著者:サトウマコト
発売元:230クラブ
感想
ものすごいマニアックな本ですね。
日本ではアメ車が売れない売れないと言われていますが、そんな日本においてアメ車が売れまくっていた時期があるのですよ。売れるどころか、生産までしていた。
横浜にフォードの工場があり、大阪にシボレーの工場があった。
そこまでは知っていた。
でも、フォードと、シボレーの成功にやる気を出したクライスラーの工場まで日本にできたとは、知らなかった。
それは今から百年くらい前のお話。
関東大震災で交通インフラが壊滅的な状態となった東京。この東京を復活させるために大量に輸入されたのが、アメリカ車。もちろん、それ以前にもアメリカ車は日本にあったけど、一気に一般的となったのは、このタイミングから。
震災復興で、一気に街が開発され、金融緩和で成金が増えて、自動車の需要が一気に増えた、と。とはいえ、今のような発展の仕方じゃなかったけれどね。
20世紀初頭に、ベンツや、ロールス・ロイスはすでに存在していたけれど、それは今以上にとんでもない高級車で、庶民がおいそれと変えないような代物でした。それは21世紀の今も同じだけれどね。で、当時の大衆車といえばトヨタ・カローラでもホンダ・フィットでもなく、シボレーや、フォードでした、と。
そんな東アジアの需要を満たすために、そして、国家統制経済に傾斜していく日本製粉お先を回るために、日本にアメリカ車の工場ができた。で、フォードや、GMがすごいのは、アメリカで行ったのと同じように工場労働者にかなりの報酬を支払って、中産階級を作り出そうとしたんだとな。
フォードや、GMの工場で働くことがステータスとされ、日本で生産されたアメリカ車は、中国に輸出され、中国軍の軍用車両として使われることになるほどに発展。
でも、日米間の摩擦と対立がひどくなり、その2つの工場はなくなってしまったのですと。
知られざる日本の近現代史を知ることのできる素敵な本ですな。
横浜製フォード、大阪製アメリカ車―1936年陸軍国産車保護立法で生産阻止
- 作者: サトウマコト
- 出版社/メーカー: 230クラブ
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
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タイトル:横浜製フォード、大阪製アメリカ車―1936年陸軍国産車保護立法で生産阻止
著者:サトウマコト
発売元:230クラブ
おすすめ度:☆☆☆☆☆(素敵な本ですな)