著者:池尾恭一、青木幸弘、南知恵子、井上哲浩
発行元:有斐閣
マーケティングのまとめ
大学の教科書です。それも、専門課程にいる学生にむけての教科書です。なかなか、ヘビーです。内容も、物理攻撃にも。マーケティングの実務に携わっている人間が、何故にいまさら、このような教科書を読む必要があるのかというと、マーケティングの考え方や、手法が細分化されてしまっているからです。マーケティングの全体を知ることなく、細分化されたごく一部だけをみて「これがマーケティングだ!」と勘違いしてしまうことが多いからです。その勘違いに気づくためにはアカデミックな方面からマーケティングに触れることが重要なのです。そんな時に最適な本ですよ。
マーケティングを読んだ理由
マーケティングの全体像を把握したくなったので
マーケティングで仕事に活かせるポイント
全部。とくに、参考文献の箇所。そこで紹介されている本を、片っ端から読んでみたいと思います。
マーケティングの目次
第一部 マーケティングとは
第1章 現代マーケティングと市場志向
第2章 企業戦略とマーケティング戦略
第二部 消費者行動分析の基本フレーム
第3章 消費者行動分析の基本フレーム
第4章 消費者行動分析の歴史
第5章 消費行動と消費パターンの分析
第6章 購買行動と意思決定プロセスの分析
第7章 知識構造と関与水準の分析
第8章 消費者データの収集と分析
第9章 消費者行動把握における定性調査法
第三部 競争環境と流通環境
第10章 競争環境の分析
第11章 流通環境の進展
第四部 マーケティング戦略の策定
第12章 市場細分化と標的設定
第13章 新製品開発
第14章 製品ライフサイクル
第五部 マーケティング意思決定
第15章 製品政策
第16章 ブランド政策
第17章 価格政策
第18章 プロモーション政策
第19章 マーケティング・チャネル
第六部 マーケティング戦略の諸側面
第20章 サプライチェーン・マネジメント
第21章 関係性マーケティング
第22章 ビジネス・マーケティング
第23章 サービス・マーケティング
マーケティングの感想
世の中にはマーケティングの本が溢れています。特に最近はUXだ、CXだという単語がもてはやされ、「最適な顧客体験からマーケティングを考えるのだ」と、ある一部の業界では大騒ぎになっています。UXや、CXを考えるためにカスタマージャーニーマップの書き方だけを教えてくれる本まであったりします。
すごいな。
そう私も思ったりしているのですが、ちゃんとそれらの本のお世話になっていたりもします。
でもね、マーケティングってそれだけじゃないよね。そういうことを常々、頭の中片隅で考えておりまして、「ちゃんとマーケティングの全体像を把握しよう」ということで、本書をよみました。
全24章から成り立つ本書は、マーケティングの教科書です。「こんなところまで考えなければならないのか!」って、正直、思う人もいるでしょう。ペルソナ作って、カスタマージャーニーマップ作るなんて、全体の極々一部なんですよ、ということが、よくわかります。そして、ペルソナを作るにしても、カスタマージャーニーマップを作るにしても、ちゃんとしたステップを踏む必要があることがわかります。
いやーーーーー大変だぁ。そんなにリソースナイヨ!ってなりますが、安心してください。マーケティングとは、マーケティング自体が目的でも、ゴールでもないという、ものすごく重要なことを本書は、教えてくれるのです。
マーケティングとは与えられたリソースの中でマーケティングの目的を達成するもの。そのため活動に、差別的優位性という観点か一貫性を提供するのがマーケティング戦略である。
いや、ほんとにそのとおりです。与えられたリソースを最大限、有効に活用して、目的を達成するコトが、マーケティングの役割なんです。丁寧にいろんなことをやっていたら、途中でリソースが足りなくなりました、じゃだめなんですよね。途中を省略することだって必要なのです。ただ、その箇所を省略したという認識は必要なのです。その認識が、あるとないとでは、大きく違います。
いろいろとためになることいっぱいだったのですが、そのなかでも「市場把握のための7つの視点」は覚えておきたいポイントですね。
①Occupants(主体):誰が標的市場を構成しているのか
②Objects(客体):何を購入するのか
③Objective(目的):なぜ購入するのか
④Organization(組織):誰が購入に関与しているのか
⑤Occasions(時期):いつ購入するのか
⑥Outlet(販路):どこで購入するのか
⑦Operations(活動):どのように購入するのか
一番最初の現状を把握する質問として使えますね。
本書で紹介されている参考文献のなかで、「これは読まねば!」と思った本はこれ。
さぁ、勉強することだらけだぞ。頑張っていきますよ。