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引き裂かれた大地 中東に生きる六人の物語

著者:スコット・アンダーソン
発行元:白水社

 

目次


はじめに
第一部 起源
第二部 イラク戦争
第三部 アラブの春
第四部 ISIS
第五部 エクソダス
エピローグ

 

感想

中東の地は極東の日本から見れば、遠く離れた土地ですな。そのため、なかなか現地の生活は想像できない。極東の地で儒教や、仏教的な文化の中で生活している人間にとって、そもそもムスリムの生活が想像できにくい。かなりアメリカナイズされた生活を行い、アメリカ基準のニュースにふれているため、これが世界の基準だと思っている。

 

が、それは大きな間違いだということをこの本は教えてくれる。

 

アラブの春により中東に訪れた嵐。イスラム原理主義との戦いで訪れた中東の混乱。このような争いは「民主的でないため」に発生していたようにおもわれるが、じつは混乱が起きているイスラムの国々の多くは共和制であったわけですな。

 

え?

 

である。王様とその一族が独裁政治を行っているから、その反発でアラブの春が起きた、なんて、思っていた。独裁政権であったが、王制ではなかった。

 

欧米的な社会制度を持っていたのは、混乱しているアラブの国々のほうだったという。なので、この本に登場する人々の生活って、かなり我々の生活に近かったりするのよね。

 

では、なぜ、混乱が起きたのか?

 

それは、オスマン帝国崩壊後に欧州各国が中東の地につくった国境のせいだという。
そして、その発端はサイクス・ピコ協定に行き着くという。部族社会であったアラブの土地に部族以外の概念を持ち込み、それで管理しようとした歪なんだろうな、などと思ってみたりする。

 

そして、社会が窮屈であっても、豊かになれる空気があれば、まだ治安というか社会秩序は保たれるのね、と。それがないと不安が社会を覆い、その不安を解消するために民衆の爆破が起きるのだと。

 

なんだろう。この、進化すること前提の社会制度の歪って。世界は統一した概念で統治されるのではなく、それぞれの文化に適した方法で統治され、生活するのが一番なんだとおもったりもする。

 

 

引き裂かれた大地:中東に生きる六人の物語

引き裂かれた大地:中東に生きる六人の物語