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タイトヨタの経営史 海外子会社の自立と途上国産業の自立

著者:川邊信雄
発行元:有斐閣

 

まとめ

アジアのデトロイトと呼ばれているタイ。タイの自動車メーカーはないけれど、世界各国の主要な自動車メーカーが工場を構える国。そんな在タイ自動車メーカーの老舗で、タイで高いシェアを誇るトヨタ自動車。そんなタイのトヨタ自動車の成田に迫った1冊。海外にある日本企業の歴に迫って、その国の経済制度を学ぼうという視点が斬新。中国で行われていた政策と似ているけれど、ある時点から中国とは大きく異なってしまったんだな、だから西側諸国は中国に起こっているんだな、と。

 

この本を読んだ目的

ASEAN諸国でお仕事をすることになったので、そんな情報をひたすら仕入れております。

 

目次

第1章 自立化はなぜいかにして達成されたか
第2章 タイ自動車産業におけるタイトヨタ
第3章 タイ自動車のタイ市場への進出
第4章 国産化への組織の対応と人事・教育制度の確立
第5章 自動車市場の急速な拡大と自由化制作への対応
第6章 アジア・カーの誕生と通貨危機
第7章 輸出基地化とグローバル・スタンダードの確率
第8章 環境問題と「エコカー」の開発
第9章 発見事実と今後の課題

 

感想

ハイラックス、マーチ、ミラージュ。メイドインタイランドの自動車が日本にたくさん入ってきております。まぁ、スズキはハンガリーや、インド製だけれどね。世界各国で生産されている自動車。21世紀の今、ものすごく当たり前になっているのですが、これって実は最近の話なんだよね、と。

 

昔々は、日本から完成車を輸出することが一般的だった。しかし、時代は流れ、貿易摩擦が大きくなり、変動相場性に移行してからの円高の影響で、自動車メーカーは工場を海外に作り、自動車の地産地消を始めるようになった。

 

地産地消

いってしまえば簡単だけれど、自動車というのは、ものすごく裾野の広い世界。トヨタ「だけ」が海外進出しても、自動車を生産することができない。部品メーカーも、同じように海外進出してくれないと、ダメなのだ。

 

海外進出すなくてはダメなのだ~と書いても、21世紀であれば普通のことだけれど、今から60年前であれば、社運をかけて行うようなことであった。

 

60年前、トヨタは世界No1の自動車メーカーではなく、日本の名古屋の自動車メーカーに過ぎなかった。KAIZENも、トヨタ式も、まだまだメジャーになっていないような会社だったのだ。

 

そんな日本の一企業が、どのように海外に進出し、海外で仲間を増やし、そして、その国をリードするようになったのか?に迫った1冊。まずは、タイ資本企業と協力し、パーツを持ち込んでのノックダウン生産。それから、パーツの現地調達割合を増やしていく。徐々に生産規模を大きくしながら、合わせて社員のスキルも上げていく。

 

ここまでは、中国で行われていたことと同じ。

 

しかし、ここからが違った。タイは外資に自動車生産を開放し、世界中から自動車メーカーの工場を誘致した。もちろん、パーツメーカーも世界から誘致し、二次受け三次受けのパーツメーカーの育成に励んだ。複数階層のパーツ製造工程が実現したのは、オートバイの製造が一足先にタイで行われていたからなのかもね。

 

なかなか外資に自動車生産を開放せず、かつ、外資の技術を移行して、中国国産化に励む中国と大きく違うんだよなぁ。

 

そういうタイにおける製造業の歴史がわかる素敵な本。そして、タイトヨタの歴史もわかる素敵な本。

 

ハイラックス、ほしいなぁ。

 

 

 

タイトヨタの経営史--海外子会社の自立と途上国産業の自立

タイトヨタの経営史--海外子会社の自立と途上国産業の自立