著者:佐宗邦威
発行元:クロスメディア・パブリッシング
まとめ
ビジネスで最後に求められるのは決断です。決断を行うために必要なのは「全体を俯瞰してまとめ上げる」こと。このスキルを身につけるのに必要なのがデザイン思考であると。そして、社会が成熟するに従って、企業は非連続的なイノベーションを生み出し続けなければならない。そうやって生き残っていかなければならない時代にあって、必要なスキルがデザイン思考なのだとな。
この本を読んだ理由
最近「デザイン思考」という言葉を仕事中によく耳にするモノで。ちゃんとした知識を身につけようと思いました。
仕事に活かせるポイント
この本すべてです。
目次
序文 入山章栄(早稲田大学ビジネススクール准教授)
はじめに
chapter 0 21世紀型教育の先進国アメリカ
chapter 1 デザイナーから学ぶハイブリッド知的生産術
chapter 2 作り手魂の学校
chapter 3 創造的問題解決の羅針盤
chapter 4 創造モードへのスイッチ
chapter 5 デザインというビジネス・キャリア
chapter 6 デザイン思考は幸せに生きるためのライフスキル
感想
デザイン思考がもてはやされていますが、いまいち、「デザイン思考って?」という感じで理解し切れていない。仕事でたくさん耳にするのね、と思って、本書を手に取ってみた。
「デザイン思考」の「デザイン」とは一見明確ではない課題を発見し、創造的に解決する方法論を意味していると。日本で「デザイン」というとどうしても見た目だけ、形だけの話になってしまいがちなのですが、実際宗ではないのだと。欧米では、ビジネスマンの必須スキルだと、イリノイ工科大学で学んだ著者は、語る。
イリノイ工科大学、うちの娘さんに通って欲しい大学ですね。
おっと、話がずれた。
で、なんで「デザイン思考」がもてはやされているのかというと、社会が成熟するに従って、企業は非連続的なイノベーションを生み出し続けなければならない。そうやって生き残っていかなければならない。今まで行ってきた延長線上にないものを生み出し続けるということは、今まで判断したことのないジャッジを下し続けなければならないということ。今まで判断したことのないジャッジを下すのに必要なこととは「全体を俯瞰してまとめ上げる」こと。ぱっと、全体を俯瞰して、ジャッジを下すのに、必要なのがデザイン思考なんだとな。
ほほう。
このようなデザイン思考を行うに当たり(この動詞で正しいのか?デザイン思考をするのか?まぁ、いいや)、デザイン思考の総本山ともいえるIDEOでは「イノベーションに不可欠な3つの要素」として、次の3点を挙げている。これらを身につけて、デザイン思考を身につけろ、と言うことだな(いや、因果関係は逆か?)
①構想:人間にとって望ましい姿を構想する=デザインの役割
②実現:再現性を持って実現することを可能にする=エンジニアリングの役割
③商売:社会にとって影響力を広げていく商売の仕組みを作る=ビジネスの役割
なんだろう、深いなぁ。すごい抽象的で、「そんなこと簡単じゃん」と言い切ることもできるし、「深すぎて私は何をすればいいのかわかりません」と答えることもできる。
今まで培った経験から、この3点を作り上げることもできますが、それだと発想は広がらない。新しいことは生み出されない。新しいことを生み出すためには思考の訓練が必要なわけですよ。
では、その訓練はどうすればいいのか?
普段無意識に自分が触れている世界とは違う世界に触れて、思考の幅を広げるんだな。
具体的に、その広げ方は「人間横断(自分とは全く違う環境の人の生活に触れる)」「分野横断(共通項を持ちながら全く違った分野での例に触れる)」「地理横断(世界の全く違った場所で怒っていることに触れる)」「時間横断(歴史的な観点から時代を経て怒っている違いと共通点を知る)」なんだな。
一言で言えば、自分の知識の向こう側に触れろってコトかな。
そうやって広げた発想、幅白く集めた情報を「発想のためのアナロジー(自分の身近なモノと結びつける)」と「伝えるためのアナロジー(自分の身近な元を全く違うモノと結びつける)」で、デザイナーはアナロジー思考しているという(また、動詞はこれでいいのか?)。くっつけたり、離したり。離したり、くっつけたりして、様々なことが類推できる=アナロジーできるようにならないとだめなんだな。
そうして頭の中で、モヤモヤモヤモヤ整理しあれた内容をストーリーとしてまとめる。そんなストーリーは長文、大河小説ではだめなんだ、と。物語の最小構成要素は次の4つだ。「誰」「なんのため」「どうする」「最終的にどうなる」この要素だけで物事を整理するのが重要。
こうやって整理されてきた情報を、素早く形にし、つまりプロトタイピングを行い、検証をしていくのが必要だと。
奥が深いなぁ。そして、学び続けなければだめなんだなぁ、と。「いや~なかなか大変だな」と思っていちゃ、だめ。21世紀型スキルとして、下記が整理されているのですよ。さぁ、このスキルもあわせて身につけましょう。
・思考の方法ー想像力とイノベーション、クリティカル思考と問題解決、意思決定と学習
・仕事の方法ーコミュニケーション、コラボレーション
・仕事の道具ーICT(情報通信技術)とデジタルリテラシー
・世界で暮らすための技能ー市民性、生活と職業、個人的および社会的責任
いろいろためになりますが、本書の中で、ちょいちょい紹介される参考図書が、ものすごく良い。すごく読みたくなる。
あと、紹介されてはいませんでしたが、アナロジーが頭にこびりついたので、細谷さんのこの本も読みたくなりましたね。
学び続けることばかりだ。