著者:羽生章洋
発売元:技術評論社
目次
第1部 要件定義って何だろう?
Chapter-01 要件定義=要件を定義すること
Chapter-02 要件定義の基本的な流れ
Chapter-03 定義すべき要件の内訳
Chapter-04 3つの要素の定め方
第2部 要件定義の詳細
Chapter-05 要件定義,その前に
Chapter-06 企画を確認する
Chapter-07 全体像を描こう
Chapter-08 大まかに区分けしよう
Chapter-09 実装技術を決めよう
Chapter-10 実現したいことを整理整頓しよう
[助走編]
Chapter-11 利用者の行動シナリオを書こう
Chapter-12 概念データモデルを作る
[離陸編]
Chapter-13 UIを考えよう
Chapter-14 機能について考えよう
Chapter-15 データについて考えよう
Chapter-16 要件定義の仕上げ
Chapter-17 要件定義,その後に
感想
いやはや、要件定義に関して、しっかり勉強できる本ですわ。
まぁ、若者にとっては勉強でして、年行った方々にとっては再確認というか、整理ですな。
そもそも要件てなんだか知ってますか?
これ、辞書引いても出てきませんわ。
それは作って欲しい人が一方的に要求をならべるだけでは要件とは言えないということです。どういうことかというと、創る側の人が「これなら作れます」と言える注文でなければ、実現不可能な依頼だということです。
そうなんだよね。
要求確認は夢を語る場面ですけれど、要件定義っていうのは現実を見つめる作業なんですわな。
「これならできる」という実現可能性を語るわけなんですわな。
で、実現可能性って何かといいますと
「これなら作れます」とすんなり言える場合はよいのですが、「これは難しいです」あるいは「これは無理です」という場合、それがどういう理由によるのかが裏側に存在するからです。たとえば、「作る人の実力が足りない」のであれば、それは依頼先を別の人にすれば実現できるかもしれません。あるいは「現実的に無理:というような場合があれば、要求自体を改める必要があるでしょう。他にも「予算が足りないから無理」とか「基幹が足りないから無理」というようなケースも現実には多く見受けられます。
できる、できない、こうだったらできるというのを要求に対して行っていくのが要件定義なわけですな。
そうやって、作って欲しい人と作る人の間の合意を取っていくことが要件定義なわけですな。
ちなみに要件定義は・・・
作って欲しい人の要望
↓
作って欲しい人の要求(要望の整理)
↓
作る人の検討
↓
作るひとの提案
↓
作って欲しい人の検討(作る人の提案に対してね)
↓
作る人と作って欲しい人の合意(これが要件定義)
あとね、要件定義というのは要件定義をするのが目的じゃないのよね。
作って欲しい人が求めているのは、
完成したソフトウェアがもたらしてくれるであろう期待している便益(ベネフィット)
なのよね。
要件定義書というドキュメントを作って欲しい人は求めているのではない。
ベネフィットを手に入れる手段として要件定義書というドキュメントが欲しいのだ。
無論、いきなりベネフィットを顧客に提供することができないので、プロジェクトおゴールは「そのソフトウェアを利用できる状態にする」ことなのだな。
とはいえ、要件定義の元になるというか、そのサービスを作る最初の企画というのがあるわけで、その企画がずれてしまっては元も子もなくなるわけですよ。
その企画をまとめる、つまり企画書を作るのに必要な情報は
①プロジェクトの名称
②なぜ・目的
③何を・目的達成のために作るもの・作るものの説明・作るものを利用する人・利用する人が得られる便益
④作るための体制・期限
なんだとな。
こういうところをベースに要件定義を進めていくのですわな。
無論、要件定義は設計・開発という後工程が待っているので、後工程を請け負う人々と歩調を合わせていかなければならないわけですわな。
いきなり、確定した要件定義書をぽ~んと投げて、後工程を担う人たちから「できません・・・」という声が聞こえてきてはダメなんですわな。