目次
第1章 通貨革命が始まった
1 突然登場した新通貨
ビットコインは通貨史上の革命
ビットコインの中心は「正しい」取引記録
マイクロペイメントが引き起こす社会革命
送金コストが下がるとeコマースが変わる
国際送金がビットコインに代替される
社会運動の新しい形
仕組みを理解する必要
2 マウントゴックス破綻の教訓
深刻な誤報と誤解:死んだのは両替所。ビットコインではない
私の意見は「言い訳」?
正確な情報が利用者を守る
利用者保護で政府がなすべきこと
3 金融機関はどう見ているか
積極的な評価をしたバンクオブアメリカの報告
eコマース決済と国際送金が主要な役割
銀行業務が代替されると影響は大きい
重要なのは基本構造:ビットコイン改善提案
銀行の積極的関与を提案するUBSレポート
供給スケジュール設計は経済学者の仕事
4 急速に広がる実生活での利用
増加する受入店舗
レストランの支払いをビットコインで行なう
記事の切り売りシステムを提供
ビットコインの送金コストはどの程度か
世界から取り残されている日本
第2章 きわめて斬新なビットコインの仕組み
1 電子署名でビットコインを送る
仕組みについて最低限理解すべきこと
電子署名で、なりすまし、改ざん、否認を防ぐ
公開鍵、秘密鍵、アドレス、ウォレット
デジタル署名による送金
ペーパーウォレット
アドレスから持ち主を推測できるか
2 ブロックチェーンに取引を記録する
電子的手段の問題は二重使用
取引記録の公開で二重使用を排除する
ブロックチェーン
3 ビットコインの中核は「プルーフ・オブ・ワーク」
プルーフ・オブ・ワークを課す
正直な協力者になるのが合理的
ハッシュキャッシュ計算
管理主体がないことが重要な発明
4 「ビザンチン将軍問題」を解決した
裏切り者がいるネットワークで正しい合意を形成する
難しい計算問題を課せばよい
ビットコインは社会の基盤に関する根源的な問題を提起する
5 ビットコインは電子マネーとまったく違う
すでに日常生活に入っている電子マネー
「造幣局方式」で二重使用を防止する
電子マネーは現金の変形にすぎない
電子マネーの問題(1)手数料が店舗の負担になる
電子マネーの問題(2)単独の運営では採算がとれない
ビットコインで初めて可能になること
第3章 ビットコインに続くもの
1 アルトコインズはビットコインのクローン
200以上あるビットコイン類似コイン
複数通貨の競争が起きる
ドメイン名を取引するネームコイン
2 新しいコンセプトのリップル
リップルの基本的な仕組み
リップルはどのように機能するか
送金機能に焦点を絞る
信頼できるゲイトウエイが多数誕生するか?
3 ケニアで起こった通貨革命
エムペサ?ケニアが通貨先進国?
エムペサの仕組み
エムペサはダイレクトバンキングの一種
ビットコインとは競合でなく補完?
通貨革命が生じる条件
第4章 現代の通貨はどこに問題があるか
1 「通貨」とは何か
通貨の大部分は預金通貨
通貨、貨幣、現金はどう違う?
貨幣は情報である。金属ではない
小切手とクレジットカード
日本は振込先進国
銀行を通じる送金のコストは、少額送金では高い
2 部分準備制下の預金価値は信用できるか
部分準備制の発明
人々は通貨を信用しているか?
3 前時代的な国際送金の現状
国際送金で何が問題となるか
為替手形:B/E
信用状:L/C
銀行振込による決済:T/T
スプレッドも送金コストの一種
日本からの送金コストは高い
大規模な取引でも、国際送金には問題がある
アフリカへの送金にビットコイン
送金コスト引き下げは重要な成長戦略
第5章 通貨革命は社会をどう変えるか
1 仮想通貨最前線を探る
ビットコインは出発点にすぎない
スマート・コントラクト
第三者のいないエスクローを実現
スマート・プロパティ
DAC:自動化された企業
野心的なイサリアムの計画
「共有地の悲劇」を避ける
2 新しい技術の意義は過小評価される
IT革命を過小評価した人々
電話は「おもちゃ」と見なされた
通貨技術革新の影響も過小評価されている
3 仮想通貨と国家の緊張関係
ハイエクの貨幣自由化論
金融緩和の真の目的は国債の貨幣化
ビットコインがあると国債貨幣化は困難に
外国通貨への逃避が政府行動を制約する
ビットコインは税に関して基本的な問題を提起する
税の基本構造をビットコインに合わせる
4 われわれの仕事はどう変わるか
投資でなく、積極的な関与を
いつクリティカルマスに達するか?
