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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

奇跡の大地

著者:ヤア・ジャシ
発行元:集英社

 

目次

第一部
第二部
訳者あとがき

 

感想

原題はHOMEGOING。

奴隷船によりアフリカ西海岸、いまのガーナから連れ去られてきた黒人の子孫。その彼がガーナのケープゴースト城に訪れ、その歴史を感じる。

って、簡単にまとめると、そんなはなしなのですが、引き込まれます。そして、一気に読み切ってしまいます。

部族間を競わせることで、効率的に奴隷を集めていたイギリス軍。さらに、地元に妻を設け、混血児わや誕生させ、現地の支配者層に仕立て上げるイギリス軍。

そのあまりにも手慣れた統治方法に驚くことと、奴隷として捉えられてきた人々の絶望に、ドン引きしてしまう。

そして、奴隷として、生産力を担保する機械の代わりとしてこき使われる新大陸での日々。壊れて死んでしまえば、それでおしまい。ただし、そんななかにあっても、人の営みは続いていく。

南北戦争による奴隷開放宣言と、何も変わらない現実。白人の下の存在として扱われ続ける日々。

この本は、アメリカの近現代史をベースにしながら、そこに奴隷制度、黒人に対する差別、そして未来に向けての希望が詰まっているんだな。

すげー深い本だな。

ガーナ系アメリカ人である著者だからこそかけた本だね。
本作品はデビュー作ですよ。
次回作に期待です。

タイトル:奇跡の大地

 

奇跡の大地

奇跡の大地