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日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由

 

著者:葦原一正
発行元:光文社

 

日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由まとめ

日本にスポーツをビジネスとして根付かせるにはどうすれば良いのか?なんで、日本ではスポーツビジネスがうまくいかないのか?そのことをスポーツビジネスのど真ん中、中秋にいた人が教えてくれる本。プロ野球や、Bリーグのなかの人として、リーグやチームを発展させるために汗水を流していた元コンサルタントだからコソの説得力。リーグの入れ替え戦はいらないという持論以外は全面的に賛成。「入れ替え戦をしないで、基準を満たしたら上位カテゴリにチームを増やせばいいじゃないか」って言うのも正言うと思うけれど、その場合はクラブチームのユースカテゴリーと学生スポーツカテゴリーが一体となってピラミッドの底辺からスポーツが盛り上がる必要があるのだろうなと思うのですよ。で、日本の場合、学生スポーツは教育なので、アメリカのようにはならないんだろうなと思うわけですよ。どちらにしても、スポーツビジネスって面白そうね。

 

日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由読んだ理由

日本のスポーツビジネスの仕組みを知りたかったので

 

日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由で仕事に活かせるポイント

よく調べることだね。調べて、抽象化して、実行に移すことだよ。

 

日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由の目次

GOVERNANCE スポーツビジネスの基本について話そう
PROFESSIONAL 何が必要とされるのか
ARENA 「アリーナ」から見る経営と閉鎖型モデル
GLOBAL したたかに世界をうかがう存在であれ
ENGAGEMENT 招待券からデジタル活用まで
FUTURE アフター・コロナとスポーツ

 

日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由の感想

 

著者は元々アーサー・D・リトルのコンサルタント。ファームを辞めた後はオリックスバッファローズや、横浜DeNAベイスターズのフロントに。そして、Bリーグの立ち上げにも携わっている人。いわば、日本のプロスポーツをよく知っている人なのですよ。これで、Jリーグと、Vリーグと、卓球と、ラグビーと、フットサルと大相撲まで入れば完璧でしたね、と思えてしまう。でもね、プロ野球とバスケだけでも情報を抽象化させて、日本のプロスポーツにおいて何が必要なのか?を教えてくれるのですよ。さすが、元コンサルタント

 

野球とバスケだけでなく、サッカーや、バレーボール、ラグビーも交えて日本におけるスポーツビジネスの課題と展望を教えてくれるのですよ。このスポーツのなかには「完全プロ化」されているモノもあれば「一部プロ化」のスポーツもある。こういうぐちゃぐちゃな状況でも、しっかりとプロ化できるのですよ、って著者は教えてくれるのです。

 

プロ化とは、リーグ戦を収益が生まれる事業とし、自分たちがやっていることや収支を明確かつオープンにすることで、「良いわけができないようにする」ということだ。
表現方法を変えれば、親会社に頼らずに自分たちで稼ぐ仕組みを作ることである。競技のレベル、イベントの内容、営業や広報活動などは、すべて市場にとって魅力があるかどうかという視点で判断されていく。
つまり、プロスポーツは「マーケットを見る」ことが必要なのだ。アマチュアスポーツとの決定的な違いがここにある。

 

しっかりと市場を見ているのか?見ていないのか?これが重要ってことなのね。となると、大相撲は?って思ってしまうわけですが、まぁ、きっといろんな事情があるのでしょう。そももも、大相撲はプロスポーツなのか?という話もあるし。

 

あと、プロスポーツ、プロリーグになるとリーグのガバナンスが重要になってくるのですよね。で、そのガバナンスってどういうことなのかというと、こういうことだと教えてくれます。

 

「ガバナンス」と言うと様々なものを想起してしまうが、私からするとガバナンスとは「リーグの強いリーダーシップ」であり、「リーグとしてのアイデンティティの確立」である。

 

 

「リーグの強いリーダーシップ」であり、「リーグとしてのアイデンティティの確立」ね。これ、Jリーグにあるのかしら?と、よくしっているJリーグを参考に思ってしまうわけですよ。チェアマンが代わるごとに代わってないか?って言う気がしなくもないけれど。Jリーグ100年構想とか、ホームタウン制とか、チーム名に企業名は入れないとかは、川淵さんが作ったアイデンティティが残っているよね、と。

 

そうそう、私のよく知るJリーグの話しとリンクするのが、ここなのですよね。ID管理のところ。JリーグIDってBリーグの会員管理をマネしていたのね。全体の基盤があって、その上に各チームのデータが乗っかるように考えられているBリーグってさすがだね。Jリーグの場合、各チームが先にあって、その後がリーグ全体だったのね。

 

ただ、私の感覚ではもっとできると思っている。たとえば、デジタルマーケティングを積極活用すればもっとマーケットが広がっていくだろう。
Bリーグは「Bリーグ会員」として、B1、B2に所属する全36クラブ共通のデータベースシステムを構築している。各クラブのチケット会員、ファンクラブ会員、EC会員と連動しており、Bリーグに関するサービスは「Bリーグ会員」のIDで一括対応できる。
Jリーグには「JリーグID」がある。こちらもJリーグの各種サービスで利用できる共通のサービスだ。Jリーグのチケットの購入などに利用できる

 

 

この考え自体はとても素晴らしいけれど、スポーツが連携したからといって、IDを一つにまとめることはできないと思うのよね。アニメ好きが北斗の拳としまじろうの情報を欲しいかという話しと一緒だし、しまじろうのファンと北斗の拳のファンを一緒に管理するメリットは何だろうって話しにもなるのよね。

 

あと、色々問題になっているJリーグの無料チケットについても本書では触れられてましたよ。

 

私の考える招待券の配り方は、「とにかく埋めるため」ではない。
無料でもいいから招待するのは、顧客満足度と推奨以降のどちらも高め、二度目、三度目の観戦につなげてもらうためだ。そのためには、自分たちが持っている商材のなかでも、お勧めの試合に触れてもらった方が良い。いいものを知ってもらわなければ、良さを分かってもらえないだろう。

 

無料招待チケットをばらまき、そのチケットの申し込みにはJリーグIDの登録を必須としているのに、愚にもつかないメルマガだけを送ってくるJリーグは、考えを改めた方が良いのですよね。そもそも、最も無料招待券の配布が少ない浦和レッズが、Jリーグの集客数ナンバー1なんだからさ。無料招待チケットがうまく機能してないのが見え見えじゃない。

Jリーグにも著者のようなプロがいて欲しいよね。

 

 

タイトル:日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由
著者:葦原一正
発行元:光文社