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満州航空の全貌 1932〜1945:大陸をかけた双貌の翼

 

著者:前間孝則
発行元:草思社

 

目次

序章 世界に類例のない翼
第一章 操縦士たちの満州事変
第二章 閻錫山の隠密飛行
第三章 児玉常雄と国際航空事情
第四章 大陸進出への序曲
第五章 満州国の建国と軍閥
第六章 満州航空の創設と救出作戦
第七章 関東軍指揮下の満州航空部隊
第八章 日独間「そらのシルクロード
第九章 大日本航空の誕生
第十章 ノモンハン事件南方駅戦線への出動
第十一章 ソ連軍の満州侵攻
終章 日航全日空

 

感想

中国東北部には、その昔、満州という国があった。今の遼寧省吉林省黒龍江省、そして内モンゴル自治区の一部の地域である。南は中華民国、北はソビエトと接する日本の衛星国家。

 

近現代史の授業では日本が戦争の時代に突っ込んで行く象徴的な国として扱われている。謀略と策略の限りが繰り広げられた、五族協和の国。裏と表に大きな違いがある国として。

 

そんな国にヒジョーに興味がある。大陸を自由に動き回りたいという思いがあるのかもしれない。きっと、何にもないであろう大地(行ったことないので妄想)を1人で旅をしたいのだ。

 

で、そんな日本の衛星国家であった満州には様々な国策企業が存在していたわけです。よく知られているのが、満鉄こと南満州鉄道李香蘭が看板スターであった満州映画協会もそうだ。

 

この本のタイトルとなっている満州航空もそんの国策企業の一つだ。

 

航空機の時代が幕を開けた昭和初期(西暦てでいうと1920年代)、広がり続ける日本帝国の勢力範囲と、航空機の需要があいまってできた航空会社なのだ。

 

それだけ聞くと、歴史の必然な話だけだけど、満州航空パイロットは軍隊航空部隊の人間であって、緊急事態が発生した時には民間航空機でありながら、軍事利用が命じられることになっていた。

 

むむむ。

 

さらに、満州航空は自ら航空機の生産も行っていたという。

 

なんたそのケイパビリティ。

 

それだけでもかなりのオドロキなのですが、個人的に一番刺さったのが、ルフトハンザと共に開拓しようとしていた、空のシルクロードですな。ドイツ&日本の敵国扱いであったソビエト上空でもなく、イギリスの勢力圏内であるインド上空も飛ばない。シリアや、アフガニスタンなどの中立国上空を飛び、ゴビ砂漠を飛び満州国北西部から、奉天を目指し、最後には東京を目指すという。Uボート伊号潜水艦を使い、地球を半周して、人と情報と物資のやり取りをするのと同じくらい常識外の行動。当時の飛行機は、現在の飛行機と比べて航続距離は短い。中継地となる空港も確保しなければならない。

 

フツーに考えれば無理ゲーで、実現不可能だとおもって、最初からチャレンジしようと思わないよな。

 

でも、やろうとしてしまうのが、戦争なんだな。

 

アメリカ軍だって、大西洋を超えて、イギリス経由、インド経由で、ヒマラヤ超えてB29を中国に運んで来てしまうし。

 

そんな無理ゲーを行っていた満州帝国のナショナルフラッグ。

 

敗戦と共に、当然のように消滅した航空会社。戦後の占領政策で日本の航空産業は解体されたわけなんだけど、元満州航空の人々が、戦後日本の航空産業立て直しに尽力したという話を聞くと、いろいろ考えることも出てきますね。

 

そして、森繁久彌さんも登場する、振り幅の広い話が素敵。