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たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点のマーケティング

著者:西口一希
発行元:翔泳社

 

まとめ

顧客ピラミッドの5セグマップと、顧客セグメントに「ブランド選好の軸」を加えた9セグマップ。顧客とのコミニケーション戦略を考える際のフレームワークとして、非常に使いやすそうですな。コミュニケーションを通してセグメント間を移動させることが何よりも重要だものね。でもね、もっと重要なのはプロダクトや、サービス自体に、しっかりとした柱があるかってことなんだよね。この本が伝えたいことって、実はそっち(プロダクトや、サービス自体に、しっかりとした柱があるかってこと)なのではないか?と思ってしまた。

 

この本を読んだ理由

顧客ステージをきっちり定義する。いま、私の中で整理したい項目、解決したい課題にヒントをくれると思ったので。

 

仕事に活かせるポイント

顧客ピラミッドの5セグマップと、顧客セグメントに「ブランド選好の軸」を加えた9セグマップ。これがそのまま仕事に活かせますね。おまけにスマートニュースを例にとってのケーススタディまで紹介されていますから。

 

目次

序章 顧客起点マーケティングの全体像
第1章 マーケティングの「アイディア」とN1の意味
第2章 【基礎編】顧客ピラミッドで基本的なマーケティング戦略を構築する
第3章 【応用編】9セグマップ分析で販売促進とブランディングを両立する
第4章 【ケーススタディ】スマートニュースのN1分析とアイディア創出
第5章 デジタル時代の顧客分析の重要性

 

まとめ

著者の西口さんはP&Gを皮切りに、ロート製薬ロクシタンジャポン、そしてスマートニュースでマーケティングを担当してきたお方。知られてはいるけれど、いまいち知られてはいない。そんな歯がゆい状態のブランドを立て直す際に使ったメソッドを教えてくれる素敵な本。

 

そのメソッドとは「5セグマップ」と「9セグマップ」。

 

「5セグマップ」と「9セグマップ」という言葉自体は、もう、有名になってるのよねぇ。

 

「5セグマップ」とは顧客ピラミッドのこと。ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客、認知・未購買顧客、未認知顧客とピラミッドが5層に分かれている。そして、それぞれが次のように定義されている。

 

①ロイヤル顧客…認知あり/購買頻度・高
②一般顧客…認知あり/購買頻度・低
③離反顧客…認知あり/購買経験あり/現在購買なし
④認知・未購買顧客…認知あり/購買経験無し
⑤未認知顧客…認知なし

 

これに「次回購買意向」つまり「ブランド選好」を追加したものが、「9セグマップ」になるのだな。

 

ほうほう。いろんな施策で顧客を、このセグメント間で移動させればいいのね。

 

そこまではわかった。そこまでは知っていた。しかし、本書にはそれ以上に需要なことが書いてあるのですよ。何しろタイトルは「たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点のマーケティング」なのだ。大量のデータを分析しなくても、大丈夫だよ。その代わり、一人の顧客について掘り下げてね、と。

 

言われてみれば、凄くシンプルなことなのだけれど、いま行われているマーケティングとは「顧客の動きを、感情を把握しないでマーケティングをしている」って状態だしね、と筆者。

 

ドキドキしますよね。

 

そして、一人でもいいので、ロイヤルカスタマーが生まれるまでの道筋をちゃんと把握する事が重要なんですと。把握・観察することでセグメントを移動させるアイディアが生まれるのだと。アイディアの発見は統計解析ではない。なので、1人の顧客を観察すること、深堀りすることで大丈夫ですよ、と。

 

ただね、移動させるアイディアには2種類、商品やサービスそのものとなる「プロダクトアイディア」と、商品やサービスを対象顧客に認知してもらうための「コミュニケーションアイディア」があるんですって。そして、この2つは連動していて、切っても切り離せないと。コミュニケーションアイディアで注目を集めても、そのメリットがプロダクト時代のメリットと結びついていないと機能しない。プロダクトアイディアとコミュニケーションアイディアには明確な主従関係があって、プロダクトアイディアが主であるのですと。このポイントを勘違いしてしまうと、ろくな結果にならないのだと。逆に、正しく理解していれば、プロダクトアイディアがしっかりしていれば、コミュニケーションアイディアにクリエイティブの独自性を追求する必要はなくなるのだと。つまりそれって、プロダクトアイディアがしっかりしていないのに、広告代理店にコミュニケーションアイディアを求めてもしょうがないってことだよね。。。

 

そして、本書ではマーケティングを成功に導く三要素は「プロダクトアイディア」「コミュニケーションアイディア」「ターゲット顧客での早期の認知形成」とまとめております。

 

個人的には「5セグマップ」と「9セグマップ」のお話よりも、「プロダクトアイディア」「コミュニケーションアイディア」「ターゲット顧客での早期の認知形成」のお話のほうがぐさっと心に刺さりましたな。