WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

路地の子

著者:上原善広
発売元:新潮社

目次

第一章 昭和三九年、松原市・更池
「今さら命乞いしても遅いわ。そこでジッとしとれッ」
第二章 食肉業に目覚めた「突破者」の孤独
「オレの周りのええ人は、みんなおれへんようになってまう……」
第三章 牛を屠り、捌きを習得する日々
「オレは捌き職人やで。ケイちゃんさえ付いてきてくれたら、どないなと食べていけるから」
第四章 部落解放運動の気運に逆らって
「金さえあれば差別なんかされへん」
第五章 「同和利権」か、「日の前の銭」か――
「人間は、己の実益が絡んでこそ本気になる」
第六章 新同和会南大阪支部長に就く
「オレかて、もう後には引けませんねや」
第七章 同和タブーの崩壊を物ともせず
「ワシの勘はまだ、鈍ってないなと思ったな」
おわりに

 

感想

この本はすごい。


この本の主人公は著者の父親。上原龍造。
同和地区に生まれ、差別され続けた上原龍造が肉の仲卸を行う上原商店を立ち上げ、繁盛店に店を育てていく一代記。

 

だけど、話はそんなにシンプルには進まない。
同和利権に群がる人々に、右翼や、ヤクザとの命をかけたやり取り。

 

同和系のお話、大阪の食肉のお話というと、ドロドロした世界が描かれたり、背中がむず痒くなるようなお話ばかりだったりするけれど、この本は全く違う。

 

どちらかと言うと、すかっとするというか、一大スペクタクル。

 

そして、この主人公がいた時代は遠い昔ではなく、つい最近のお話。
少なくとも戦後のお話だ。

自分の記憶が残っている昭和50年以降の話になると、一気に引き込まれるよ。

すごい。

 

路地の子

路地の子

 

 

タイトル:路地の子
著者:上原善広
発売元:新潮社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名著)