著者:賽助
発行元:ディスカバー・トゥエンティワン
まとめ
四十歳も中盤を過ぎたおっさんであっても、引き込まれてしまう青春小説。中学三年生の夏という、ものすごく貴重で、かつ大人と子供の境界線上で起きる物語。いまから30年近く前に「そんなことあったっけかな?」何て思ってしまう。いや、ないんだけれど。思いは一気に、埼玉県の荒川沿いに吸い込まれる一冊。青春小説って、愉しいなぁ。
この本を読んだ理由
汚れてしまった心と疲れきった脳みそをリフレッシュするため
仕事にいかせるポイント
とくになし
目次
鉄塔94
リバーサイド荒川
つきのみや
おみおくり
君と夏が、鉄塔の上
短編まだ幽かな冬
文庫版あとがき
感想
場所は埼玉の浦和。時期は夏。主人公は中学三年生。キーワードは鉄塔。
いままでは「同じ地域だから」という理由で通っていた学校も、中学で終わり。高校からは、それぞれ別々の道に進む。主に偏差値という分類にしたがって。だから、いろんな特徴、様々なスキルを持った友人と出会えるのは、中学が最後なんだ。
行きなり現れるのは、改造自転車で空を飛ぼうとする少女。そして、その少女を見つける少年。霊感に強いという人もいれば、やけに鉄塔に詳しいやつもいる。
そして、完成しないタワーマンションは心霊スポット。
おっさんになれば「そんなことあるかい」って片付けてしまうけれど、中学生ならマジかもしれないと思ってしまう。
いや、私の中学時代は、こんな感じだったかもしれない。
読み進めれば、進めるほど、自分の中学時代を思い出してしまう。
片思いをしていた女の子との別れを、楽しい時間を過ごしていたはずなのに、終わりが来てしまうことは、異次元異世界に紛れ込んでしまうのと同じだよな、ということはおじさんもわかるのですよ。
タイトル:君と夏が、鉄塔の上
著者:賽助
発行元:ディスカバー・トゥエンティワン