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増補 転落の歴史に何を見るか

 

著者:斉藤健
発行元:筑摩書房

 

増補 転落の歴史に何を見るかまとめ

日本という国は何度も何度もダメなことを繰り返しているんだな、と。世界に追いつけ追い越せで進んでいるときと、頂点から転落していくとき。なぜ、このようなことが繰り返されるのか?その理由を教えてくれるのが本書です。身内に甘い、仲間に甘い。全てがここに帰結するんだろうな、と。新しいことをはじめようとすることは、今まで頑張ってきた人を否定することになるから。「先輩を否定するのか!」「仲間を否定するのか!」そう言われて思考停止になってしまうのがダメなんだろうな。

 

増補 転落の歴史に何を見るかを読んだ理由

日本がダメになる流れを冷静に見つめたいので

 

増補 転落の歴史に何を見るかで仕事に活かせるポイント

仲良しこよしで仲間を大事にしていると、新しいことができないってことだね。

 

増補 転落の歴史に何を見るかの目次

第1章 20世紀前半の日本への旅の準備
第2章 奉天からノモンハン
第3章 現在への座視
日本軍の情報マネジメント、そして「現在」
原敬 ジェネラリストの巨星
「生真面目な昭和」から何を学ぶか
日露戦争後の日本、バブル後の日本

 

増補 転落の歴史に何を見るかの感想

日本軍の失敗、日本的組織の失敗。その原因を教えてくれる名著が「失敗の本質」だとすれば、本書は「21世紀の今でも通じる失敗の理由」といえるのでしょうね。

例として紹介されているのは日露戦争から太平洋戦争にかけての話し。

しかし、例として紹介される話しは21世紀にも当てはまるんだよね。

だから怖いのだ。だからリアリティがあるのだ。

東条英機も、辻政信も、今の日本にいるのだ。

帝国海軍的な問題も、帝国陸軍的な問題も、今の日本にあるのだ。

その理由の1つをジェネラリストの不足だと、著者は言っている。

「いやいやいや。ジェネラリストじゃなくて、スペシャリストでしょう。ジェネラリストを育てるために、ジョブローテーションなんてしていちゃダメでしょう」って反論が聞こえてきそうです。

もうね、そこから分かるのがジェネラリストという単語の使い方が間違っているってことですよ。

平たく言えば、天下国家のこと、社会全体、人類全体のことを考えるのがジェネラリスト。全体を俯瞰してみれば「全体を救う」なんてことは無理だと言うことに気がつく。そこから始まる優先順位付け。そういう対極に立って物事を考える人がいなくなってから、たこつぼ的な組織になってしまったと。

でもね、たこつぼ的な組織自体には問題無いんだよ。

問題なのはたこつぼ的な組織内で、仲間意識全開で、みんな仲良しこよしになってしまったこと。

「この空気を壊しちゃダメだよね」っていうことで失敗したことを振り返らなければ、失敗した人間に責任をとらせることもしない。宗谷って、組織が硬直化し、判断ができなくなっていく。

それが日本だ、と。

いや~21世紀にも当てはまるね。

だから「若者・よそ者・馬鹿者」が社会を変えるんだよね。

誰にとっても優しい人でよいのは課長までなんだよな。

 

 

タイトル:増補 転落の歴史に何を見るか
著者:斉藤健
発行元:筑摩書房