著者:川島蓉子
発売元:東洋経済新報社
目次
第1章 「TORAYA CAF´E」の開発
第2章 「とらや東京ミッドタウン店」の出店
第3章 御殿場「とらや工房」
第4章 和菓子の老舗としての存在
第5章 虎屋の経営理念
第6章 「虎屋文庫」の存在
第7章 虎屋ブランドの行方
感想
どら焼きと羊羹でお馴染みの虎屋。
そんな虎屋のブランドストーリ。
とはいっても、創業以来の歴史を辿って、「いや~日本の老舗ですね」という作りにはなっていない。
和菓子ブランドのどまんなかにありながらも、21世紀に新たな挑戦を続けているのか?
六本木ヒルズや、六本木ミッドタウン、表参道ヒルズといった「らしくない」場所に店舗を構える虎屋のブランドとは何か?
ということが記されております。
が
そんな本書のなかで刺さったのが181ページ
つまり、企業の都合だけで登場してくる店や商品に、使い手にとっての”本質的な意味”が盛り込まれていないケースが多いのだ。そこに、売上を確保するために無理をしてやっている姿勢、本来的なところから逸脱している歪み、そんなものを感じてしまう。
逆に言えば、”本質的な意味”がきちんと謳われていれば、売っている場所が限られている、あるいは必ずしも新しい商品でなくても、ロングセラーとして支持されていく要素は十分にある。難しい課題ではあるが、そこにこそ、人の知恵と技が込められていくべきなのではないだろうか。
このパートにこの本の全ては凝縮されていると思いますわ。
どら焼きと羊羹なんて、キング・オブ・コモディティ商品ですよ。
スーパーで、コンビニで、レジの横に必ず置かれている和菓子ですよ。
すごい美味しいのはなかなか出会えないけれど、おなじくらい、すごいまずいどら焼きや、羊羹にも出会えないですよ。
そういう商品をどまんなかに据えて、守り続けてきた虎屋の伝統。
なぜならば?
が、すべてあそこに凝縮されていると思うのですわ。
なんか、いろんなことを教えてくれた1冊ですわ。
タイトル:虎屋ブランド物語
著者:川島蓉子
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆(ためになりますわ)