著者:斎藤修一
発行元:日本経済新聞社
目次
第1部 迷走セブン&アイ
第1章 ビルから出てください
第2章 人事案は私の中にある
第3章 どっちが正しいか、歴史が示す
第4章 祖業でも退場してもらう
第2部 コンビニの父
第5章 常識を覆す成長モデル
第6章 創業家と中興の祖
第7章 進化するコンビニ
第3部 ポスト「鈴木」
第8章 俺もみっともないな
第9章 井阪丸、羅針盤なき船出
感想
ワタシが尊敬する経営者の一人で、セブン&アイホールディングスのトップを務めた鈴木敏文さんがいる。そんな鈴木さんの、セブン&アイホールディングス最後の日々に迫った本が本書であります。
セブン&アイホールディングス。世界の流通小売り業ではウォルマートや、テスコの後塵を浴びていますが、コンビニではトップレベル(他にどんなコンビニが世界にあるのか、ビミョーだし、「これコンビニ?」と思えるような店舗、cvsファーマシーとかあるしね)。
いままでというか、昔からあったコンビニという小売店のビジネスモデルをコンビニという社会インフラに作り上げた人。
それが鈴木さん。
一緒に働いたことはないですが、たぶん、ものすごく、厳しい方だったのでしょう。でも、その厳しさは、お客様を向いていた。温かいお弁当も、公共料金の支払いも、ATMの設置も、お客様の利便性をかんがえてのことだった。
たぶん、セブン銀行が軌道になった段階とか、ホールディングスに移行した時に引退していれば、天才経営者として後世に名を残したんだろうな。
それが、できなかった。
それ以降、セブンプレミアムも、セブンカフェも、ものすごく良いサービスと製品だけど、生活を一変させるまでには至ってないからな。
いま、考えうる機能をすべて満たしてしまったから、成長するよちがなくなってしまった。店舗オペレーションも無駄がなく、効率的だしね。それが店舗あたりの平均日販価格にも現れてるしな(セブンイレブンは65万円、ローソン51万円)
もう、守りに入って横ばいを目指す時代になったのが、許せなかったんだろうな。オムニチャネル戦略って、人口と店舗の密度がアメリカよりも圧倒的にたかく、ヤマト・佐川・日本郵政という信じられないほどクオリティの高いロジスティクスサービスを提供する運送会社がある日本じゃ成り立たないよなぁ。。。と。もし、本気でやるのであれば、見た目だけきれいな統合ECサイトを作るのではなく、各店舗、各ブランドのデータを統合しなきゃなぁ。でも、無理だろうなぁ。nanacoカードでさえ、バッチ処理だからなぁ。
ということで、「老兵は死なずただ去りゆくのみ」といいますか、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」といいますか、人間引き際が大切なのと、大きな会社で偉くなると大変なんだなぁ。。。ということがよくわかりましたな。