目次
第1章 「地頭力」とは何か
第2章 「フェルミ推定」とは何か
第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか
第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
第5章 「結論から考える」仮説思考力
第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力
第7章 「単純に考える」抽象化思考力
第8章 地頭力のベース
第9章 さらに地頭力を鍛えるために
感想
コンサルファームのクニエの、コンサルティングフェローである細谷功さんの名著。
私が買った単行本はすでに18刷り。
すごいな。
そして、この本の凄さというか素晴らしさは「おわりに」に記されれいた。
本書の執筆に当たって、数十冊にわたる思考力、問題解決、ロジカルシンキングといった「考える力」に関しての類書をベンチマークした。その結果わかったことは、この主の著書の本質的なメッセージや著者の思考回路が驚くほど類似しているということであった。つまり人間が本来有している考える力の基本、あるいは本書で読んでいる「地頭力」というものの本質というものは「一つのこと」である、極めて単純なことではないだろうか。
筆者は本書の中で地頭力の特徴を「結論から」「全体から」「単純に」考えることと定義し、これらを仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力と呼んだ。しかしながらこれらの試行というのは完全に独立したものではなく、「根っこ」の部分ではつながっているように感じている。
と、
で、
本書の執筆に際して意識した本書ならではの独自性は以下の点である。
1.これまで「アート」と思われていた地頭の世界に「サイエンス」を持ち込んで、これを具体的な習得区が可能な思考プロセスとしてわかりやすく解説すること
2.もともと知られていない、あるいは単なる概算テクニックと一般には思われているフェルミ推定のプロセスや問題解決ツールとしての奥の深さを解き明かすとともに、「地頭力」との関連を明確にし、トレーニングツールとして紹介すること
3.「地頭力」の実際の応用や有用性について、ビジネスや日常生活の経験を通じて具体例を豊富に示すこと
とな。
そりゃ、この本は売れるよね。
で、地頭力と言うのは、今まで語られていた知識・記憶力と対人感性力とは違う第3の力で、自分の力を持っていることでバーサタイリスト(多能人)になれるのだということなのだ。
詰め込み型の学習で事足りていた知識・記憶力は、AIの台頭を待たなくても、インターネットが発達したことで、意味がなくなってしまった、と。対人感性力はいわゆるコミュニケーション能力で、場数を踏んだ人間関係の荒波でしか伸ばすことができないのだと。まぁ、一流の司会者や、コメディアンが有している力ですな、と。
そして、地頭力でありますね、と。
ちなみに…
形容する言葉でまとめると
地頭力:地頭がいい
対人感性力:機転が利く
知識・記憶力:物知り
漢字一言で表現すると
地頭力:理
対人感性力:情
知識・記憶力:知
5W1Hで表現すると
地頭力:Why思考
対人感性力:How思考
知識・記憶力:What思考
なのだとな。
で、本書を読み進める上で外せないのがフェルミ推定なのですが、なぜ、フェルミ推定が面接試験で用いられるのかというと
1.質問の内容が明快かつ身近なものであるため
2.正解がないので、純粋に考えるプロセスが問われるため
3.簡潔でありながら問題解決の縮図であるため
なのだとな。
で、地頭力が高い人ほど、フェルミ推定が活躍しそうな場面で、目を輝かせるのだと(楽しくなるのだと)。
で、知識・記憶力が高い人ほど、「この情報があれば…」とか言い訳を始めるのだとな。
もちろん、情報が沢山あるに越したことないけれど、重要なのは、世の中にあふれる課題というのはあやふやなことだらけなので、いちいち前提条件を他人に確認しないと前に進めないという指示待ち族だと行き残れないのだと。
ただ、ここで重要なのは
自分で前提条件を決めて先に進んだ場合には、どんな前提条件を設定したかを他社に対しても客観的にわかるように明確にしておき、前提が異なっていた場合にはいつでも必要なところまで戻ってやり直せるようにしておくことである。
ということなのだ。
話が前後してしまうのだけれど、地頭力と言うのは
知的好奇心をベースにし、その上に論理的思考力と直感力という柱があり、一番上に抽象化思考力と、フレームワーク思考力と、仮説思考力が乗っている状態だという。
で、抽象化思考の基本プロセスは
①抽象化
②解法の適用
③再具体化
の3ステップだという。
抽象化思考力に必要なポイントは
①モデル化
②そのための枝葉の切り捨て
③アナロジーの考え方
の3点なのだという。
で、きっちりかっちり抽象化ができるようになると、1枚の絵ですべてを説明できるようになるのだという。
コンサルティングの世界で、このような絵は「キラーチャート」と呼ばれているのだとな。
そんなキラーチャートが描けるようになりたいですな。