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なぜ「戦略」で差がつくのか。 戦略思考でマーケティングは強くなる

著者:音部大輔
発行元:宣伝会議

 

まとめ

元P&Gで、その後、ダノンや、ユニリーバ、日産や、資生堂マーケティング組織の作成と、マーケティングの実行を担ってきた音部さんの本。音部さんの思考のコアである(とおもわれる)「戦略」に関する考え方を教えてくれる本。言霊じゃないですが「なんのために」「どうして」というところを突き詰める、しっかり定義しないと先に進めないんだなぁと痛感。

 

この本を読んだ理由

尊敬する音部さんの本なので、読みましたよ。

 

仕事に活かせるポイント

目標の立て方と戦略の考え方は、すぐにでも役に立ちます。

 

この本の目次

はじめに

CHAPTER 1 戦略を定義つける
01 戦略を定義するための出発点
02 戦略があると何が良いのか
CHAPTER 2 戦略の構成要素①「目的」を解釈する
01 目的にはいいものとそうでないものがある
02 いい目的を設定する強い味方 SMACとSMART
03 「目的」を別の角度から眺めて、再解釈する
04 「目的」を再解釈する具体的な手法
CHAPTER3 戦略の構成要素②「資源」を解釈する
01 「資源」を解釈し直す
02 資源を考える①内部資源
03 資源を考える②外部資源
04 資源を考える③認識しにくい内部資源 内部資源になりそうなもの
05 資源を考える④認識しにくい外部資源 外部資源になりそうなもの
06 複数の資源を効率的に運用する
CHAPTER4 戦略の効用
01 戦略を持つことで何が変わるのか
02 戦略があれば不測の事態に対処できる
03 戦略と再現性に固執する
CHAPTER5 戦略を組み立てる
01 戦略を組み立てるための思考法
02 戦略の階層 上位の手段が会の目的になる
03 「選択と集中」がなぜ必要になるのか
04 「選択と集中」を説明する概念
05 「選択と集中」を妨げる概念
06 複数の視点を獲得する
07 戦略を文章化する
CHAPTER6 戦略を管理する
01 戦略をいかに実行に移すか
02 戦略を変更すべきとき
CHAPTER7 戦略的に考える
01 最悪の事態を回避するための思考トレーニン
02 不確実性を読む
CHAPTER8 「戦略」をより深く理解する
01 実践的な思考の道具としての戦略
02 従来の戦略論とどう関連するか


感想

戦略という言葉は、よく独り歩きしてしまう言葉です。戦略に振りまわされ、戦略をたてるために、戦略をたてるような状況になってしまうこともあったりする。

そんなわけのわからない状況をなんとかするにはどうすればいいのか? マーケティング界の生きる伝説である音部さんが教えてくれるのが本書。

 

では、どうすれば良いのか? その考えはシンプルであり、具体的なのです。たとえば、セが必要な時はどんな時か? この問に対して、音部さんはズバッとシンプルに回答してくれます。戦略が必要な理由は「達成すべき目的があるから」と「資源に限りがあるから」だと。どっちかがかけていては意味がないと教えてくれます。

 

また、戦略がある利点を次の4点にまとめています。
①効率的に資源を運用することで、効果的に目的を達成することができる
②経験値を獲得できる
③意思決定に役立つ
④計画に一貫性と安定性が出る

 

となると、戦略と目的は似たようなものなんじゃないかって話になるのですが、音部さんいわく、それも違うと。では、どのように違うのかというと、次のように教えてくれます。

 

戦略は、目的をどうやって達成するかを示すべきもので、目的そのものであるべきではない。戦略が具体的な行動計画を導くものであって計画そのものではないように、目的は戦略が達成を助けるものであって戦略そのものではない。

 

目的は達成すべきものであり、戦略はそれを助けるものだと。

つまりはこういうことだと。

 

戦略は、目的を達成するためのなにがしかの方針・指針であると考える。

 

 

そうなると重要なのが、目的を設定する方法になるわけですよ。その目的設定の方法も、音部さんが働いてきた外資系企業の経験をもっておしえてくれますと。目的設定のための道具は「SMAC」「SMART」の2種類があって、それぞれの意味はこうですよ、と。


「SMAC」
S…Specific(具体的)
M…Measurable(測定可能)
A…Achievable(達成可能)
C…Consistent(一貫性がある)

 

「SMART」
S…Specific(具体的)
M…Measurable(測定可能)
A…Achievable(達成可能)
R…Relevant(関連性がある)
T…Time-bound(期限設定)

 

では、具体的に目的をどう解釈すればよいのか? それを戦略に落とすにはどうすればいいのか? 本書はそこまで教えてくれます。さすがとしか言えない、素敵な本です。