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倒れゆく巨象 IBMはなぜ凋落したのか

著者:ロバート・クリンジリー
発売元:祥伝社

 

目次

落日のビッグブルー―なぜIBMは今日の絶望的な状況を迎えたのか
巨象の体質―アメリカを象徴するブランドを支えた保守性とマイペース
外様経営者の過ち―ガースナーはIBMを建て直したと同時に衰亡の種も蒔いた
まやかしのロードマップ―企業目標は二〇一五年にEPS二〇ドルを達成すること
巨大企業は変われない―かつての成功を追いかけ「プロセス」に固執する企業体質
読み誤ったトヨタ生産方式―リーダーたちの頭には「販売」と「コスト削減」しかなかった
二〇一五年に向けた「死の行進」―すべてはコスト削減のため‐自滅行為は繰り返される
売却された二つの事業―なぜIBMはPC事業とサーバー事業をレノボに売却したのか
秘策は自社株買い―発行済み株式数の削減に支えられていたEPS増加のカラク
メンフィスの教訓―ヒルトンとサービスマスター、二大顧客を失った理由
ビッグブルーが生き残る道―既存事業と「大きな儲け話」の問題点と解決策
破綻へと導かれる未来―現実を見失った経営陣は世界規模の再編成計画を実行した

 

感想

GMと同じように、その存在が国家と同レベルだったIBM。今となっては、GMと同じようにその面影は一切ない。昔は、日本企業のような新卒主義で、終身雇用だったのにね。どこで、どう間違えちゃったんだろうね?何が悪かったんだろうね?ということを教えてくれる1冊。

 

まぁ、IBMの内情がいろいろ書かれているのですけれど、それらを反面教師にしましょうよねってことだ。

 

例えば14ページ

サム(元CEOのサミュエル・J・パルミサーノ)も、そしてジニーも、IBMは社員で成り立っていることを忘れてしまっているのだ。会社の一番の財産が何か理解できなかったツケは、すぐに回ってくるだろう。

いや、そう。人なんですよ、人。MBAを持っている人とか、それに準じる人(大学院卒とかね)って、「人を切ればなんとかなる」と思ってる人多いんだよね。そんなに単純じゃないのに。信長の野望だって、そこまで単純じゃないのにね。

 

あと、48ページ

IBMは昔から進歩的だと言われたが、実はそれはうわべだけ。実際には、今も昔も明確な階層社会だ。階層は「王族」、「貴族」、「戦士」、「魔法使い」、「職人」、「奴隷」の六つに分かれている。昔はワトソン姓を持つ人間であれば王族になれたが、今は現CEOの一人だけだ。貴族の称号は財務部門や人事部門などの基幹業務、もしくは会社全体を管理する人間に与えられる。戦士は昔から、販売部門の人間---ここがポイントだ。魔法使いは、誤解されがちながら一目置かれる存在であるリサーチ部門の人間。職人は、塾f連下プログラマーとエンジニア。奴隷は、製造や顧客サービス、サーバー管理に携わる者たちである。
IBMのCEOは、昔から「戦士」、つまり販売畑出身でないとなれなかった。魔法使いは出世すれば貴族になれるが、決してCEOにはなれない。

 

ここだけ切り取るとものすごく日本企業のようでびっくりしてしまいますわ。でも、目標未達だと、激しく攻められて、詰め腹を切らされてしまうという、THE外資系企業な側面もあるわけですよ。

 

でかすぎて、過去の栄光にしがみついているから、変わろうとしても変われないIBMということがよくわかるけれど、同時に潰れそうだけれど、潰れない会社だということがよく分かる。

 

そんな1冊だね。

 

 

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

 

 

タイトル:倒れゆく巨象
著者:ロバート・クリンジリー
発売元:祥伝社
おすすめ度:☆☆(IBMの社員じゃなくてよかった。入れないけれどw)