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「IT専門調停委員」が教えるモメないプロジェクト管理77の鉄則

著者:細川義洋
発売元:日本技術評論社

 

目次

1 提案と見積り
2 契約と法務
3 要件定義
4 プロジェクト体制
5 プロジェクト計画と管理
6 開発方式とシステム形態

 

感想

この本は使えますな。

著者は東京地方裁判所調停員・IT専門医院、東京高等裁判所IT専門委員。

で、元NECソリューションイノベータや、日本IBMにいた人。

 

なので、燃えたプロジェクトの当事者であったり、第三者として燃えたプロジェクトの調停を行っていたりするわけですよ。

 

なもんで、いろいろ出てくる燃えないポイントというのが、超リアル。

 

例えば26ページには「ちゃんとRFPを書かないと、燃えるぞ」って書いてあるんですけれど、じゃあ、RFPに何をかけばいいのかというと、それがちゃんと書いてある。

 

それは

 

【基本情報と提案依頼の目的】
・ユーザの基本情報(業種、業態、組織、提供するサービス等)
・システムのサービス導入の背景(経営方針およびシステム化方針、等)
・開発/サービス導入の目的(期待される効果・メリット等)
・想定するシステムやサービスの概要(想定業務フローを含む)
・使用者に関する情報(部門および業務的な役割、人数等)
・マスタースケジュールとマイルストン等


【提案を依頼したい事項】
・サービス範囲や作業範囲(対象システム/サブシステムや工程等)
・役割・責任分担(ユーザとベンダの作業分担)
・想定するシステム開発手法、プロジェクト管理手法
・想定する成果物
・要件概要(機能要件/非機能要件)
・新システム/サービスに関する社員教育の要望
・その他要件検討事項および未決定事項
・提案書の目次、体裁、提出期限、提出方法、選考方法等

 

と、しっかりまとめられておりますわ。

 

これに則って、RFPをまず作れ、作ってもらえ、と。

 

RFPは「ワガママ」と「代替案」の応酬なんだとな。

 

で、それを受けての提案書の内容も、書かれておりますわ。

 

例えば、システム開発の場合は・・・

 

【現状理解とシステム化の目的・方針についての認識】
・ユーザの状況、事業規模と解決すべき課題についての認識
・システム化の目的と方針・メリットについての認識
・既存システムについての認識
【新機能とその要件】
・新業務フローとシステム化範囲
・業務用件概要

 

【新システムの要件概要】
・開発にあたっての前提事項・制約事項についての認識
・システムの基本要件・基本機能
・画面や帳票イメージ他ユーザエクスペリエンス概要

 

【新システム構成概要およびソフトウェア、ハードウェア】
・システム概念の説明
・システム構成概要
・使用するハードウェア、ソフトウェア一覧およびその特徴・優位点
・ネットワーク機器

 

【プロジェクト計画概要】
・全体計画と当プロジェクトの位置づけ
・開発方針
・マスタスケジュール
・システム以降の方針と計画概要
・ユーザとベンダの役割分担概要
・体制およびメンバのスキル・略歴

【プロジェクトの進め方】
・プロジェクト管理方針(進捗、リスク、課題、そのたSOWの管理、構成管理)
・コミュニケーション計画(会議体、各種報告)
・当社のプロジェクト管理標準および開発標準
・当社の品質保証の仕組み

 

【納入後について】
・納入後の保守サービス
・納入後の保守体制
・保守の方針と概要

 

【その他】
・ユーザへの依頼事項
・特記事項 

 

なのですとな。

 

ちなみに、よく紛争事項になる箇所が

 

●システム化の目的と方針・メリットについての認識
●システムの基本要件・基本機能
●ユーザとベンダの役割分担概要
●コミュニケーション計画(会議体、各種報告)
●開発方針

 

なのですとな。

 

あと、ちゃんとユーザ側の都合で作業が変更になることも、きっちり書いておきましょうと。

 

んで、ユーザにやってほしいことは具体的に、それも全て書き出す必要があるのだとな。

 

で、WBSはしっかり作れ、と。

 

WBSは成果物ベースでちゃんと作るようにとな。

 

あと、かなり重要なのが課題管理。

課題管理は下記の項目でちゃんとするように、とな。

 

●課題完結担当者
●課題の重大度
●課題対応策
●解決策着手日
●解決日
●課題解決状況

 


そして、議事録。

議事録はIT調停での切り札になるそうな。

ちゃんと作ろう。

で、一番刺さったのが140ページ似合ったこのフレーズ。

危機の察知と共有こそが信頼の元

 

人間関係こそが全てな。

 

モメないプロジェクト管理77の鉄則

モメないプロジェクト管理77の鉄則