著者:石川雄一
感想
すごいですよ。
もう、第一級の資料。
第二次大戦中に登場した軍用車両といえば、アメリカのジープと、ドイツのキューベルワーゲンが「思いつくのですが、日本にもあったのですよ。
それが九五式小型乗用自動車、つまり「くろがね四起」
キューベルワーゲンがRRだったことを考えると、大日本帝国の技術力すごいな、と。
単純に思ってしまう。
何しろ1935年には試作車両ができていたのだから。
ちなみに、ジープの生産開始は1941年、キューベルワーゲンは1939年な。
もう、ウィキペディアを読んでいるようですわ。
しかし、ウィキペディアよりも面白い。
まぁ、これだけ読むと「日本帝国万歳」になってしまうのですが、そうではないんだな。
著者いわく、そもそもなんのために作られたのかわからない、と。
ジープも、キューベルワーゲンも、ある目的を達成するために作られたクルマなのですが、くろがね四起にはそれが感じられない。
なんで、ロードスターなんだよ、と。
戦場で悪路に強いロードスターを乗るのは、誰なのだ? と
2人しか乗れない、荷物も乗れない、機銃も搭載できない四輪駆動車に意味があるのか、と。
ないわな。
なんか、『失敗の本質』を読んでいるような気分になる1冊ですわ。
目的がよくわからないクルマ。
それは21世紀の日本社メーカーにも当てはまりますな、と。
タイトル:九五式小型乗用自動車 くろがね四起
著者:石川雄一
おすすめ度:☆☆☆☆☆(すごいほんだ)