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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

世界標準の経営理論

著者:入山章栄
発行元:ダイヤモンド社

 

まとめ

入山さんの本を、恥ずかしながら、はじめて読みました。びっくりです。いままで、読んでいなかった自分を恥じるレベル。コンサルファームが作った様々なフレームワークを「知ったふり」して使っていた自分を恥じます。フレームワークはもちろん重要なのですが、それよりも「なぜ?」という事象の根本に迫る理論が重要なんだな、と。そして、経営学の世界には様々な理論があるんだな、と。いろいろ勉強しなきゃな。そして、論文を読まなければな。

 

この本を読んだ理由

B2Bの営業支援、業務改革支援をしているのであれば、入山さんの本を読まなきゃだめでしょうという理由で読みました。

 

仕事に活かせるポイント

センスメイキング理論が、すぐに仕事に活かせそうですね。「現状はどうなっているのか」「我々は何をすべきか」について大まかな方向性だけを示し、それに意味を与え、説得性のある言葉で周囲に語りかけて納得してもらい、足並みをそろえること。これ、やってみよう。

 

目次

『世界標準の経営理論』を手にされた方へ
第1部 経済学ディスプリンの経営理論
第1章 SCP理論 「ポーターの戦略」の根底にあるモノは何か
第2章 SCP理論をベースにした戦略フレームワーク ポーターのフレームワークを覚えるよりも大切なこと
第3章 リソース・ベースト・ビュー(RBV) バーニーノ理論をようやく使えるモノにしたのは誰か
第4章 SCP対RBV、および競争の型 ポーターVSバーニー論争に決着はついている
第5章 情報の経済学① 「悪貨が良貨を駆逐する」はビジネスの本質である
第6章 情報の経済学②(エージェンシー理論) 人が合理的だからこそ、組織の問題は起きる
第7章 取引費用理論(TCE) 100年前も現在も、企業のあり方は「取引コスト」で決まる
第8章 ゲーム理論① この世のかなりの部分はゲーム理論で説明できる
第9章 ゲーム理論② 我々は人を「無償」で信じるか、それとも「合理的な計算」で信じるか
第10章 リアル・オプション理論 不確実性を恐れない状況は、みずからの手でつくり出せる
第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論
第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF)経営理論は名経営者の教訓を裏付ける
第12章 知の探索・知の深化の理論① 「両利き」を目指すことこそ、経営の本質である
第13章 知の探索・知深化の理論② 「両利き」は戦略、組織、人材、経営者のすべてにおいて求められる
第14章 組織の記憶の理論 日本企業が「組織の記憶力」を取り戻す術は何か
第15章 組織の知識創造理論(SECIモデル)
第16章 認知心理学ベースの進化理論 組織の成長は「深化するルーティーン」で決まる
第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論
第18章 リーダーシップの理論 半世紀を超える研究が行き着いた「リーダーシップの境地
第19章 モチベーションの理論 半世紀を超えてたどり着いた新時代のモチベーションとは
第20章 認知バイアス 認知の歪みは、組織で乗り越える
第21章 意思決定の理論 意思決定の未来は、「直感」にある
第22章 感情の理論 感情のメカニズムを理解してこそ、組織は動き出す
第23章 センスメイキング理論 「未来はつくり出せる」は、けっして盲信ではない
第4部 社会学ディシプリンの経営理論
第24章 エンベデッドネス理論 ソーシャルネットワークの本質はいまも昔も変わらない
第25章 「弱いつながりの強さ」理論 弱いつながりこそ、革新を引き起こす
第26章 ストラクチャル・ホール理論 「越境人材」が世界を変える、そのメカニズムとは
第27章 ソーシャルキャピタル理論 リアルとデジタルのネットワークで働く、真逆の力
第28章 社会学ベースの制度理論 「常識という幻想」に従うか、活用するか、それとも塗り替えるか
第29章 資源依存理論 小企業が大企業を抑え、飛躍する「パワー」のメカニズム
第30章 組織エコロジー理論 変化の時代にこそ不可欠な「超長期」の時間軸
第31章 エコロジーベースの進化理論 生態系の相互作用が、企業進化を加速する
第32章 レッドクイーン理論 競争が激化する世界で、競争すべきは競争相手ではない
第5部 ビジネス現象と理論のマトリックス
第33章 戦略とイノベーションと経営理論 近未来に戦略とイノベーションは融合し、理論も重層化する
第34章 組織行動・人事と経営理論 これから人事がさらに面白くなる、5つの背景
第35章 企業ガバナンスと経営理論 あるべきガバナンスを考え抜く時代に、必要な理論は何か
第36章 グローバル経営と経営理論 「国境」の本質を見直すことが、グローバル経営の未来を映し出す
第37章 アントレプレナーシップと経営理論 アントレ領域が拡張する未来に、起業家をどう育てるべきか
第38章 企業組織のあり方と経営理論 現代の経営理論はビジネスを説明できない
第6部 経営理論の組み立て方・実証の仕方
第40章 経営理論の組み立て方 ロジックの賢人ほど、「人とは何か」を突き詰める
第41章 世界標準の実証分析 ビジネスの実証分析は想像以上に身近で、とてつもなく深い
終章 経営理論のさらなる視座 経営理論こそが、あなたの思考を解放する

