まとめ
芸術新潮、週刊新潮、そしてFOCUSを生み出した天才編集者にして、新潮社の天皇といわれた齋藤十一の一生に迫る。「キミらは人殺しのツラを見てみたくないか」と指示したと言われる齋藤十一の発想力の原点に触れることができる一冊。やはり、戦後の出版界を作り上げた名編集者ってすごいね。
この本を読んだ理由
昭和の名編集者に興味があったため
仕事に活かせるポイント
やはり教養が必要なんですよね
目次
第一章 天才編集者の誕生
第二章 新潮社の終戦
第三章 快進撃
第四章 週刊誌ブームの萌芽
第五章 週刊誌ジャーナリズムの隆盛
第六章 作家と交わらない大編集者
第七章 タイトル作法
第八章 天皇の引き際
第九章 天才の素顔
終章 天皇の死
感想
テレビや新聞はマスゴミといわれ、世の中を変えるニュースは週刊文春からしか生まれないように思われている21世紀。そんな文春砲には新潮砲というライバルが昔からあるのです。
新潮社が発行している週刊新潮という週刊誌が。
日本ではじめての出版社による週刊誌をうみだし、かつ新聞社のジャーナリズムとはちがう雑誌ジャーナリズムを生み出した雑誌がある。それは週刊文春ではなく、週刊新潮なのだ。
そんな革命的な雑誌の生みの親、齋藤十一の人生にスポットライトを当てたのが本書。ちなみに、齋藤十一が世に送り出したのは、週刊新潮だけではない。芸術新潮も、FOCUSも、齋藤十一が夜に送り出したのだ。あと、新潮45もだ。
すごいなぁ、この企画力。メディア、雑誌のコンセプトを思いつくだけでなく、雑誌というメディアに記事を埋め続けるクリエイティブ力もある。そりゃ、一人でその体制を作ったわけじゃないけれどね。そういう仕組みを作り上げたのがすごい。フリーの記者とプロパーの編集者が力を合わせて記事を作るってことを作ったんだしな。
世の中が何を求めているのか。天才と言われようと、天皇と言われようと、自分は大衆と同じ人間であることを忘れなかった。それができたからこそ、次々とヒット作を生み出すことができたのでしょうね。
齋藤十一本人が自身のことを俗物と言ったのはそういうことなんだろうな。
しかし、その俗物は圧倒的な教養で作り上げられている。
私も、トルストイを読んでみよう。
21世紀に、齋藤十一がバリバリの現役だったらどんなメディアをつっくたのであろうか?と想像してみると面白いなぁ。コタツ記事に頼らないWebメディアを生み出していたのだろうな。