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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

営業はいらない

著者:三戸正和
発行元:SBクリエイティブ

 

まとめ

営業はいらない。いや、営業がなくなることはないんですよ。でも、単純な商品説明をするような営業はいらないのだ。セールステックと呼ばれる営業関連の技術が発達したことで、昔ながらの「営業活動」の比重が軽くなったってことですね。そして、その分顧客の心に入り込む、顧客の課題を本当に解決できるソリューションが提案できるような営業が必要になるってことですね。

この本を読んだ理由

デジタルでの営業支援を仕事にしている私としては、営業がなくなってしまうと、仕事がなくなってしまうということですからね。どんな内容が書かれているのか?知るために、読みました。

仕事に活かせるポイント

インターネットとは、情報伝達コストを限りなくゼロに近づけることができるツールである。このフレーズを久しぶりに目にしたことですね。初心に立ち返るデス。

目次

第1章 サラリーマンの不幸の根底には「営業」がある
第2章 世界はもう「営業不要」で成功しはじめている
第3章 テクノロジーが営業を殺す
第4章 営業マンはどこに向かうのか
第5章 営業マンを自由にする「小商い」のすすめ

感想

著者は日本創世投資の代表。「経営塾」というオンラインサロンも行っていて「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン」の参加者は200名を超えているという。ホリエモンの「堀江道場」のオブザーバーも務めているという。投資や、事業再生をメインのお仕事としている方ということですね。

 

そんな著書の過激な本。何しろタイトルが「営業はいらない」だから。しかしね、読み進めると「存在感を高める営業も出てくる」「いる必要がある営業も出てくる」ということがわかってきます。つまり、営業大淘汰時代に、生き残る営業ですね。

 

では、どんな営業が生き残るのか?

 

それはコンサルタント的な営業マン。日本でよく言うコンサル営業ですな。、顧客が抱える問題・課題を解決。目標を達成するために自社製品(あるいはサービス)を含め、解決方法や具体的な取り組みを売り込むことを旨とする。売って終わり、販売メインじゃない営業ということだ。

imitsu.jp

 

 

なぜ、コンサルタント営業が求められ、そうじゃない、つまり販売メインの営業が淘汰されていくのかというと、製品やサービスがコモディティ化しすぎたことと、営業支援ツール&サービス、いわゆるセールステックが発達普及したからだ。汗水垂らして、一生懸命、足を棒にして、お客様先に通って、注文を取る、という仕事はツールに取って代わられたし、コモディティ化した製品でそれをやると、血で血を洗うブラック営業合戦になってしまうのだ。

 

製品やサービスをコモディティ化させたくないのであれば、スタバや、アップルを目指せば良い。スタバはコーヒーを販売しているのではなく、体験を販売している。スティーブ・ジョブズは「どんな製品だったら顧客は圧倒的に感動するのか?」という視点で製品開発を行う。いわゆるエクスオエリエンス戦略に則って、成功している代表例だからね。コーヒーと、パソコン(もしくはスマホ)という、コモディティ製品の最たるモノで、ブランドを作っている。ユーザーが得られる「体験」や「感動」を想像しながら製品やサービスの開発に当たるのがエクスペリエンス優先型の発想法。付加価値も含めて、商品やサービスがコモディティ化する今、重要なのはエクスペリエンス戦略。ここまで達すれば、営業マンがいなくとも、売れていく。逆に、それを行わないと、ブラック企業のごとく、営業マンがこき使われる。

 

そして、MAや、SFAが発展しているので、人が頑張るという余地がどんどんどんどん無くなってきている。優れた戦略さえあれば、スーパー営業マンなどいらない。スーパー営業マンの力に頼って会社の売り上げを保つ時代は終わったのだよ。

 

なので、本書では「今後、営業マンはどう生きるべきか?」として、次の3つの方向性を提示している。

 

①セールステックを使いこなし、自らのセールスの成果を底上げする。
②セールステックを使いこなすセールスチームの指揮官になる。
③営業職から離れ自ら戦略を立てる新たな地位に就く

 

どの道を選んでも、今までの販売を中心とした営業とは大きく違う未来が待っているよな、と思ってしまうわけですよ。そして、このどれかに着地をさせないと、まじで、従来型の営業マンは路頭に迷ってしまうんですよ、ということですね。

 

特に日本の営業マンは。

という情報がまとめられた調査結果が紹介されていて涙目。

アメリカのBtoB営業担当者450万人のうち、100万人が5年間で仕事を失うだろう。
BtoB営業マンの中でも特に減少が著しいのは、受注を中心とした営業職で160万人から100万人へ33%が減少するだろう。
購買担当者の約75%が「営業担当者から買うより、Webサイトで買う方が便利」と回答しており、「すでに買うものが決まっているときはネットで購入したい」という回答が93%をしめた。
「すでに買うものが決まっているときはネットで購入したい」という回答が93%をしめた。
一方、この報告書には「コンサルタント的な営業マンは、逆に10%程度増加するだろう」とも書かれている。

 

どれも2015年「BtoBセールスマンの死フォレスター・リサーチ社の資料から。
原文は『The Death Of A (B2B) Salesman』

go.forrester.com

そして、日本の営業マンはどーしよもない存在だから、どんどんどんどんその立場は危うくなってくるという話まで(調査結果まで)紹介されている。

 

日本の営業マン(生産財営業マン)の仕事時間のウチ、顧客との面談やサービスに使われているのはわずか25%で、移動で19%、一方、書類作成や会議に費やされる時間は54%にものぼっている(JMAC調べ)。
アメリカの営業マン(生産財営業マン)アメリカの営業マン(生産財営業マン)は、約42%の時間を顧客との面談に使っており、移動は35%、書類作成や会議に費やされる時間は20%にすぎないという(米マグロウヒル社調べ)

 

そりゃ、生産性、上がりませんよね。

営業は進化の余地があるというか、進化しないと生き残れないんだな。

 

 

 

営業はいらない (SB新書)

営業はいらない (SB新書)

  • 作者:三戸政和
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 新書