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3つの国の企業で働いてわかったこと―ホンダ、フォルクスワーゲン プジョーそしてシトロエン

著者:上野国
発売元:三樹書房

 

目次

第1章 シトロエンと日本人とブランドのこと
(日本で初めての「DS DAY」;日本でのシトロエンの歴史は一九二三年から;フランスの自動車産業の歴史 ほか)
第2章 度重なる転職とその経緯について
(日本の自動車メーカーから外資系メーカーへの転職;ホンダで得た暗黙知輸入車業界で働くそもそもの発端 ほか)
第3章 そもそも就職ではなく就社であったということ
(日本経済の風景;外国に行き、世界を見てみたい;ホンダに入社;大企業を実感する ほか)
第4章 ドイツ国民車製造会社
(支配者として君臨するドクター・ピエヒ;英国人を理解するにはチャーチルを読め;伝統的な日本の大企業ではあり得ないこと ほか)
第5章 日本的な存在としてのトヨタ
(異質なものを取り込み発展するトヨタ自動車産業の歴史的転換を目撃した佐吉;報徳思想の影響 ほか)
第6章 販売の神様
(絶対的な信頼を前提とした仕事;運命共同体的は販売網;トヨタの組織文化をより強固にした販売網 ほか)
第7章 獅子の標章
(五度目の転職;プジョーシトロエン・ジャポンの社長に;最良の鉄製品えにつけられた獅子の標章 ほか

 

感想

 

プジョーシトロエンジャポン社長が著者。この方、プジョーシトロエン以外にもホンダ、フォルクスワーゲンといった自動車メーカーで働いた経験を持つお方。日独仏の企業で働いたことがあるということで、3つの国の企業で、ということになるのですわな。

 

ちなみに、これらの会社以外にも、セガや、ADKでも働いた経験を持つ。

 

「それぞれ3カ国の会社の違いってなんなのかしら?」と思って読み始めたのですが、日本企業とは?というか、ホンダとは?というところに多くのページが割かれている。だからといってつまらないということではない。日本の自動車産業がどのように成り立っているのか?自動車を販売するとはどういうことなのか?ということがよく分かる。ホンダの人事育成制度というものに関して模様わかる。

 

そして、ホンダと同じくらいページを割かれて紹介されているのが、セガ。この著者は、ドリームキャストマーケティング責任者だったのですな。個人的にはソッチのほうが気になりましたわ。イケイケドンドンだったセガが、ドリームキャストを投入し、ドリームキャストが失敗して、家庭用ゲームハードから撤退していく。その過程が事細かに書かれているので面白いのですわな。

 

ま、それはさておき。

 

日本人の感覚としては就職ではなく、就社なんだな、と。無垢な状態で会社に入り、その会社でしかつうう要しないスキルを身につけて、会社のために生きていく。

 

それが、日本企業。

 

じゃあ、外資のほうがいいのか?というと、そうでもない。機密保持の観点から現在のプジョーシトロエンについては書かれていない(と思われる)けれど、フォルクスワーゲンについてはいろいろ内情が描かれているのですよ。ポルシェ家とピエヒ家の確執がね。それも、kdfが誕生した頃、つまり、フェルディナント・ポルシェの時代に遡ってね。

 

こんな、血筋だ、家柄だと騒ぐ世界も嫌だよね。

 

そう考えると、ゼガのような、日本企業だけれど外資っぽい会社が自分には向いているのだわ。

 

なんてことがよく分かる1冊。

 

まぁ、創業社長のワンマン企業が嫌だとか、自由と一緒に責任を負わされるのは嫌だ、と思う人もいるでしょうなぁ。

 

タイトル:3つの国の企業で働いてわかったこと
著者:上野国
発売元:三樹書房
おすすめ度:☆☆☆(好きな仕事ができる会社が好きな会社だな)