著者:小川哲
発行元:集英社
地図と拳
まとめ
第168回直木賞受賞、第13回山田風太郎賞受賞は伊達じゃない。60年に渡る大河ドラマ。国家間の争い、宗教の争い、民族の争い、人同士の争い…満州という、まだ、当時は空白地帯であった土地で繰り広げられる物語。原野が切り拓かれ、街ができ、人が集まり、街は発展し、そして人々は争う。人の記憶という地図にも様々な出来事が、刻まれていくんですよ。そして、記憶という地図が完成するのですよ。
地図と拳を読んだ理由
書店の目立つところにおかれていたので
地図と拳で仕事に活かせるポイント
特になし
地図と拳の目次
序章1899年、夏
第一章1901年、冬
第二章1901年、冬
第三章1901年、冬
第四章1905年、冬
第五章1909年、冬
第六章1923年、冬
第七章1928年、夏
第八章1932年、春
第九章1932年、秋
第十章1934年、夏
第十一章1937年、秋
第十二章1938年、冬
第十三章1939年、夏
第十四章1939年、冬
第十五章1941年、冬
第十六章1944年、冬
第十七章1945年、夏
終章1955年、春
地図と拳の感想
明治維新以降、19世紀後半以降、列強各国が勢力を伸ばそうとしていた満州。中国東北部、ロシアとの国境地帯に広がる満州は世界政治から取り残された空白地帯でもあった。
そんな空白地帯の権益を巡って争うのが北の大国ロシアと遅れてきた帝国である日本。そして、そんな2カ国の間で右往左往するのが中国。物語は日露戦争前から始まり、太平洋戦争後まで続く。
清王朝とロシアと日本の国際関係も時代とともに変化する。清王朝も中華民国や馬賊や、八路軍に中国共産党と目まぐるしく変わる。ロシアもソ連になる。そして、日本も日本帝国と満州帝国、日本軍と関東軍と登場人物が分裂する。このような状況下であっても、人々は満州の地で生活する。ただ、日常は目まぐるしく変わるし、文字通り辺境の地であった満州も都会へと発展する。
街が生まれ、発展すれば、地図は書き換わる。街が生まれ、発展するには人と建物と交通インフラが必要。
帝国主義と民族自決が、ぎゅっと煮詰まったような地で繰り広げられる歴史小説。辞書並みに分厚い本ですけど、引き込まれてしまいまして、一気に読み切っちゃいましたよ。
タイトル:地図と拳
著者:小川哲
発行元:集英社