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THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス

著者:福田康隆
発行元:翔泳社

 

まとめ

THE MODELとは、社内にマーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの部署を作ることではないのです。そのプセス管理をすることは、主題じゃないのです。THE MODELの主題、一番のキモというのは、営業やマーケティングに再現性を持たせることなのです。まぐれと偶然と奇跡が重なったのではない、営業のスーパーマンである●●さんだから成り立ったのではない、ある一定のスキルを持っている人間が、そのプロセスをたどれば、同じような結果を出すことができる。そのような状況を作り出すことこそが、THE MODELの極意なのですね。で、「ある一定のスキル」という抽象的な内容も、THE MODELで実施するそれぞれのタスクによって定義されるという。さすがの仕組みなのですね。

この本を読んだ理由

再度、THE MODELについて知りたくなったから

仕事に活かせるポイント

様々な点を仕事に活かせることはできます。が、その中でもやはり「営業とマーケティングのプロセス管理」であると言うことと、営業とマーケティングに再現性をもたらすためのモノだと言うことですね。そして、しっかりとしたプロセス管理を行えば、再現性が高まると言うことは「製造業」においてはできているのだから、こちらの世界(営業とマーケティング)であっても問題なくできるでしょうと言うことですね。

目次

第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル
第1章 マーク・ベニオフとの出会い
第2章 営業のプロセス管理
第3章 「ザ・モデル」のその先へ
第2部 分業から共業へ
第4章 2つの変化
第5章 分業の副作用
第6章 レベニューモデルの創造
第3部 プロセス
第7章 マーケティング
第8章 インサイドセールス
第9章 営業(フィールドセールス)
第10章 カスタマーサクセス
第4部 3つの基本戦略
第11章 市場戦略
第12章 リソースマネジメント
第13章 パフォーマンスマネジメント
第5部 人材・組織・リーダーシップ
第14章 人材と組織
第15章 リーダーシップ

感想

著者の福田さんは本書の冒頭部分で、強烈なことを言っている。組織体制や、評価指標だけを単純に真似ても、だめだ、と。形から入るケースが多いが、そのまま適用できるモデルはないと。

私が、本書をもう一度読もうと思った理由は、まさにこれです。

THE MODELというフレーズが大ブームとなり、猫も杓子もTHE MODEL状態だった時代から、幾年月。ブームは落ち着いたけれど、成功したという話は、Salesforce以外から聞いたことがない。なぜなのか? そんな、THEMODELについて知りたかったのだ。

そして、「なんで、THE MODELのブームが成功をもたらさないで終わったのか?」ということも、本書の冒頭に登場した。

ビジネスにおいて重要なのは再現性。

これにつきるな、と。

このフレーズが出てきたのは、以下の場所からなのですが、これこそが「なんちゃってTHE MODEL」が大量生産された理由なのだな、と納得できました。

成功モデルとは完成したモデルではなく、完成に至る過程で行われた何百何千という意志決定のプロセスそのものだからだ。それを自分のものにすれば、環境や条件が変化しても自ら対応できる。これこそ、私がビジネスで最も大事だと考えている「再現性」だ。

マーケがリードを獲得して、MAでコミュニケーションして、スコアがある一定以上になったらインサイドセールスに渡して、その中から見込み有と判断されたリードを営業(フィールドセールス)に渡してクロージングする。こういう体制と、仕組みと、ツールを整えた。だから、今日からTHE MODELができるぞ! と思ってしまった企業が行った「なんちゃってTHE MODEL」が、屍のヤマを築きあげたのだな、と。

見た目だけ真似ても、形だけ真似てもダメなんだよ。

各プロセスで設定するKPIは、それぞれの企業で違うのだから、そのKPIを設定してもムダなんだよ。

しっかり自社の営業プロセスを見直して、そのプロセスをベースにTHE MODELを構築しないとダメなんだよ。

そう。自社の営業プロセスがある程度形になっていなければ、そもそもTHE MODELを導入しようと思っても、無理なんだよ。

だって、THE MODELは営業とマーケティングのプロセス管理のフレームワークだからね。管理対象となるプロセスがなければ、話が始まらないのですよ。

営業や、マーケティングが属人的になっていちゃ、つらいなぁ。。。ってことですよ。

ただね、ある程度プロセスがあって、THE MODELが適用できさえすれば、明るい未来が待ていると言うことは、間違いないのですよね。プロセスが管理され、タスクの範囲が定義されると、最終的な売上だけでなく、様々な中間指標を確認することができるようになりますからね。その中間指標があることで、売上の予測もできるようになりますし、それぞれのプロセス単位で高速PDCAも回せるようになりますから。そしてなにより、「このプロセスで定義されているタスクを実行できるようになったら、つぎにこのタスクができるようにスキルを身につけてください」という教育にも使えると言うことだ。

さすがだな。

よくよく考えられているんだな、THE MODELは。

そして、本書にも出てきますが、組織を細かくわければわけるほど、組織間の争いは起きてしまうのですから、営業の部署を「マーケティング/インサイドセールス/営業/カスタマーサクセス」と安易にわけないことですな。わけるのはプロセス。部署じゃない。そして、プロセスを定義したら、しっかりと次のプロセスに進める条件を定義する。タスクの範囲を明確化して、部署を分割することじゃないのですよ。「この状態なら、次のプロセスに進める」という移行判定基準をしっかり作ることが、何よりも重要なんですよ。

Salesforceから生まれたTHE MODELというフレームワーク。その名前と、わかりやすい矢羽根での説明が間違った「なんちゃってTHE MODEL」を大量に生み出しましたが、実のところはまったく違うって話ですね。

 

 

タイトル:THE MODEL マーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
著者:福田康隆
発行元:翔泳社