著者:北康利
発売元:PHP
目次
甲州商人の血
夢見る文学青年
警察が大騒ぎしたミステリー小説
小説家志望が一転して銀行マンに
財界の巨星・中上川彦次郎
落ちこぼれサラリーマン
波乱の末の再婚、仕事の挫折
三井銀行退職
最も有望なる電車
宝塚少女歌劇誕生
神戸線開通と阪急の飛躍
世の中に対して貸勘定をつくっていく
日本初のターミナルデパート・阪急百貨店
東京電燈再建
東宝設立
商工大臣就任
大臣落第で迎えた敗戦
敗戦後の日本に希望の光を
枯れ木に花を咲かせ続けて
感想
阪急グループ総裁にして、日本ではじめて田園都市計画を立案し、実行に移した男、小林一三の生涯に迫った本ですな。
単なる鉄道会社ではなく、デベロッパ。沿線に温泉街や、劇場、野球場、百貨店を作り、沿線住民の生活の質が向上したり、鉄道利用者を増やしたりしたわけなのですな。
現在の日本のおける鉄道会社の雛型を作った男なのですわ。
そんな小林一三の生き方を
百歩先の見えるものは狂人扱いされ
五十歩先の見えるものは多くは犠牲者となる
十歩先の見えるものが成功者で
現在を見得ぬものは、落伍者である
と小林一三の『歌謡十曲』を引用して、言い表している。
実際その通りだと思う。
先述したように、小林一三は現在日本における鉄道会社の雛型を作ったわけだけれど、温泉街や、劇場、野球場の開発は、単に何かがひらめいたわけではなく、「だったら、こう思うよね」と、あるといいながある的な発想から生まれたわけですよ。
そんな小林一三の考え方のナニガスキッテ、これが好きだな。
金がないから何もできないと言う人間は金があっても何もできない人間である。
ですな。
裸一貫で成り上がった実業家ではないけれど、鋭い観察力とずば抜けた行動力が、阪急をここまで大きく育てたのでしょうな。