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セブン&アイHLDGS.9兆円企業の秘密 世界最強オムニチャネルへの挑戦

著者:朝永久見雄
発売元:日本経済新聞出版社

 

目次

第1章 オムニチャネル挑戦への序章

第2章 セブン&アイ・ホールディングスの目指すもの

第3章 セブン銀行

第4章 ロフト

第5章 赤ちゃん本舗
第6章 セブンネットショッピング

第7章 ヨークベニマル

第8章 セブン-イレブン・ジャパン

第9章 7-Eleven,Inc.

第10章 イトーヨーカ堂

第11章 セブン&アイ・フードシステムズ

第12章 そごう・西武

最終章

 

感想

 

サブタイトルは「世界最強オムニチャネルへの挑戦」。セブン&アイが最近力を入れているオムニ戦略の話に、一定量のページ数が割かれるものの、それ以上にセブン&アイHLDGS各社の状況説明にページが割かれております。ぶっちゃけ、セブン&アイHLDGS各社の状況説明に関しては、他の本でも触れられている内容ばかりなので、読み飛ばしてしまってもあまり問題ないかと。

 

この本は、セブン&アイのオムニ戦略について触れることで元は取れる。セブン&アイのオムニ戦略について、ここまで具体的に話をしている本は他にない。まぁ、セブンマンセー!な気がしますけれどね。

 

個人に属するデータ(購買データや、行動データ、属性データなど)を一括管理し、顧客の行動や感情に先回りして情報を伝えるのだというけれど(情報伝達ツールはスマホアプリね)、なんだかそれって、人から考える力を奪うんじゃないかしら?なんて思ってしまったりもするのよね。思考能力停止させてしまうような気が。あと、それよりも何よりも、そこまで的確なレコメンドができるのかしら?という単純な疑問もあるわいね。いやいや、SAP HANAを使えば可能なんですよって話もあったりしますが。

 

でも、こんなオムニ戦略の例よりも、セブンがどこを目指しているのか?モデルは何なのか?ということが171ページからの「オムニチャネル化は米国百貨店メーシーズが模範」という章で、わかるのですよ。

 

メーシーズは成長のために2つの事業戦略を掲げている。それは・・・
1)My Macy's戦略
2)オムニチャネル戦略
3)Magic Selling戦略
・・・これら3つの戦略を合わせてM.O.M戦略と読んでいるのだと。

 

具体的に何をしているのかというと・・・

My Macy's戦略とは、各店舗の品揃えの徹底的なローカリゼーション
Magic Selling戦略とは顧客満足度向上、そして店頭売上拡大のための、店頭スタッフのお客様とのコミュニケーションスキル向上を目指した接客教育の強化
…なんなんだとな。

メーシーズをベンチマークとしているセブンは、必ずここを目指すんではないかと、個人的には思いますわ。こういうリアルの戦略、小売業としての王道本流をITを使い強化していくのがオムニ戦略だと。顧客とのタッチポイントや、接点の最適化は枝葉の話であって、本質ではないと。

 

あと、本書を読んでいたら「コンドラチェフ波」、「メトカルフェの法則」、「ライリーの法則」というものに興味が出てきた。それぞれ何かというと。。。

 

コンドラチェフ波

コンドラチェフの波とは、景気循環の一種で長期波動とも呼ばれる約50年周期の景気サイクルのことを指す。ロシアの経済医学者コンドラチェフによる研究で主張されたことから「コンドラチェフの波」と呼ばれる。

これは、技術革新による景気循環とも言われており、「蒸気機関による産業革命」、「鉄道の建設」、「電気・化学・自動車」といったような技術革新により景気の循環が行われるという考え方である。

 

メトカルフェの法則

メトカーフの法則(メトカーフのほうそく、Metcalfe's law)は、通信網に関する法則。日本では、一般にメトカルフェの法則として定着している。「通信網の価値は利用者数の二乗に比例する。また、通信網の価格は利用者数に比例する。」というもので、例えば通信網に対し現在の3倍の費用をかけると(利用者を3倍にすると)、その通信網の価値は9倍になるという考え方である。

 

ライリーの法則

商業立地ならびに、商圏の分岐点を計算するための代表的な法則である。米国の経済学者ライリーが1029年実証的に発見したもので、「ある地域から2つの都市A、Bへ流れる購買力の比は、AとBの人口に比例し、その地域からAとBへの距離の2乗に反比例する」ことをいう。この法則は現実に適用するには、あまりにも単純化し過ぎているとの批判も多く出されている。その後の研究によって、距離の代わりに鉄道運賃や列車頻度、あるいは時間・距離という所要時間を用いたほうが適合度が高いこと、商品によって距離パラメーターが異なること、などの実証結果も報告されている。

 

なんでも、メトカーフの法則とライリーの法則が、セブン&アイが得意とするドミナント戦略の基本となんている考え方なんだと。近所に儲かっている店があるからまとめて出すってわけじゃなかったのね。

 

 

セブン&アイHLDGS.9兆円企業の秘密―世界最強オムニチャネルへの挑戦

セブン&アイHLDGS.9兆円企業の秘密―世界最強オムニチャネルへの挑戦

 

タイトル:セブン&アイHLDGS 9兆円企業の秘密
著者:朝永久見雄
発売元:日本経済新聞出版社
おすすめ度:☆☆☆☆(やはり、この会社はすごい)