著者:野村総合研究所 松下東子+日戸浩之+林浩之
発売元:東洋経済新報社
目次
まえがき
第1章 日本人がいま欲しいもの、欲しくないもの
第2章 キーパーソンとなる消費者プロファイル
第3章 「考えずに買いたい」人たちがモノを欲しくなる戦略
あとがき
NRI生活者1万人アンケート調査について
本書で取り上げた、NRI独自アンケート一覧
日本人の平均データ
感想
サブタイトルが「1万人の時系列データでわかる日本の消費者」。
この本は、すごいわ。
野村総合研究所こと、NRIの良心と意地が込められておりますね。
マクロミルを始めとしたオンラインリサーチサービスがたくさん登場しております。お安い値段で、自前調査ができる時代になっているのですけれど、自前調査をする前に、こういう本を読むべきなのですよね。抽出するサンプルの分母がそもそもどういうものか?が、よく分かる本です。
いままで、この本を知らなかった自分を恥じますね。
本書では日本人の消費スタイルを下記のように分けて解説してくれます。
縦軸:高くても良い/安さ重視
横軸:お気に入りにこだわる/こだわりはない
そして、それぞれ四象限をこのようにラベリングしているのです。
高くても良い✕お気に入りにこだわる
→【プレミアム消費】
・自分が気に入った付加価値には対価を払う
安さ 重視✕お気に入りにこだわる
→【徹底探索消費】
・多くの情報を収集し、お気に入りを安く買う
高くても良い✕こだわりはない
→【利便性消費】
・購入する際に安さよりも利便性を重視
安さ 重視✕こだわりはない
→【安さ納得消費】
・製品にこだわりはなく、安ければ良い
全体を紹介した後に、この四象限ん居合わせて細かい説明をしてくれるのがスバラシイね。
ちなみに、全体説明で目からウロコだったのは
情報収集すら面倒、あふれかえる情報に疲れという記事ですな(27ページ)。
もう、情報過多ですよ、と。
DeNAのように仁義も遵法意識もへったくれもなく、アフィリエイト収入のためにキュレーションメディアを運営するのとは違って、ちゃんとしたキュレーションメディアがもてはやされるのには、それなりの理由があったのですね。
でも、だからこそ、この情報の海で「騙される」方々が続出しちゃうのよね、ということになるのですね。だって、加工されて「アナタにだけオススメ!コレだけ見ていればOK!」といって情報がやってきちゃうのだもの。主体的に情報を探すことも、考えることも放棄する人がどんどん増産されるわけですよね、と。
で、そんな説明の後に、「じゃあ、どうすれば商品を買ってくれるのか?」に話が移っていきます。
では、どうすればいいのか?
お金はあるが時間がない、面倒くさい→情報をまとめ、選んで、届けよ
を!なんだ!アンテナとかGunosyからお金をもらっているネイティブアドか?と思ってしまいますwでも、あるいみ、これは正しいと思います。
が、一度この世界にハマって、安住してしまった人は「バカ」になっちゃうんだろうな、と思うわけですよ。
情報が多くて疲れた→ネットとリアルに求めるものを理解し、商品との出会いから購買までのユーザー導線を計画せよ
オムニチャネル的な考え方ですが、コレは至極全うで、ものすごく正しいのですが、データを統合・管理するインフラがないと破綻するのよね。とはいえ、コレはものすごく正しい。
この他、「ユーザーがブランドを作る→ユーザー評価にターゲットを当てた商品・サービス・マーケティングを実行せよ」とか「持つことへのこだわりの低下。借り物、中古でもいい。→シェアリングの仲介者としてのあり方を検討せよ」なんて戦略も記載されております。
この本にかかれていることをそのまま実践するのも良いですし、逆張りするのも、またけっこう。ちなみに、ワタシ、逆張りすますがね。どっちを選ぶにしろ、根拠がしっかり書かれているのが、スバラシイですね。
タイトル:なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?
著者:野村総合研究所 松下東子+日戸浩之+林浩之
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(良い本ですね)