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無敗営業「3つの質問」と「4つの力」

 

著者:高橋浩一

発行元:日経BP

 

無敗営業まとめ

営業って、コミュニケーションなんだな、やっぱ。そして、そのコミュニケーションとは、お客さんとのずれをなくすことと、お客さんのためになることなんだよ。さらにいうと、そこに即レスが重なる。かゆいところに手が届くようなコミュニケーションを、先回りして行ってくれれば、そりゃ、お客様から信頼を勝ち取れますよ。本書には、どうやればお客様からの信頼を勝ち取れるのか?が、具体的に記されています。

 

無敗営業を読んだ理由

B2Bマーケティングを成功させる秘訣は、上手な営業テクニックにあると思ったので。

 

無敗営業で仕事に生かせるポイント

即レスですよ。即レス。何かオーダーされたらすぐに返す。時間を守ると、即レスこそが重要。

 

無敗営業の目次

第1章 営業とお客さまの「ズレ」は、情報ギャップから生まれる

第2章 情報ギャップを乗り越えて接戦を制する「3つの質問」

第3章 お客さまとのズレを解消する「4つの力」

第4章 お客さまを深く理解する「質問力」

第5章 お客さまに必要とされるための「価値訴求力」

第6章 お客さまの意思決定を助ける「提案ロジック構築力」

第7章 お客さまとともに段取りを進める「提案行動力」

第8章 「ルート型」「アカウント型」で4つの力を発揮する

 

無敗営業感想

営業は気がつかないうちに、お客さまとずれた行動をしがちである。このズレに気がついて、解消し続けていくと、誰でも成果が上がるというのが、著者の主張である。

本書は著者の主張を裏付ける話(これが数字に基づいていて、すごく説得力がある)と、ズレを生み出さないで、お客さまに価値を提供するためのノウハウの紹介から成り立っている。

著者曰く、営業の基本は「メリットを感じるような状況にあるお客様をどう探すか?」ということ。なぜこのような考え方に至ったのかというと、経験からこのようなことを学んだからなのだと。

  • 営業は自分で気がつかないうちに、お客様とずれた行動をしがちである
  • 成果を上げている営業は、個性の違いはあっても、お客様との間にずれを発生させないというポイントを押さえている
  • ずれに気づいて解消し続けていくと、誰でも成果は上がる

この「ずれ」に関するわかりやすい話として「費用対効果が悪い」という顧客のコメントを上げている。「ちょっと高いですね」とか「この金額だと上司が納得しづらくて」と言っている場合、それが単純に費用対効果の話なのか?単なる値下げの要求なのか?そこを見誤ってしまうと大きなずれにつながっていくと言うことですな。価格という言葉を一つとっても、費用対効果の話なのか?他社との金額比較の話なのか?でも、また、話は変わってきますからね。

このようなずれが発生してしまう要因として、筆者は「情報ギャップ」を上げているのですな。情報ギャップとは、営業と顧客の情報のずれのこと。営業側が、お客様の背景について相当な情報不足におかれている一方で、会社から「売る側の方針や目標」に関する情報ばかりを押しつけられてしまっているので、お客様の発した言葉の背景なんて無視して、自分たちの売りたい話を進めて言ってしまうと言うことですね。

とはいえ、情報ギャップをなくしたからと言って、それだけで営業が上手くいくようなことはないのですよ。業法ギャップが極限まで小さくなっても「お客様の中で発生している迷い」を解消することはできない。でもね、「お客様が何で迷っているのか?」を把握できれば、攻略する糸口を見つけることができるようになるのですよ。その状況で使われるのがレオン・フェスティンガー氏が提唱した「認知的不協和理論」なんですって。認知的不協和理論とは”人間は、複数の情報の間に矛盾が生じている場合、自分の判断を正当化する形で、その矛盾を低減、もしくは解消とする性質がある”と言う理論。つまり情報を追加することで、結論が変わると言うこと。この理論を営業に利用すると「どんな情報を追加すると契約を決めてもらえるのか?」というコントロールが、かなりの確率できるようになるのですよね。

