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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

食肉の帝王 同和と暴力で巨富を掴んだ男

著者:溝口敦
発行元:講談社

 

まとめ

ハンナンの浅田満の実像に迫った一冊ですね。牛肉偽装問題の確信に迫ったルポ。この事件があった当時は「吉野家の牛丼が食べることできなくなってしまう」と言うくらいの認識だったのですが、実は全く違ったという。政治、経済、行政、そして暴力装置が複雑に絡み合った世界に君臨した食肉王だったのね。でも、一番驚いたのは日本ハムってすごい会社だということなんだ。ハムの製造販売だけじゃなく、食肉の販売も行っていたんだね。世の中知らないことばかりです。

この本を読んだ理由

日本のアンダーグランドをかたらせたらNo1である溝口さんの本だから

仕事に活かせるポイント

お金持ち、羽振りのいい人には近寄っちゃだめだってことだな。わたしは、地味に目立たず生きていきたいです。

目次

はじめに 「帝王」浅田満の素顔
第1章 伝説の奉公人
第2章 同和と暴力を両輪に
第3章 影の億万長者
第4章 北海道に進出
第5章 「永田町」と「霞ヶ関」を手玉に取る
第6章 鈴木宗男の後見人に
第7章 知事もひれ伏した大阪府
第8章 地元市長は舎弟
第9章 狂牛病騒動で荒稼ぎ
第10章 証拠を闇に葬る完全犯罪
第11章 浅田流「商売哲学」

感想

BSE問題。狂牛病問題というのが21世紀初頭、地球上を騒がせた。狂牛病に侵された牛肉を食べると、不治の病にかかってしまうぞ、と。

そのために行われたのが牛肉の輸入制限であり、国産牛の全頭検査だったのです。

その仕組を利用して悪どく設けた企業があった。

全頭検査を受ける前に枝肉、つまりお肉の状態になてしまった牛さんを国に買い取らせる仕組みを作り、証明書無しで国産牛を政府に買い取らせた悪い奴らがいる。

それが本書の主人公だ!

ほほほーん。

手にとって、読み始めたときの感想は、まさにそれだけでした。

何も考えなければ「政府が素早く動いて、牛肉に不信感を抱いている市民を救った!メデタシメデタシ」になるのですけれど、そうじゃない。

何がそうじゃないのかというと、なんでそんな仕組みができたのか?ということなのだ。

世の中、一番強いのは「ルールを作ることができる人」。

そんなルールを作る側の中心人物であった浅田満の半生を丁寧に追った1冊。

ちなみに、まだ、ご存命です。

この本を書いて、訴えられなかったのかな?訴えられたのかな?

大阪羽曳野生まれの少年。商売の才能だけで、戦後の時代を成り上がってきた男。

牛肉という高級なお肉を市民にも普及させ、更には海外からも牛肉を仕入れ、日本国内に販路を開いた男。

ダークな部分がなければ「私の履歴書」にでも出てきそうなお話。

しかし、本書にはダークな部分がわんさか書かれているわけです。

でもね、当時はコンプライアンスなんて言葉がなかった時代。

大きく金を儲けるのであれば、清濁併せ呑む事が必要だったんじゃないかと思うのよね。

ただ、時代は変わったんだよね。

 

 

タイトル:食肉の帝王 同和と暴力で巨富を掴んだ男
著者:溝口敦
発行元:講談社