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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

事例でわかる 新・小売革命

著者:劉潤
発行元:中信出版日本株式会社

 

まとめ

2つの意味でやばいな。まず、1つ目。わたしたちは、少なくとも、わたしは日本の事例で、そして少しのアメリカの事例で満足していた。それがすべてだと思っていた。そんなわけない。中国のことを、特に中国のIT業界のことを知らねばならない。そして、2つ目。この本を買ったのは、ほぼ発売と同日。発行は2019年4月1日。でも、積ん読しちゃって、読んだのは2020年の元旦。それだけで半年のタイムロス。半年あったら、すごい世の中は変わっているよ。情報は早く仕入れて、消化せねば!

 

この本を読んだ理由

中国のリテール業界について知りたかったんです!

 

この本の目次

第1章 ビジネス新時代を勝ち抜くニューリテールの本質
第2章 オンラインとオフラインを融合させるニューリテール
第3章 売り場効率の限界を突破するニューリテール
第4章 中間の不要なプロセスをカットして効率を上げるニューリテール
第5章 ニューリテールは今、この瞬間も進化している

 

 

感想

世界で最もE-commerceが発達している中国ではE-commerceの次の概念として、ニューリテールが登場している。この言葉はジャック・マーが提唱したものだ。ニューリテールとは、インターネット思想を利用し、オンラインとオフラインを融合した小売の新業態のことをさす。「え!ECなのにオフライン?オムニチャネルってこと?」と早とちりしてしまうのですが、それとは違う。大きく違う。オムニチャネルはデータ統合とチャネル設計の話ですが、ニューリテールは、小売全体の話。

 

小売というのは最終的には、支払いをする「人」(消費者)と「物」(商品)をつなぐ「場所」なんですよ。この概念で整理すると、いろんなおのが小売となる。そして、小売とは単なるコネクタであり、商品を探す消費者の手助けをする媒体でしか無いのだ。そして、「物」「場所」「人」を徹底的に分解し、理解することでオンラインがエンパワーする(力を与える)オフラインの小売が、ニューリテールなのだ。オンラインだけで、オフラインだけで完結している世界ではない。商品の開発生産から、販売、宣伝、そして購入する消費者まで、この全体のフローに関わる人すべてが「特をする」仕組みをニューリテールと呼ぶのだという。

 

ふむふむ。それで具体的な事例は? それは本書でこってりと述べられている。それよりも気にすべきは「物」「場所」「人」を徹底的に分解し、理解する流れだ。ここを理解せずに、表面的なモノマネをしても、かなりの確率で失敗する。

 

本書ではそれぞれを以下のように分解している。

 

「物」
D…Design:商品をデザイン、設計するプロセス
M…Manufacture:工場とも呼ばれる
S…Supply Chain:一般的には総代理、エリア代理、卸売業、小売店といったメカニズムを指す。
B…Business:ショッピングセンター、スーパーマーケット、チェーンストア-などを指す。
b…busines:夫婦経営店、露店、ウェイシャンなどの個人販売を指す。
C…Consumer:エンドの顧客

 

「場所」
情報流
金流
物流

 

「人」
人物量…トラフィック
成約率…コンバージョン率
客単価
リピート率

 

このように分解してくるとデジタルで解決できそうだなぁと思うのが「場所」と「人」なのだけれど、ホントはそれだけではない。もちろん「場所」と「人」の項目にデジタルはものすごく効くのだけれど、そこだとすぐに真似される可能性も高い。「そんなにデジタルが向いてないんじゃね?」と思われる「物」の各項目、各プロセスにデジタルを組み込むのが重要になってくるわけだ。

 

ニューリテールって考え方が生まれたきっかけも、誕生するデジタルサービスの数が、消費者の数を上回ってしまい、トラフィックを稼ぐこと自体が
大変になったっていうことなんだから。「場所」と「人」だけでは辛い未来しか待ってないってことだよな。

 

で、ここで気がつくのよ。

 

これからの小売を考えた時、すごい上流からコミュニケーション設計をしないとダメだということを。そんな事ができるのか? 

と考える前に、やらないとダメなんだろうな。そうしないと生き残れないんだろうな。ということは、今後求められるのはゼネラリストのスペシャリストってことだな。

 

事例でわかる新・小売革命—中国発ニューリテールとは?

事例でわかる新・小売革命—中国発ニューリテールとは?

  • 作者:劉潤
  • 出版社/メーカー: 中信出版日本
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: Kindle