 

感想

ものすごく良い本です。そして、ものすごく内容の濃い本。わたし、Kindleで読んだのですが、Kindleでなければ読むことに挫折していたかもしれません。何しろ6部仕立てで、第41章まで続いているのです。最近、ちょっと見慣れない分量です。それぐらいに深い内容を知ることができる、いや、教えてもらえる1冊です。

 

ほんと、まじめに、教科書です。

 

薄っぺらいビジネス本でも、How to本でも、ないです。経営に関する様々な理論を、わかりやすく教えてくれる、教科書なのです。そして、教えてもらえる理論は「経営学」だけかとおもいきや、そんなことはなかった。社会学や、心理学まで、その守備範囲は広かった。

 

なんで、そこまで幅広いのか? 有名コンサルファーム出身の方が書いたフレームワークの説明でも、ここまで幅広くないのに。それは、なぜか? ちゃんと意味があったのよね。フレームワークはどうしても人の思考を型にはめ込んでしまう。結果、本来は重要なはずの「なぜそう言えるのか」という理解・腹落ちが弱くなる。経営理論は、そのWhyに一つの道筋を与えるモノだから。経営理論とは「経営・ビジネスのhow(どのように)、when(いつ)、why(なぜ)に答えることが、目的だから。フレームワークは思考の整理であり、経営理論は思考の深掘りだから。

 

だから、こんなに幅広いのか! 私はびっくりですな。

 

ポーターの戦略理論から、ソーシャルメディアの活用まで。ものすごい振れ幅で軽絵に関する理論を教えてくれる本書の中で、私がグサグサ刺さったのは3つ。ゲーム理論と、フレーミング効果と、センスメイキング理論。ゲーム理論と、フレーミング効果はなんとなく知っていましたが、センスメイキング理論ははじめて聞いた。

 

急激に変化し、今までの経験が通用しない時代。解釈が多義的になる環境では、そもそも正確な分析が不可能。このような状況下で役に立つのがセンスメイキング理論。「現状はどうなっているのか」「我々は何をすべきか」について大まかな方向性だけを示し、それに意味を与え、説得性のある言葉で周囲に語りかけて納得してもらい、足並みをそろえること。

 

ほほう。

 

で、ゲーム理論フレーミング効果は次の通り。

 

ゲーム理論とは、相手の行動を合理的に予想しながら、互いの意思決定・行動の相互依存関係メカニズムと、その結果を分析するもの。
フレーミング効果とは、実質的には同じ意味を表す選択肢であっても、その表現方法などが異なるだけで全く逆の選択をしてしまう現象。

 

世の中学ぶことだらけだ。

 

 

 

世界標準の経営理論

世界標準の経営理論

  • 作者:入山 章栄
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)