨大お菓子メーカーロッテの成り立ちを知りたかったから

仕事に活かせるポイント

カリスマ性のある創業社長の後継者だよな、問題は。

ロッテを創った男重光武雄の目次

I青雲の志を胸に
第一章 貧困にあえぐ名門に生まれて
第二章 玄界灘を越えて東京へ
II 「ガム」でつかんだ成功
第三章 株式会社ロッテ設立
第四章 卓越したマーケティング
第五章 板ガム進出と流通販売網の整備
III ガーナチョコレートと韓国進出
第六章 ハリスを抜きガム業界トップに
第七章 「製菓業の重工業」チョコレート
第八章 日韓国交清浄かと韓国進出
第九章 球団買収と自由化への対抗
IV 日韓逆転の1980年代
第十章 資本自由化の裏で進めた多角化
第十一章 財閥化の端緒、ホテルと百貨店
第十二章 日韓逆転、ロッテ財閥への道
V 韓国有数の財閥への道
第十三章 韓国第五位の財閥に
第十四章 重光武雄の見果てぬ夢
第十五章 重光武雄の経営論

 

ロッテを創った男重光武雄の感想

韓国名、辛格浩。日本名、重光武雄。日本が植民地支配をしていた朝鮮半島で生まれ、日本の大学で学び、気がついたら在日韓国人として日本でロッテというお菓子メーカーを作り上げた人。戦後の混乱期に生まれた企業ということで、ホンダや、ソニー、京セラと同じですな。しかし、それら企業と同じように語られることはなかった会社。その理由は、創業社長であった重光武雄氏が、なかなか人前には現れなかったからなんだと、私は思う。あとは、昭和の時代にはまだ強くあった、在日韓国人差別も理由の一つだったとおもう。

重光武雄がどのようにロッテという会社を産みだし、成長させていったのかが、本書ではよくわかる。先行する大手企業であった森永製菓や、明治、ハリスとどのように戦ったのか?がしっかりとかかれている。後発企業であることを十分認識し、アメリカをはじめとした世界の状況を学び、それを日本市場に反映する。日本の商習慣を理解しつつ、それを越えていく。小さな小売店をくまなく回り、消費者の状況をしっかり把握する。そして、その情報を自社だけでなく問屋にも提供する。真似をしようとしても、なかなかできないことをロッテの皆はやってのけたのだ。それができるような体制を重光武雄氏は創ったのだ。

信用、信頼をモットーとしていた重光武雄氏。

そうやって稼いだお金を故郷韓国還元していった重光武雄氏。このように成功した人が故郷に錦を飾ること、恩返しをすることを朝鮮儒教では衣錦還郷というそうな。故郷は大事に思っても、そこまでのことをしようと思わない薄情者の私は「大変ですね」と思ってしまうのです。が、地元の英雄が皆をもてなすことは、当事者になってみないと、そのよさがわからないのかもしれませんね。

何しろロッテ財閥は韓国第五位の巨大財閥なんですから。日本だとお菓子メーカーとしての顔がメインですが、韓国では巨大なコングロマリット。ただ、そんな巨大財閥創業者である重光武雄氏が亡くなったことで、混迷を極めているのは経済ニュースで知られている通り。

何でなんだろう? そんな一族で争わなくていいのにな、何て思ってしまう私は庶民だからでしょうね。財閥だから一族郎党が集まって大騒ぎするのでしょうね。でもさ、韓国の財閥って初代とか、二代目が権力を持っているところばかりじゃないですか。ロッテもそうですが、代替わりが進み、血縁者が増えていったらどうなるのでしょうね?

そこを今度、調べてみよう。サムスンとか、ヒュンダイとか。

 

 

タイトル:ロッテを創った男 重光武雄
著者:松崎隆司
発行元:ダイヤモンド社