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ERIA=TCERアジア経済統合叢書第7巻 ASEANの自動車産業

編著者:西村英俊、小林英夫
発行元:勁草書房

 

まとめ

東アジア・ASEAN経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East ASIA. ERIA)と公益財団法人東京経済研究センター( Tokyo Center for Economic Research , TCER )の協力によってできたのが本書。全部で10巻まであるなかで、自動車産業を扱ったのが本書。もはや論文集似近い世界。だけれど、ASEAN諸国の自動車産業について、すごいよく分かる。この叢書を全部読んだら、かなりのASEAN通になるのじゃなかろうか。

 

この本を読んだ理由

東南アジアについて仕事で関わることになったので、そのお勉強。

 

目次

序章 ASEAN自動車・部品企業の現状と地域統合
第1章 自動車・自動車部品と経済統合
第2章 タイの自動車・部品産業
第3章 インドネシア自動車産業
第4章 マレーシアの自動車・自動車部品産業
第5章 フィリピンの自動車・自動車部品産業
第6章 ベトナム自動車・部品産業の現状と課題
第7章 ラオス自動車・部品産業の現状と課題
第8章 カンボジア自動車・部品産業の現状と課題
第9章 ミャンマーの自動車・自動車産業
第10章 ASEAN地場自動車部品サプライヤー育成に向けた課題 タイ・ベトナム企業アンケート調査の結果から

 

感想

東南アジアと人国にくくってもものすごく広い。その面積も広いし、文化的な幅も広いし、経済的な幅も広い。そんな東南アジア、ASEAN諸国の自動車産業について、事細かに教えてくれる本。

 

初版は2016年でそこそこ新しいけれど、「いま」のリアルタイムを教えてくれるわけではない。でもね、リアルタイムの情報は、知識のベースがあって初めて理解できるのですよ。

 

そんな知識のベースを教えてくれるのが本書。

 

例えば、ベトナムの話。

 

自動車産業の裾野の話や、Tier1とかTier2とかの話はもちろん載っているけれど、それ以上に「自動車にまつわるその国の背景」がしっかり説明されている。

 

こんなふうにね。

 

ベトナム自動車産業の問題点は、自動車登録税問題に見られるように自動車育成を進める工務省と税制を所管する財務省の間で政策調整が難しいことや自動車産業を下支えする部品産業の発展が脆弱なこと、道路整備が不十分なことなどが挙げられる。「AEC2018」問題では、2018年にはベトナムの完成車・部品関税などがなくなるためタイヤインドネシアからの製品輸入攻勢が強まることが予想される反面2015年10月に妥結したTPPによりベトナムからの対米・対メキシコ向け自動車部品輸出に拍車が掛かることが予想されるため、今後の発展は予断を許さない状況である。

 

まだ、この本で、このパートが書かれたときにはトランプ大統領も登場していなかったのでしょう。そこの話はさておき、ベトナムの行政的な話、役所間の綱引きが、自動車産業と自動車市場に対して影響を与えているなんて情報、わたしは知りませんでしたわ。日本だとそんなコト無いのにね。

 

ん?

 

気が付かないだけで、海外の人が「日本の自動車産業 Automotive industry in Japan」について研究すると話が違ってくるのでしょうな。わたしのように自動車は好きだけれど、日本の生活にどっぷり浸かっているふつーの自動車好きには見えてこない世界なんでしょうな。

 

また、ほかに、このように市場の特徴についても教えてくれる。

 

ベトナム自動車市場のもう1つの特徴は、ベトナムでは、仕事とプライベートの双方に使用できる低価格帯の商用車のニーズが高まっている。現地組立車のうち2割は小型商用車が占める理由もそこにある。

 

そりゃ、とうぜん、時代は変化しますよ。


しかし、ベースとなる話は変わらないはずだ。

そして、変化した時代についても、変化する前の時代を知っていれば、見え方が変わってくるはずだ。

 

ASEANの自動車産業 (ERIA=TCERアジア経済統合叢書)

ASEANの自動車産業 (ERIA=TCERアジア経済統合叢書)