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なぜ豊岡は世界に注目されるのか

 

著者:中貝宗治

発行元:集英社

 

なぜ豊岡は世界に注目されるのかまとめ

豊岡市長が書いた地方再生の素敵な本。コウノドリがいる豊岡に、城崎温泉。観光資源がたくさんある豊岡だけれど、それだけじゃ復活しなかったわけですよ。インバウンドを集め、世界から注目を集めようとするのであれば、しっかりとその地域に住む人に目を向けなければね。若者が戻ってこない町に、観光客は来ないのですよ。

 

なぜ豊岡は世界に注目されるのかを読んだ理由

城崎温泉に旅行に行くので

 

なぜ豊岡は世界に注目されるのかで仕事に活かせるポイント

経済力は重要。でも、それと同じくらいに、文化的魅力も重要。若者釜市にを楽しく過ごせるようにしなければダメなのですよ。そうしないと、人口は減り続けるのです。

 

なぜ豊岡は世界に注目されるのかの目次

「小さな世界都市」の萌芽

コウノトリも住めるまちを創る

受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐ

深さをもった演劇のまちづくり

ジェンダーギャップの解消

これからのこと こどもたちへ

 

なぜ豊岡は世界に注目されるのかの感想

兵庫県城崎温泉という温泉街がある。うちの奥さんが大好きで、今度家族旅行に行くのですよ。そんな城崎温泉はインバウンド客で大賑わいなのだという。なの、大賑わいなのは城崎温泉だけでなく、城崎温泉を含む豊岡市全体なのですって。

その秘密に迫るのが本書。

著者は豊岡の賑わいを作り出した豊岡市長。

兵庫県ではコウノトリが野生に戻され繁殖しているって話しを聞いたことがあるのですが、それが豊岡だったとは。人工繁殖したものを野に放ったって、環境が整っていなければ自然繁殖はしない。農薬を使うな、化学肥料を使うなといわれても「だったら、おまえここに来て毎日草取りと虫取りしろよ」って農家の人に言われてしまう。ではどうすれば良いのか?それぞれの妥協点を見つけるのではなく、それぞれのメリットを見つけて、策を打つ。コウノトリが自然繁殖する場所なんて、豊岡以外ないのだから、それをブランドにすれば良い。ブランド価値を高めて、農作物(米ですね)の価格を高めれば良い。なにしろ日本中探したって、豊岡にしかないんだからな。

極論すればそう言う発想。

想いと熱意だけじゃ、お金は稼げないんだよ。お金が稼げるように仕向ければ、みんなしっかりと動くんだよ。ある意味、ナッジ理論による地方自治。元々県職員で「インフラ整備じゃ、都会に勝てない。神戸は豊岡より都会だけれど、神戸だって東京には勝てない」と悟った知事の素晴らしさ。

城崎温泉も似たような発想ですね。温泉街全体で温泉を楽しむ。温泉宿の中で旅行が終わらないようにする外湯巡り作戦。街中を観光客が歩くことによって、町が活性化するんだよね。同じような発想で温泉街が賦活した熱海もあるね。これまた、温泉街で働く人、温泉宿の経営者の方々が「こういう風にすればいいんじゃないかしら?」という理論で動いた結果なのよ。

さすがだ、豊岡。

人口減少に悩む田舎の町で歩けれど、安易に移住者に頼ろうとしない姿勢も素敵。「なんで若者は帰ってこないのか?」「なぜ、男性の若者は帰ってくることはあっても、女性の若者は帰ってこないのか?」そうやって掘り下げて、若者の不満や、ジェンダーギャップを埋める政策を進める。平田オリザさんに頼んで演劇による町作りをしようというのも、安易に「演劇祭やれば人が来るんじゃね?」という発想じゃないのが素晴らしいですな。

 

 

タイトル:なぜ豊岡は世界に注目されるのか

著者:中貝宗治

発行元:集英社