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日本の路地を旅する

 

著者:上原善広
発行元:文藝春秋

 

まとめ


『路地の子』を書いた上原善広さんの代表作と言われる一冊を、ついに読む。部落問題というのは歴史の流れとともに忘れ去れつつあるんだろうな、と。

 

この本を読んだ目的

リアルな大阪の下町というか、そんな地域の話が綴られたドキュメンタリー『路地の子』に続いてようやく、読むことができました。
被差別地域を路地と呼び、同和問題の最前線を歩いた手記。21世紀の今、そこにあるのは歴史しかなく、住んでいる人も「ここ、そうなのですか?」と知らなかったりするわけですよ。
江戸の昔から必要とされていた仕事が、明治維新により…というのは日本史の授業で教わった話でしてね。文化や伝統と関わっていた人々が差別されるのはだめなことですがね。そういう文化や伝統自体を忘れ去るたのもね。

 

目次

第一章 ルーツ 大阪
第二章 最北の路地 青森、秋田
第三章 地霊 東京、滋賀
第四章 時代 山口、岐阜
第五章 温泉めぐり 大分、長野
第六章 島々の忘れられた路地 佐渡対馬
第七章 孤独 鳥取、群馬
第八章 若者たち 長崎、熊本
終章 血縁

 

感想

被差別地域出身であることをカミングアウトし、自身の生い立ちを綴った『路地の子』を書いた上原善広さん。

そんな上原善広さんの代表作と言われるのがこの『路地を旅する』ですな。路地、つまり日本中の被差別地域を旅した本。
皮革産業が昔からあった地域、なので城下町や、太鼓や、三味線を作るような町に存在していた部落。

そうそう。部落って、うちの地元のほうじゃ、集落ッテ意味でフツーに使われているけどな。関西方面ではないからかね。

関東方面で部落問題の大きな事件といえば狭山事件があるけれど、それくらいしかない。道徳や、歴史の授業で取り上げられることはあるけれど、リアルでは感じない世界。

そんな時代の流れが本書でも語られている。差別は血や地域で行われることも、感じることもほとんどなくなっていると。仕事で差別されることはたまにあるけど、と。

都市化が進み、人の出入りが激しくなり、そんな昔のことなど関係ないとなっている人が増えてるということなんだろうな。

そういうことはいいことだけれど、一方で文化が消えていっているという話でもある。ワタシ、革製品好きなんですけどね。

 

 

 

日本の路地を旅する (文春文庫)

日本の路地を旅する (文春文庫)