著者:守屋厚
発行元:日本経済新聞出版社
まとめ
日本人は、特に日本企業の管理職は「論語」をありがたがるけれど、たまには「孫子の兵法」な人もいるけれど、それらと比較しても、リアリズムという背骨が一本ビシッと通っている韓非子ってすごいんだなぁ、と思ってしまうわけで。この本には韓非子の全ては書かれていないけれど、十分にそのエッセンスを知ることができるので、大満足ですな。
この本を読んだ目的
名伯楽の「伯楽」の語源は韓非子なるということで読んでみましたわ。すごい良い世界でした。凡人には名馬の見分け方を教え、才能がある人には駄馬の見分け方を教えるという、そのリアリズムの凄さは、この本を読んで感じることができます。
目次
第一章 人は成長できるし、堕落もする 「徳治」の光と影
第二章 「韓非子」は性悪説ではなかったか?
第三章 筋肉質の組織を作るための「法」
第四章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ
第五章 「権力」は虎の爪
第六章 暗闇の中に隠れて家臣を操る「術」
第七章 改革者はいつの時代も割に合わない
第八章 人を信じても信じなくても息詰まる組織のまわし方
第九章 使える権力の身につけ方
感想
わたしがよく使う小ネタとして、「伯楽の語源」がある。東横線の白楽ではなく、名伯楽の伯楽ですな。名トレナー、名調教師をさしての名伯楽ですが、伯楽さん、才能のある人には「駄馬の見分け方」を教えていたんだよね。
世の中には名馬よりも、駄馬が多いから。駄馬さえ掴まなければ失敗しないからね。
何というリアリズム。
この伯楽は韓非子にでてくるということで、この本を読んだわけですよ。
すげー。
論語と対比して使われている、存在しているということは知っていましたが、ここまでビシッと違う世界だと。
それを本書ではこのように言っている。
『論語』ーーひとまず人を信用してかからないと、良き組織など作れるはずがない
『韓非子』ーー人は信用できないから、人を裏切らせない仕組みを作らないと、機能する組織など作れない
ほほう。
韓非子は性悪説で、リアリズムにたっていると。
平和で緩んだ時代に、ビシッと政治をさせるような存在だったんだろうな。孔子は激しい時代に平和な世界を夢見ていたから、夢見る世界がかたられていたんだろうな、と。
ほほう。
いつの間にかわたしは韓非子を組織運営の参考書として読むようになっていた、自分がいましたな。
そんな中で刺さったフレーズはこれ。
もっとも理想的な指導者は、部下から存在すら意識されない。部下から敬愛される指導者はそれよりも一段劣る。これよりさらに劣るのは、部下から恐れられる指導者。最低なのは深から馬鹿にされる指導者だ。
人に意見を聞いてほしい時、やるべきことは、相手の誇りをくすぐってやり、恥を忘れさせてやることにある。
あぁ。
なんだかうまくまとまらないなぁ。