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変化に強い計画・問題発見の技術 プロジェクトの「測る化」

著者:藤貫美佐
発行元:日経BP

 

まとめ

プロジェクトで何が重要かというと、収支がちゃんとあっているかどうかを確認すること。収支計画も、収支の振り返りも「見積もり」がちゃんとできないとダメで、見積もりがちゃんとできると言うことは、プロジェクトの様々なタスクを正しく測ることが重要なんだよな。そんな収支計画の立て方、つまり見積もりの作り方と、プロジェクトの測り方がわかりやすく説明されております。

この本を読んだ理由

社内で「見積もりの勉強会」を行うため、正しい見積もりの方法を知るために、この本を手に取りました。

仕事に活かせるポイント

プロジェクトマネジメントに必要なのはQ(品質)、C(コスト)、D(納期)と、S(スコープ)なんですって。QCDはスコープに依存するので、何よりもスコープの握りが重要になるってコトですね。

目次

1章 計画ミスをなくす プロジェクトの測る化
1-1 測る化とは何か
1-2 S(スコープ)の測る化
1-3 Q(品質)の測る化
1-4 C(コスト)の測る化(前編)
1-5 C(コスト)の測る化(後編)
1-6 D(納期)の測る化
2章 問題をすぐ見つけるプロジェクトの測る化
2-1 QCD+Sの管理
2-2 プロジェクト実行中のS(スコープ)の測る化
2-3 プロジェクト実行中のQ(品質)の測る化
2-4 プロジェクト実行中のD(納期)の測る化
2-5 プロジェクトの実行中のC(コスト)の測る化
2-6 QCD+Sの測る化

感想

健康診断の基本って、測ることなんですよね。身長、体重、血圧、血糖値…様々な数値を計測して、変化がないのかを確認する。身体の不調よりも、先に数値の悪化が表れることが多いため、定期的に身体の各数値を計測していれば、病気の予防と対策につながるという。

 

そんな考え。

こんな考えは、プロジェクトにも当てはまります。

 

ただですね、プロジェクトを測ることは、身長や体重を量るように単純な話ではないんですよ。そもそも、測る基準が不明瞭だし、測る機械もないしね。

 

ということで、「そもそも測る化とはどういうことなのか?」というポイントから、本書は教えてくれます。測る化っていうと、すごく難しく、かつ他人事のようになってしまうのですが、いわば、見積もりの仕方なんだよね。見積もりが正しく作れるかどうか?そして、作成した見積もり計画の通りに話が進んでいるのかどうか、が重要なんですよね。

 

で、計画を立てるときに参考にするのが過去の経験値(過去のデータ)なんですけれど、定量データに関しては3種類あるんですよね。これらを参考値にして、収支計画、つまり見積もりを作るんですよ。

 

●自分が経験したプロジェクトのデータ
●組織で蓄積したデータ
●世の中で公表されているベンチマークのデータ

 

で、これらをベースに計画を立てていくという、ちなみに世の中で公表されているベンチマークのデータに関しては、情報処理推進機構IPA)/ソフトウェア高信頼化センター(SEC)が発行する「ソフトウェア開発データ白書」、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発行する「ソフトウェアメトリックス調査」、経済調査会が発行する「ソフトウェア開発データリポジトリ分析」などがあるという。

 

で、測る測るといわれても、重要なのは「どこまで測るのか?」を定義しないとダメなわけで、プロジェクトの目的自体を明確にすることが重要。ここをしっかりしないと、立てる計画自体がおかしくなるしね。

 

で、その目的=要件は「機能要件」「非機能要件」「運用要件」の3種類に分類できるという。当然ですけれど、これら3種類の要件で、それぞれ見積もりを作らなければならないという。

 

そんな「機能要件」の定義は①機能要件の一覧化、②機能種別の付与、③機能概要の記述、④機能量の把握、⑤予測バリエーション数の記載を行っていくことが重要だという。

 

じゃあ、ここまでやったら見積もりは簡単かというと、そうではない。コスト見積もりは大きく分けて6つのプロセスから成り立つという。①規模見積もり②工数見積もり③期間見積もり④要因見積もり⑤ソフトウェア/ハードウェアコスト見積もり⑥リスク見積もり。

 

で、規模見積もりと工数見積もりには「トップダウン見積もり」と「ボトムアップ見積もり」があるという。
トップダウン見積もりではファンクションポイント(FP)や、画面/帳票、ステップ数といった規模をパラメータとして見積もる。
ボトムアップ見積もりは、各工程における成果物の量や、作業項目に着目し、工数を積み上げていく。
期間見積もりでは、プロジェクト全体の期間や、スケジュールやWBSを勘案しながら、全行程・各工程を見積もる。
要因見積もりは、工数見積もりと期間見積もりの結果から、全行程および各工程の要員数を見積もる。

 

このように、見積もりは各項目各対象で作っていくことが重要。

 

そして、こうやって見積もることに関して、ベースとなる「スコープ」と「マスタースケジュール」の握りが何よりも重要になってくると言うことだね。

 

プロジェクトの「測る化」

プロジェクトの「測る化」