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サカナとヤクザ  暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

著者:鈴木智
発行元:小学館

 

まとめ

権力とヤクザがズブズブなのは以前から言われていたことですが、権力とヤクザがズブズブな関係でいられるのは、民間、堅気の我々がそれを望んでいるからなんだろーな。季節外れの魚を楽しんだりするのはまだしも、コンビニや、ファーストフード店でうなぎを投げ売りするのとか、やめればいいんだよな。安いには、理由があるんだよ。

 

この本を読んだ目的

築地から豊洲への市場移転の話のときに、話題になった本。そんな記憶があったのですが、記憶補正があったのかも?いや、この本を読んだら、それは正しいと思ったわ。キレイな豊洲には移ってはだめなんだよな、と。

 

目次

第一章 岩手・宮城 三陸アワビ密漁団VS海保の頂上決戦
第二章 東京 築地市場に潜入 労働4ヶ月
第三章 北海道 “黒いダイヤ”ナマコ密漁バブル
第四章 千葉 暴力の港銚子の支配者、高寅
第五章 再び北海道 東西冷戦に翻弄されたカニの戦後史
第六章 九州・台湾・香港 追跡!ウナギ国際密輸シンジケート

 

感想

築地から豊洲に市場が移転するって話が出ているとき、「築地の仲卸で反対している集団がいるよ」とか「反対することで利益を得ている人達がいるよ」とかって噂が流れてきた。歴史ある築地を捨てて豊洲にいくなんてもったいない…なんてワタシ思っていたのですが、それ、大きな間違いでしたね。豊洲で繰り広げられる暗い話。そこで働いている人間、そこと取引している人間、いろんな暗い渦が回っていたんだね。

 

漁業というのは、バクチのような世界。農業も同じような世界だけれど、それ以上に博打度合いが高い。

 

そりゃ、真面目な漁師の方もいるのだろうけれど、どちらかというと、メジャーな存在ではない。

 

当たれば大儲け、人財産ができる世界に、悪い人々が集まってくるのは、どこの世界でも同じハナシ。でもね、漁業はたちがあるい。正義の味方は海上保安庁か?それとも警察か?漁師とヤクザがぐるになり、さらにそこには、市場や、用具店、仲卸まで絡んでくる。

 

「いけないことなんだから、辞めるべきだ!取り締まるべきだ!」と憤っても、ヤクザに兼ねが落ちるような仕組みになってしまっているのは、一般消費者が無駄に欲を出すからで。無ければないで、値段が高騰するような市場原理が働けば、密猟がこんなにはびこることもなかったのだろう。

 

人気が出ると値段は上がるが、それ以上に供給が増える。

 

絶滅危惧にまで追い込まれた、うなぎや、マグロが、100円の回転寿司や、牛丼チェーンに供給されるのは、そんな仕組みがあるからだ。

 

「いや、うちはしっかりトレーサビリティしてますから」と胸を張っても、統計量さえ正しく把握できていない漁業にあって、トレーサビリティなんて成り立つわけがない。

 

そして、中途半端に物事を知っている消費者が、一番高値を掴まされる。

 

こんな欲を簡単に満たす仕組みがある限り、密猟も、ヤクザもいなくならないんだろうな、と。

 

そして、うなぎや、マグロが絶滅して、初めて愚かさに気がつくんだろうな。