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「最強」ソリューション戦略

著者:高杉康成
発行元:日本経済新聞出版社

 

まとめ

ソリューション戦略というよりも、コミュニケーション戦略ですね。営業成果を上げるための具体的なノウハウが紹介されているのですが、本書で紹介されているやり方を用いれば、営業以外、それこそ好きな人を口説き落とす場合にも使えますよ。もちろん、組織運営にも使える(と思う)。人とコミュニケーションを行って、仲良くなる。人とコミュニケーションを行って、知りたいことを得る。生きていく上で、ものすごく大事なことを教えてくれる1冊です。

この本を読んだ理由

ソリューション営業とは何をすればいいのか?元キーエンスの著者だから、キーエンスの秘密を語ってくれると思ったので。

仕事に活かせるポイント

「最強」ソリューション戦略の設計図が、ズバリ!役に立ちます。「ソリューション活動」の流れだけでも、役に立ちそう。まぁ、ソリューション活動のながれ「情報ギャップづくり(事前調査)」→「顧客とのすり合わせ(情報の深掘り)」→「ソリューション検討(潜在ニーズの整理)」→「ソリューション提案(顧客メリットの可視化)」だけ知っていても、最強にはなれないのだけれどね。

目次

序章 なぜ自社のソリューション戦略は失敗するのか
第1章 顧客に驚きを与える 潜在ニーズの探索とソリューション提案
第2章 「最強」ソリューション戦略 ソリューション活動、教育、モチベーション、組織の超連鎖
第3章 5つ星ソリューション活動 情報マネジメントとソリューション活動の融合
第4章 社員を早期戦力化する 自己成長型時短教育システム
第5章 役立ち度を体感させる モチベーション向上目標管理制度
第6章 この潜在力を引き出す 1割の支援で9割を活かす組織作り
第7章 ソリューション戦略を加速させる新製品開発 製品✕販売力のシナジー効果を高める

感想

著者は、日本最高の組織営業力をもつキーエンスだった人。キーエンスで身につけたノウハウを教えてくれるのですよ。

キーエンスの営業、それはソリューション営業。日本中のメーカーや、商社が「ものからことへ」なんていいながらソリューション営業に舵を切っているわけですが、これがなかなかうまく行かない。

なぜ、うまく行かないのか?

ソリューション活動がうまく行かない3つの理由を著者は次のように述べている。
①個人の活動に依存しすぎる②デジタル化されたシステムに依存しすぎている③目の前の顧客だけを見てしまう。

この3点の解消の仕方を紹介するのが、本書の流れとなっている。

ソリューション=顧客が抱えている本当の課題の解決方法を提供することで、値下げに負けない営業力を身につけることができるとも、著者は教えてくれます。

じゃ、ソリューションとは何か? という話なのですが、それは「顧客の気づきを超えること」なのだという。本書では売り手が知っていて顧客が知らない情報のことを「情報ギャップ」といっているのですが、この「情報ギャップ」を埋めていく活動こそがソリューション活動であると、著者は教えてくれます。

このはなしって、いわゆる「顧客が本当に必要だったもの」と同じ流れですよね。お客様が思っている課題は、実は本当の課題じゃない。本当の課題をこちらが指摘してあげて、その課題を共に埋めていく活動をおこない、最終的に「顧客が本当に必要だったもの」を提供してあげるということですね。

とはいえ、いうは簡単だけれど、実行するのは、難しいんだよな。

で、具体的にどうするんだい?ということですよ。

著者は、お客さんが知らないであろう、簡単な情報をまずは伝えるようにしよう、と教えてくれます。
具体的にはこんな話。

 

自社製品・サービスの役立ち例や、法令などの変更によるビジネス環境の変化、業界のトレンドと言った顧客が知らないであろう情報

 

 

それをぶつけ続けていると、お客様は「こいつは役に立つ人だ」と認識してくれるようになるのだという。で、そこまできたら、実績づくりですよね、と。

ん?

実績作るのが一番大変じゃね?ってはなしですね。でもね、実績って、業種業界で異なってくるから、これ以上の分解は難しい、できないんだと思うんだよな。とはいえ、本書にはけっこう、具体的に「実績の作り方」が書いてあるんだけれどね。

小さいことからコツコツと、お客様の得になる情報を提供し続け、信頼を勝ち取りましょう。その情報を提供できる、共有できる仕組みを作りましょう。その仕組みを利用して、組織を作りましょう。

ものすごく当たり前のことが、ものすごくわかりやすく書かれているのが本書。

できている人にはできているかもしれないけれど、それが組織で仕組み化しているかどうか?というと・・・となるとおもう。

だって、「お客様にメリットとなる情報をお伝えしましょう」と言われましても「メリットってなんですか?」と言うことになりますからね。

著者はお客様にとってのメリットは

 

「顧客メリットの『頻度工数金額』による整理」
「森視点、木視点によるメリットの整理」

 

と、わかりやすくまとめてくれているのですよね。

この2つの視点に基づいて、情報提供をしてくださいねって。

わかりやすいな~と、一人で納得。そしてもっと納得だったのは、このフレーズですね

 

「何か困っていることはありませんか」はソリューション活動では禁句

 

 

そりゃそうだ。

著者は「そんなことを言ったらソリューション提案を放棄してます」って優しく書いているけれど、これって「私は考えることができないバカです」って言っていることとおなじだからね、とおもう。

 

営業の本でもあるけれど、コミュニケーションスキルを上げるための本でもあるなぁと、思いました。

良書です。

 

「最強」ソリューション戦略

「最強」ソリューション戦略

  • 作者:高杉 康成
  • 発売日: 2019/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

タイトル:「最強」ソリューション戦略
著者:高杉康成
発行元:日本経済新聞出版社