WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

営業の基本

著者:横山信弘
発行元:日本実業出版社

 

まとめ

営業というのはクリエイティブなお仕事なのですよ。デザインよりも、編集よりも、ライティングよりも、クリエイティブなお仕事なのです。なんで言えるのか?って、そのへんのおしごとをわたし、一通りなめたから。そのレベルで語るなよって話でもありますが、そのレベルであっても「営業ってすごい」と思うのです。そんな営業の基本が、この本には書かれておりますよ。

この本を読んだ理由

営業に対して、もう一度、ちゃんとお勉強をしたくなったから。

仕事に活かせるポイント

どこを切り取っても仕事に活かせるけれど、その中でも活かせるのは、営業に関する心構えだな。

目次

第1章 そもそも営業とは何か
第2章 営業の分類
第3章 営業のプロセス
第4章 営業のスキル
第5章 営業の販促ツール
第6章 営業の戦略
第7章 営業のマネジメント
第8章 営業の生産性
第9章 営業の支援システム
第10章 営業の適正

感想

どうも、日本では営業という職種が、正しく理解されていないような気がする。かくいう私も「営業は体育会系な世界」「営業は宗教」「営業は大脳筋肉でないと成り立たない」と、ずっと思っていました。そんなことないんですけれどね。いや、あるのか?この10年、私が経験している営業の世界というのは、これらおもいこみとは真逆の世界にあるモノでしたよ。

 

営業とは、死ぬほどクリエイティブな世界。それも、ロジカルで、かつ再現性が求められる世界。プレイヤーであることと、指揮官であることが、同時に求められる世界。

いやはや。

 

たぶん、マンガや、ドラマの世界に、影響されていたんだろうな。

 

ちなみに、本書では営業のことを次のように定義している。営業とは「お客様」の「利益」を支援し、その「正当な対価」をいただく仕事のこと。なので、営業という仕事を知るためには、理解するためには、戦略を立てるためには、「お客様」「利益」「正当な対価」の3種類のパラメータを上手に処理していくことが求められるのだ。

 

そういう世界が営業なのである。英会話教材や、中古車、太陽光パネル…etcを強引に売りつけることが営業ではないのだ。それは押し売りなのだ。本書では、営業の仕事第一義は「売ること」ではなくて、自社と取引先の「関係性を構築すること」と定義しているのだ。左手に電話の受話器をガムテープでくくりつけ、アポが取れるまで電話をかけ続け、アポが取れたら、商材が売れるまで帰宅できないというのは営業ではないのだ。

 

そういう、ブラックな営業会社、探せばありそうだけれどね。

でもね、営業というのは、そうではないですよ、と。

 

本書では営業とお客様の関係性から、営業のレベルを、次のように五段階に分けている。もちろん、レベルが上がれば上がるほど、高度な営業になるのだ。

 

営業の顧客提供価値レベル
レベル1…お客様のニーズに関係なく商品を紹介し、お客様が気に入ったら契約の手続きをする。
レベル2…お客様のニーズに合った商品を提案し、お客様が気に入ったら契約の手続きをする。
レベル3…お客様の潜在的なニーズを顕在化させ、そのニーズに合った商品を提案し、お客様が気に入ったら契約の手続きをする。
レベル4…日頃から信頼関係を築くための接触を続け、お客様が警戒心を抱かなくなってから効果効率的なヒアリングをし、潜在的なニーズを顕在化させ、そのニーズに合った商品を提案し、お客様が気に入ったら契約の手続きをする。
レベル5…お客様の組織を把握し、キーパーソンを特定し、そのキーパーソンと日頃から信頼関係を築くための接触を続け、お客様が警戒心を抱かなくなってから効果効率的なヒアリングをし、潜在的なニーズを顕在化させ、そのニーズに合った商品を社内で開発できるか議論し、然るべきタイミングで提案し、キーパーソンのみならず、決裁権のある人物を特定し、当該企業のエンジニアや経営幹部を引き連れて説明し、迷っているお客様をその気にさせ、お客様が気に入ったら契約の手続きをする。

 

英会話教材や、中古車、太陽光パネル…etcを強引に売りつけるのは、レベル1だな。今の会社で求められているのはレベル3以上だから、「営業は体育会系な世界」「営業は宗教」「営業は大脳筋肉でないと成り立たない」ではないんだな。

 

そして、この営業レベルは、以下のような営業スタイルにマッチしていると、著者は言っていないけれど、私はそのように思っているのですよ。ソリューション営業や、コンサルティング営業って言葉は単純だけれど、求められていることはハードだな、と。レベルで言うとレベル4とか5の世界だよね。

 

ルートセールス…取引のあるお客様に接触し続け、定期的に仕事の依頼を受ける営業方法
案件型セールス…案件別に商談を行い、ひとつひとつ受注する営業方法
提案営業…お客様の課題を解決するためのアイディアを提供すること
ソリューション営業…お客様に課題があり、その課題解決策(ソリューション)そのものを提案する
コンサルティング営業…お客様の潜在的な課題を顕在化させ、その課題を解決すること

 

「わたしはコンサルティング営業ができます(どや」って人にたまに出会うんですけれど、ほんとうにコンサルティング営業ができたら、その人はスーパーマンですよ。

 

とくにBtoBの世界では。

 

だって、お客様がより論理的な意思決定をしがちなのがBtoB営業の特徴。BtoC営業のケースと違って、お客様の登場人物が多いため、それだけ商談のリードタイムは長くなります。その商品の重要性が高いほど、あるいは価格が高くなるほど、意思決定に関わる人数は増加します。また、登場する全員が「同じ問題意識」を持っているわけではなく、人によって温度差があるため、合意を得るまでに時間が必要。この間、日銭を稼ぎつつ、もしくは無給でもOKなほどのリターンを得られるように動けるわけだもんな。

 

すごい。

 

とはいえ、ルートセールスであっても、提案営業であっても、コンサルティング営業であっても、営業に求められる共通のスキルがあるのですな。それは、高度なヒアリング技術。ヒアリング技術がなければ、何も始まらないです。ヒアリング技術のない営業さんは、押し売りをするしかないんだな、きっと。

 

いやはや、為になる本ですね。

 

そして、最後に、もう一つ為になること。営業は自分で足を運ぶ。販売はお客様が「足を運んでくれる」ってこと。待ちの営業しかしていないって、それは営業ではなく、販売ですよと。

 

 

この1冊ですべてわかる 営業の基本

この1冊ですべてわかる 営業の基本

  • 作者:横山 信弘
  • 発売日: 2019/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

タイトル:営業の基本
著者:横山信弘
発行元:日本実業出版社