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それは東京五輪の「聖火」から始まった 天然ガス時代を拓く

著者:草野成郎
発行元:株式会社エネルギーフォーラム

 

目次

はじめに
第一章 脚光浴びた7つの時期
第二章 東京五輪「聖火」を技術で演出
第三章 燃焼技術を進歩させた「公害対策」
第四章 技術の確率的新規市場を開拓
第五章 ボイラー史に誇る日本の技術力
第六章 都市ガス転換が加速した理由
第七章 「産L契約」制度はどのようにして生まれたのか
第八章 競争力を向上させた「産L契約」
第九章 弾みをつけた「お客さまカルテ」
第十章 今だから話せる営業現場のエピソード
第十一章 コージェネ開発の歴史をひも解く
第十ニ章 コージェネ営業の変遷
第十三章 国民の最適なエネルギ選択へ
最終章 かくあるべし!日本のエネルギー政策

 

感想

本書は元東京ガス副社長の草野成郎さんと、工学博士で住環境研究所の中上さんとのインタビューという体裁になっています。そのため、学術的な話も、プロジェクトX的な話も、わかりやすく、すうっと頭に入ってくるのが素敵です。

 

ガスではなく都市ガスにスポットライトが当てられた本書。プロパンガスや、重油と違って、備蓄設備がいらない点が大きなメリット。

 

火を灯す、明かりをつける、熱を得ることに使う選択肢として、プロパンガスと、石油と、都市ガスで選ぶなら、個人的にはお手軽さで都市ガス一択なのですが、世の中、なかなかそうはいかなかったらしく、温度や、炎の色なんかで、それぞれ最適な手段が選ばれているそうな。すみません。知らなかったです。

 

都市ガスを一般家庭用ではなく、産業用に使う、その先陣を切った形になったのが、東京オリンピックの聖火だったのだとな。これだけの話だと、単なるトリビアで「へー」て話で終わるですがね。そこからの話が面白いのですよ。

 

都市ガスの産業利用開始よりも先に、重油や、プロパンが燃料として使われていたわけですよ。そうやって先行していた燃料を切り替えさせるって話、それだけ聞くと技術革新な話なのですが、新技術を売り込む営業の視点で読み込んでも、面白いな、と。

 

先行していた技術を当然、理解しなければならないし、新技術についても、理解しなければならない。それを踏まえて、従来技術を使い続ける人を説得するわけでね。産業用というくらいだから、使うのは製鉄だったり、ガラスだったり、もちろん発電だったり。理論上、新技術が技術的に優れていることがわかっても、安定的に動くことを求められている業界に切り込んでいくのだからすごいな、と。

 

新サービスの立ち上げと、その舵取りを任されているワタシ的には、その箇所が一番刺さりましたな。

 

 

それは東京五輪の「聖火」から始まった―天然ガス時代を拓く

それは東京五輪の「聖火」から始まった―天然ガス時代を拓く