変化に抵抗するのでなく、適応する必要
金融機関が最も大きな影響を受ける
小企業や個人が有利になる
ホワイトカラーのオートメーション化
5 分散市場と自動化企業が作る未来社会
起業が容易になれば社会は進歩する
注目を集めるキックスターター
アイルランドで復活した予測市場
集中管理から分散市場への移行は重要
カラードコインで「自分の株式」を発行する
日本のイノベーションは官僚機構を経由
人間の評価が必要な事業も自動化できる
ドットコム企業はDACに滅ぼされる
6 ブロックチェーンでサイバー空間の信頼関係を築く
ブロックチェーンを存在証明に使う
古くて新しい問題:自由と信頼関係のトレードオフ
サイバー空間では、複数のアイデンティティを持てる
サイバー空間でのアイデンティティ確立が必要
運営主体が政府や企業では問題がある
分散型のアイデンティティ証明は実現できる
1 モジュラ演算
2 ディフィー=ヘルマン鍵共有
3 RSA暗号
4 電子署名
ハッシュ関数
電子署名の仕組み
SSL認証
5 楕円曲線暗号とECDSA署名
楕円曲線
楕円曲線を用いる暗号化
楕円曲線を用いる署名(ECDSA署名)
6 分散市場の仕組みと自動化された通信社
分散市場における取引
通信社をDACで運営する
感想
サブタイトルは「ビットコインは始まりにすぎない」なのですが、読み進めていくと「その通り!」と強く思うようになりますわ。ビットコインのベース技術となっているブロックチェーンとプルーフ・オブ・ワークなのですが、この仕組を使えば今までは不可能と思われていたようなサービスをカンタンに提供できるようになるのだな、とうことがわかるのですわ。
ちなみに、ビットコインを理解するには
①電子署名を用いてビットコインを送ること
②取引をP2Pネットワークで維持するブロックチェーンに記録すること
③ブロックチェーン改ざん防止のため、プルーフ・オブ・ワークの計算を課すこと
の3つを理解する必要があるのだとな。
電子署名に関してはなんとなく知識があったけれど、ブロックチェーンとプルーフ・オブ・ワークに関する知識が皆無なので、色々辛かった。本書に説明はあるのだけれど、いかんせん、ワタクシが馬鹿なので、なかなか理解できなかった。
ちなみに、ブロックチェーンとは
ブロックチェーンは多数のノードに同一の記録を同期させる仕組みである。ノード間の記録に差異が生じた場合には、一定のルールに基づく多数決によって正統な記録を決定することにより、記録の同期を確保していく仕組みとなっている。また、既存の記録(ブロック)に新しい記録を追加する際に、チェーン状に次々と追加していくことから、ブロックチェーンと呼ばれている。この点、日本ブロックチェーン協会が独自に技術としてのブロックチェーンを定義している。
Wikipedia読んでも理解できないですなw
ルーフ・オブ・ワークとはコンセンサス・アルゴリズムの1つです。
P2P(ピアツーピア)ネットワークにおいて何を発言権として認めるか?という問題に対してのひとつの回答です。古典的なP2PではIPアドレスひとつごと、プロセス1つごとなどに発言権がありましたが、ビットコインではこれをCPUの計算量に応じて発言権を与えることにしました。
具体的には多大な計算量を要する問題(=特定の条件を満たすハッシュを探す)を最初に解いたものに発言権(=ブロック)を与えています。
ビットコインネットワークに偽の情報を受け入れさせるためには過半数の発言権を手に入れなければなりませんが、そのためにはネットワーク全体の半分以上のCPUパワーが必要となります。また過去にさかのぼって改変するのは指数関数的に難しくなるためビットコインネットワークに対する攻撃は事実上不可能といえます。
より一般的にプルーフ・オブ・リソースという概念があり、PoWはその一形態といえるでしょう(CPUリソースという意味で)。
アルトコインでよく利用されるのがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)です。これは利害関係に基づき発言権を与えるモデルで大まかにいうとコインの保持量に応じて発言権を認めるというのに似ています。PoSではPoWと違って無駄な電力消費を抑えるというメリットがあります。ただPoS単独ではなくPoWやほかの概念と組み合わせて使われることが多いようです。
コレまたよくわからないですなw
まぁ、マイニングするわけじゃないので、細かく理解する必要はないけれど、人にカンタンに説明できるくらいの知識は身につけたいですな。
P2Pの技術って、今までたくさんあったけれど、まじでコレは大きな革命を起こしそうな気がする。