そして、このような状況で必要になってくる質問が「接戦状況を問う質問」「決定の場面を問う質問」「裏にある背景を問う質問」なんですって。これらの質問を投げかけて認知的不協和理論を利用できるようなポイントを見つけ出すというのです。具体的な質問例が紹介されているのですけれど、どれも理由は聞いていないんですよね。理由は回答者の主観が混じるからって。なるべく場面や状況というファクトを聞き出そうという質問になっている。

いやはやスゴいわ。

ここまでできれば「この人は仕事がスゴくできる人だ」となって、ものすごい手前の段階、いわゆる上流のタイミングで仕事の話が出てくるわけですよね。コンペに呼ばれるのではなく、コンペを企画する側には入れる。そりゃ、無敗営業になれるわね。

でもね、できる営業はそれだけで完成しないのだという。

無敗営業 「提案ロジック構築力」「価値訴求力」「提案行動力」「質問力」

「提案ロジック構築力」「価値訴求力」「提案行動力」「質問力」


の4つを兼ね備えているのだと。

 

なお、この4つの力が満足では無い状態が紹介されているのですけど、これがわかりやすいのですよ。

  • お客様を理解するための質問力が足りていない状態
    • 営業担当者として要件のヒアリングが不十分、情報の把握ができていない
  • お客様に必要とされる「価値訴求力」が不足している状態
    • 営業担当者としての魅力や価値を感じない、また会いたいとは思えない。
  • お客様の意志決定を助け、稟議を通せる「提案ロジック構築力」が不足している状態
    • お客様(あなた)の意図に沿わない提案を出してくる
  • お客様と共に段取りを進める「提案行動力」が不足している状態
    • 営業担当者としての動きが悪い

いろいろと心に響きすぎて、涙が止まらない箇所ばかりなのです。そんななかでも、「これならまねができるんじゃね?」という箇所を見つけて、自分を慰めています。それは、価値訴求の箇所。価値訴求において大事なことは、引き出しの数が多いこと。人によって感じる価値はそれぞれ異なるので、なるべく多くの価値訴求手段を持っておくと、お客様から信頼を勝ち取れる度合いが増えていくのですと。もちろん、価値訴求の増やし方は、それだけじゃない。積極的に汗をかくも含まれる。

無敗営業 情緒価値と機能価値

情緒価値と機能価値



そして、お客様と共に共感のレベルを上げていくことも重要なんですとな。そのときに重要な概念が「ジョハリの窓」という概念です。お互いに知らないことを共有することで人間関係が密になっていくことを意味します。「お客様と、互いに知らないことを共有できる」ような質問を繰り広げていきます。

無敗営業 ジョハリの窓

きっかけはジョハリの窓から

いろいろとアンケート結果が出てくるのですが、お客さまが営業に不満を感じる部分というアンケートが良かったです。これを知ることに、お金を払う価値がありますよ。レスポンスの良さ、鋭さが何よりも重要だということを教えてくれます。

営業で何よりも大切なのは顧客との関係性構築です。調査の結果では、営業担当者にもう一度会っても良いよと思っている人の割合は6.1%でした。この結果から初対面で嫌われないことが何よりも重要です。

無敗営業

顧客が求めるのは「提案力や・説得力」でも「価格」でもありません。「顧客側の意図を把握してくれる」コト「自社サービスの押しつけではなく、要件に合った提案をしてくれる」コトを求めているのです。

無敗営業



営業マネージャーは部下に「大事なことを深掘りする質問力」や「目標達成意識」「お客様との関係構築力」を求めています。が、顧客が営業に求めているのは「素早く適切なレスポンス」です。レスポンスが悪いと「こいつ、使えない営業だな」と思われてしまいます。しかし、営業マネージャーにとって「素早く適切なレスポンス」の優先度はとても低いです。

無敗営業



ここまではっきり書いちゃっていいのかしら?と思うのですけれど、著者は「教えたってここまでやりきる営業が少ない」っていうことを知っているから、事細かに説明しているのかもしれませんね。

いやはやすごい。

そして、BATN情報ではなく、BANTCHを覚えておきましょう。

B・・・Budget(予算)

A・・・Authority(決裁者)

N・・・Needs(ニーズの抜け漏れや優先順位)

T・・・Timing(検討や導入のスケジュール)

C・・・Competitor(競合)

H・・・Human Resoureces(お客さま側の人員体制)

のことですな。

 

 

タイトル:無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

著者:高橋浩一

発行元:日経BP