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CDP活用の最適解を導く 事例から見えてくる、人材、プロジェクト、組織の在り方

 

著者:トレジャーデータ
発行元:翔泳社

 

CDP活用の最適解を導くまとめ

トレジャーデータの人が書いた、CDP導入本。つまり、トレジャーデータ導入本。なんだよ、宣伝の本かよ、なんて思っちゃだめです。私の知る限り、日本で一番、地に足付いたCDP本だと言えますよ。概念から、導入の仕方&使い方、そして、事例まで。とりあえずトレジャーデータを入れる、とりあえずデータを貯めるという会社が多い中、それじゃ駄目だよと教えてくれる素敵な本。ただ、気をつける必要があるのは、この本の事例に登場する会社の人々は「なんの仮説もなくデータ分析しても意味がない」ってことを知ってるのと、QUICK Winで得られる結果が小さくても社内がガッカリしない空気を作ってるってことなんだよな。あと、たくさん失敗しても、許される文化。「投資対効果が~」とかすぐに言う会社じゃむりよ。

 

CDP活用の最適解を導くを読んだ理由

仕事でトレジャーデータを扱うことになったので

 

CDP活用の最適解を導くで仕事に活かせるポイント

QUICK Winで得られる結果はすごく小さいと、先に社内を納得させることが重要。あと、たくさん失敗しないと、成果が出ないことを納得させることも重要。「投資対効果が~」とかすぐに言う会社じゃむりよ。

 

CDP活用の最適解を導くの目次

カスタマーデータプラットフォームとは
CDP活用のための人と組織
プロジェクトを成功に導くために重要な要素とは
トレジャーデータが実践するプロジェクトの進め方

 

CDP活用の最適解を導くの感想

この本の肝は、事例ですよ。特に、ルゾンカさんの話がいい。外資系でデータ分析を行ってきた人なので「データを活用する」ことに迷いがない。そして、この場合のデータ活用とは日本のSIerが喜ぶようなDB開発じゃないんだよ。仮説導出と、仮説検証の方法なんだよな。そして、仮説なんだから、外れて当然。山のようにたくさんの仮説を出して、検証して、検証結果と検証方法を蓄積していくことなんだよな。

なにより、これが重要。

徹底的に検討に検討を重ねて、最初から大成功を狙う、もしくは失敗は絶対に許さない伝統的な日本企業じゃきびしいんだよ。あと、ボトムアップも無理。たくさん失敗することが前提のプロジェクトを下っ端社員が手を上げてやったら、死んでしまう。それが日本企業なんだから。

ということが、読み取れるか、だな。

なので、著者が冒頭で言う

 

企業にある既存の枠組みを破壊したり状況に合わせて変化させたりしながら、プロジェクトを取りまとめるプロジェクトリーダーが必要です。

 

 

 

他社が既に公開している取り組みなど参考になるものがあったとしても、自社に当てはめた場合のCDP活用に「これが正解」というものはありません。

 

 

という指摘には頷くしかできない。

ビジネスモデルも違えば、顧客も違い、取得しているデータも違うのだから、他社事例ばかり集めてもしょうがないんだよね。日本企業は事例集めるの大好きだけれども。たくさん集めた事例を抽象化させるならまだしも「うちに当てはまるのはどこだ?」とか探し出すしね。

そういう流れで本書を読むと、情シスが社内の下請け企業となり、ビジネス部門にお伺いをたてて仕事を回している現状にあって、CDP導入の難しさも、ちゃんと指摘しているのがいいね。何度も何度もビジネス側とシステム側の戦いに著者は巻き込まれたんだろうな、って思うわけです。日本企業のたちの悪さって、情シスの社内SEって開発会社に仕事を振るのが仕事だからね。そりゃあ、データとビジネスが密に絡み合うCDP導入が上手くいくわけがない。

 

プロジェクトにおいて視線を揃えるためには、データという共通言語を用いることが重要です。しかし、残念ながら、ビジネスサイドと技術サイドの業務内容は、従来近い距離にあるとは言えませんでした。むしろ、これまでデータ活用を行ったことがない企業では、交わり得ない職種であったのではないでしょうか。慣れない共通言語には戸惑いもあるでしょう。しかし、筆者の経験上、プロジェクト参加メンバーの方向性が揃わない限り、必ずと言っていいほどプロジェクトは空中分解します。ここで求められるのがジェネラリストの存在です。ビジネスサイドとデータを扱う技術サイドを理解し、両者の橋渡しとなるようなジェネラリストが、プロジェクトの空中分解という最悪の事態を防ぎます



優しい言葉で、優しい視線で書いてますが「会社内で情シスとビジネス側で仲良くしろよ」ってことですからね。

事例でGDOの方が語っていたけれど、なんでも開発会社に丸投げ、請負で仕様書通りに、開発させるじゃ、もう無理なんですよね。

で、重要なCDPの導入プロセスです。そのプロセスは「ビジネス構想・要求定義」「CDP設計・実装」「施策利活用」となります。だから、CDPの導入がプロジェクトのゴールじゃだめなんですよ。もちろん、CDPに溜まったデータの分析がゴールでもダメですよ。



あと、LINEとTreasureDataが連携したのだそうな。

これってやっぱり、ソフトバンクの力なのかしら?

 

 

タイトル:CDP活用の最適解を導く 事例から見えてくる、人材、プロジェクト、組織の在り方
著者:トレジャーデータ
発行元:翔泳社