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異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実

 

著者:宇都宮徹壱

発行元:集英社インターナショナル

 

異端のチェアマンまとめ

この本はJリーグチェアマンであった村井満さんの姿を通しながら、Jリーグというプロサッカーリーグのありのままの姿と、ビジネスマンとしてあるべき姿を教えてくれる本なのだ。サッカーに関する話は出てくるのだけれど、その内容はサッカーリーグを支えるという視点でのお話になるからね。日本では「イノベーションは若者、馬鹿者、よそ者から生まれる」ってよく言うけれど、日本サッカーの部外者(普通の浦和レッズサポーターだったオッサン)で、リクルートの海外子会社のも社長の村井さんがチェアマンを引き受けなければ、Jリーグは30周年を迎えることなく終わっていたんだろうな・・・と、この本を読むと感じるわけです。ほんと、お金大事。ガバナンス大事。天日干し大事。しかし、よくこのレベルの裏話を、村井さんは話してくれたモノだと感心してしまうわけです。

 

異端のチェアマンを読んだ理由

面白いよと勧められたので

 

異端のチェアマンで仕事に活かせるポイント

スピードスピードスピード

 

異端のチェアマンの目次

試練

結実

危機

 

異端のチェアマンの感想

村井満さんといえばJリーグ5代目チェアマン。2014年~2022年まで8年もチェアマンを務めた人。初代チェアマンの川淵さんを除けば、最長の在任期間。そして、はじめてJリーグや、JSL関係者以外からのチェアマン就任。元々はリクルートのサラリーマンで、リクルートエイブリックの社長や、リクルートの香港子会社の社長を勤めた人。そして、知る人ぞ知る、浦和レッズの熱狂的なサポーター。

 

そんな村井さんがやったことといえばJリーグ2シーズン制の導入や、浦和レッズ無観客試合、コロナ禍によるリモートマッチという名の無観客試合に、コロナ規制・・・などなど。浦和レッズに対してだけ厳しいというか、他のチームのサポーターがやらかしても、あまり処罰は受けないことになれているので、そこのへんの記述はどうでも良い。

 

この本のコアな箇所といえば、2シーズン制の導入からDAZNとの契約と、コロナ禍による規制の話だ。

 

なぜ、2シーズン制が導入されたのか? 導入しなければならなかったのか? という話が克明に描写されているのに驚くレベル。2シーズン制を導入もしなく、DAZNという助け船もなければ、間違いなくJリーグはなくなっていたんだろうな・・・という状況。村井さんが登場するまで、アマチュアがリーグ運営を見よう見まねで行っていたんだよね。そりゃ、ブームが過ぎ去れば、経営も立ち行かなくなりますよ。そして、日本型組織でよく見かけるように、お金を仲間内でチューチュー誌合う仕組みだけは立派にできている。

 

そのようなしがらみを全てぶっ壊し、ビジネスをまともにできる組織に作り直したのが村井さんなんだよな・・・と。

 

村井さんに対して「金のことしか考えてないじゃないか!」って批判が向けられることも多かったけれど、金がなきゃ何もできないんだよね。金を稼ぐベースをちゃんとつくった恩人なんだよ、村井さんは。

 

そんな村井さんでも、コロナ禍には勝てなかったんだよね。

 

コロナによるシーズン中断に、コロナによる観戦規制。最初に厳しく規制をかけて、大丈夫になったら徐々に規制を緩めていく・・・なんてことができない日本社会にあって、Jリーグが下した決断が正しかったのか? 日常へ戻すことをためらい、ひたすら規制ばかりを声高に叫んでいた人を、村井さんの次のチェアマンに据えて良かったのか? 読み進めるうちに、ふつふつと怒りがわき上がってくるわけです。

 

そして、本書の終盤に出てくるザイオンの登録選手問題のお話。村井さんがどれだけ天日干しして、組織をまともに進化させようと頑張っても「そういうことやられて困る人がいるんだなぁ・・・」と思うわけですよ。「三権分立のように・・・」って言葉はかっこいいけれど、審判部門に対して、正しい批判をしないから、誤審ばかりのJリーグになっちゃうんだよなぁ。

 

とはいえ、村井さんのようにアウトサイダーで「サッカー界から干されても、他でお金稼げる」人じゃないと、Jリーグって改革できないし、できなかったんだろうな・・・と。村井さんを支えた、チームMURAIの面々も、サッカー界以外で生きていけそうな人ばかりだったもんね。まぁ、これは一般の企業で同じだけれどね。

 

 

タイトル:異端のチェアマン 村井満Jリーグ再建の真実

著者:宇都宮徹壱

発行元:集英社インターナショナル